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紙の本
お薦めです
2004/04/06 13:20
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:春の海 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は明治13年生まれの曹洞宗の禅僧で、妻帯せず、寺も持たず、生涯を座禅と説法とに明け暮れ「宿無し興道」と呼ばれた名僧です。本書は昭和13年初版の歴史ある名著です。
一般の方々への説法のかたちを取っていて、たいへん親しみやすい内容です。日常生活や著者の経験から豊富な実例を挙げながら、わかりやすく仏教を語っていく臨場感あふれる説得力は必見で、禅の価値観、座禅の意味から智慧や機用についてまで、わかりやすくきちんと書かれています。さらに子供だましのような誤魔化しやこけおどしはありません。
もちろん、悟りへの欲望、功利社会でハバを利かせるための座禅を厳しく戒めており、曹洞宗の面目躍如たるものがあるのですが、ありがちな他宗の非難などは全くなく、偉大な先人についてはむしろ随所に引用・賞賛されているあたり、かなり好感が持てます。
一般の方々のための禅の入門書としては随一なのではないかと思います。禅に興味のない「宗教なんてものは弱い人間がすがりつくものだ!」と達観している方々にも、読み物として十分面白い内容であり、本書を読めば、いつの間にか展望が開けたり、ちょっとしたコンプレックスがほぐれたり、生き方からアクが取れたりしている自分に気が付くのではないでしょうか。ときどき読み返すと全く新鮮な意味を提示していて、そのままもう一度通読してしまったり、たいへん深い内容の本だと思います。
(今まで本書に書評がなかったことがとても意外。)
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