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紙の本

複雑系文学

2002/06/21 13:36

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:なすび前線 - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者は、複雑系科学の第一人者であり、生命の発生から進化、発展、社会の歴史まで研究されている。そのせいか、本書でもカオスに関するエッセイから小説まで幅広い分野がカバーされている。したがって、本書の読者も非線形理論、文学、スポーツ、恐竜の滅亡、等々何にでも興味のある方の方が面白く読むことができると思う。前半がエッセイで、後半が「カオス出門」と「小説 進物史観−進化する物語群の歴史を観て」という小説である。「カオス出門」はゲーテの「ファウスト」に出てくるような悪魔が取引のために世界からカオスを消失させる話で、村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」に類似した終末的雰囲気を感じさせる。2つめの小説がまた奇異である。どれくらい奇異かというと説明しにくいが、文学理論と科学理論を混合したようなもので、私にはすごく面白く感じたが、みんなが面白く感じる代物ではないかもしれない。

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