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『ひとり横溝正史フェア』のこちらは、えっとえっと何作目でしょう。
忘れました。
豪邸名琅荘は、邸内至る所に仕掛けが施してあり複雑な造りから迷路荘と呼ばれている。
その迷路荘の創始者古館種人は、美しい後妻加奈子とその遠縁にあたる静馬との仲を疑っている。ある日種人は加奈子を斬り殺し、静馬の片腕を斬り落とした上で自死してしまう。
そんな迷路荘に知人の紹介で訪れた金田一耕助は、凄惨な殺人事件に巻き込まれる。
こういって始まる物語で、いつものように金田一耕助がまあまあ殺されてから事件を見事に解決するわけだが、全く内容の記憶がない。
我が家に「迷路荘の惨劇」は二冊あり、間違いなく最低二回は読んでいるはずなのに。
全く読んだ覚えがない。
内容どころか、これって買ったっけくらいに記憶がない。
どこかで頭でもぶつけたか、いや、もしかしたら殴られたのか。
事件発生。金田一さーん。
この本は読み始めるとじきに、子爵だとかフルートだとかが出てきて、なんだかとっても「悪魔が来りて笛を吹く」に似ている。
勿論、似ているところはそこだけだけれど。
フルートの音色というものは、どこかしら淋しげで暗い内容の横溝作品にはよく似合うかもしれない。
屋敷から繋がる洞窟だとか、美しいけれど健やかさはない女性、惨劇に相応しい殺されかたなど面白く読ませる。
それなのにどうして全く憶えていないのか、謎は深まるばかりだ。
横溝正史の作品は時代が時代なので仕方ないが、数え年や尺貫法が用いられている。
そういった表現に慣れていないため、読むたびに頭の中で考えなければならないところが少々手間ではある。かっこ書きで実年齢やメートル法キログラム表記をしてくれると読みやすいかもしれない、などと甘えたことを思ったりもする。
ラストは横溝作品にはしばしば見られる大団円だが、今回の終わり方は好きではない。
「女王蜂」のときにも似たような違和感があったが、わかっている犯罪者を金田一耕助の独断で見逃したり、なかったことにするようなことがおかしいと感じる。
何の権利があって一探偵に過ぎない金田一耕助がそういうことをするのかと疑問であるし不快でもある。金田一耕助の好みで対応を変えられては困る。
最後に至るまで遂に全く思い出すことなく、初読のように謎解きも楽しめた。
わたしの記憶がなくなった謎は未解決のままだけれど。
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何回目かの読了。
金田一耕助シリーズは大好きですが
こちらは良作止まりと思っています。
悪魔が来りて笛を吹くと八つ墓村のエッセンスも
感じるのですが、どちらにも及ばず。
なんていうか美しくないんですよね。
特に刑事さん達とワヤワヤしているところなど、
なんだか映像化された作品の台本を読んでいる
かのように感じます。
とはいうものの、さすがにその辺のミステリでは
足元にも及ばない風格と面白さはあるのですが。
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金田一シリーズって、人間の業炸裂しすぎな有象無象がこれでもかってくらい跋扈するよな〜という思いを読むたび新たにします(褒めてる)。
旧家で権勢を欲しいままにする刀自。
地元有力者である夫と美しすぎる妻。
その周囲に群がり恩恵に預かろうとする人々。
清涼剤ポジションの、若いアベック(古)。
そんな人々を脅かす、肉体的・精神的に「何かが欠損している」人間。
本作の登場人物も、そんなシリーズ読了本のテンプレをしっかり踏襲しています。何とかの一つ覚えかっていうくらい、他作品と代わり映えなさすぎィ(褒めてる。
強いて違いを挙げるなら、いつもより刑事勢がいい味出してるってことでしょうか。その中の1人のベテラン刑事なんて、キャラ立ちすぎてて一瞬疑っちゃったくらいですよ。
かつて悲劇の起こった山奥の山荘・迷路荘に集結した関係者達。ホテルになる前の屋敷の最後の姿を偲び、かつて惨禍に散った命を弔おう…。そんな意図で集まった筈の男女は、しかしかつて結婚相手を奪い奪われ・振り振られという痴情のもつれを経てきた人ばかり。
曰くありげな人々が集い、金田一探偵が現地に到着したその日、果たして第一の惨劇が幕を開けた!!
って感じですかね。
うーん、何てテンプr(略
それにしても、いつもは真犯人に同情の余地を残す金田一シリーズにあって、今作は少ーし異色ですね。いつも少なからぬ憐憫の情を示す金田一探偵が、今回は一顧だに値しないと言わんばかりの素っ気なさで犯人の犯行を推理します。
なーんか今回はイマイチだな〜と終章まで読み進めると、どっこいその後に語られる真相がヤバかった。もうその犯行シーンの絵面の恐ろしさときたら…想像するだに背筋が凍ります。
積年の恨み・妄執の果てを描かせたら、横溝御大の右に出る推理作家はいませんね!(褒めてる
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のらりくらりした金田一耕助じゃないと駄目なんだと思う。犯人が誰か途中まで本気でわからなくて、はらはらした。問題点は説明文が多いことかなぁとは思う。お屋敷とかになると、間取りが気になってそして分からないので困る。
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昭和5年。隠し扉やどんでん返しが
ふんだんに施された通称迷路荘で、
主人やその妻が殺害される事件が
起こった。真相ははっりしないまま。
昭和25年。
迷路荘にかつての惨劇の時と同じ
左腕のない男が姿を現し、
家人達は不安を募らせ、
現在の館の主人は金田一に調査を依頼。
そして発生する連続殺人。
綾辻行人の館シリーズに登場しそうな
仕掛けだらけの館。
更に館の下には地下道が通っている。
ボリュームがあって読み応えは抜群。
複雑な人間関係が事件をややこしい
ものにしていて、それも魅力的。
迷路のような地下道でくり広げられる
捜査は、冒険小説の様で面白かった。
戦後すぐの時代設定、
街から離れた豪勢な館、
謎の片腕の男、かつて起こった惨劇、
没落貴族等、
このシリーズらしい要素が満載。
金田一の活躍も見事で、
ラストは好みの締め方だった。
知名度は低いがもっと読んで貰いたい作品。
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明治の元老、種館種人が建てた迷路荘でかつて残虐な殺人事件が起きた。
種人の息子一人が妻の加奈子と当時下宿していた尾形静馬の不貞を疑って二人を殺害しようとした。
加奈子は殺されたが一人は静馬に反撃を受けて殺害された。片腕を切り落とされた静馬は裏山の洞窟に逃げてそれ以来消息が分からなくなった。彼が生きてるのか死んでいるのか誰にも分からなかったが、そんな静馬の影が現代になって現れた…
迷路荘の隠し扉などの仕方を上手く使っていたのと種館家に恨みを持った静馬を思わせる変装した片腕の男が現れたり読書の想像を膨らませてくれる様々な要素があって面白かったです。
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金田一耕助シリーズ。過去に横恋慕の末、妻を殺害、間男の左腕を切り落とし、自ら命を絶った古館伯爵。その建物を手に入れた男が、建物に縁のあった人たちを集めて、ホテルとしてのオープンを祝うはずだった。縁やいわくのある、一癖も二癖もある連中が集まったことで、当然のごとく起こる殺人事件…。
うわ、5月半ばだというのにまだ1冊目か。休みが長かったとはいえ、結構読むのに時間がかかったものだ。
紹介するなら「いつもの金田一」である。登場人物の全て、怪しく活躍する老刑事を含め、すべての人間が怪しい。で、金田一が目を離したすきに、一人また一人と殺人が起こってしまう。また、迷路荘というタイトルは、地下道に鍾乳洞が縦横無尽と走っている建物であり、最初に紹介された「どんでん返しなどのある」というのは、結構あっさりと否定されてしまう。
横溝正史は、洞窟や鍾乳洞が非常にお好みのようで、建物内の描写は相当投げやりなくせに、洞窟となると嬉々として筆が進む(読みやすい)のであるが、一方でディテイルは適当なもんで、まったく風景が想像できない。
また、その洞窟も、毎度ながら使い捨てという風合いが強く、すぐに補強したレンガは崩れてしまうし、よくもまあ、その上に立っている家が大丈夫なもんだと感心する。何度も繰り返されるレンガの崩落は、今回一番気が散るシーンである。
事件の真相については、あんまり本気で犯人を探そうとすると、完全に肩透かしを食うので、軽く流して読むのが正しいのであろう。
ボリュームもあり、事件と事件の間の時間の割に、ああでもないこうでもないと時間稼ぎが多い印象で、内容の割に読むのに時間がかかり、印象もうすいという作品である。
まあ、金田一シリーズの代表的な立地、トリック、残忍性などを含む作品としては、人気があるのも解らなくもないが。
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確かに、洞窟探検にズルズルの和装は不向きだと思った。
推理というより、冒険譚のような印象を受けました。
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読み始めてすぐに まだ読んでもいない「黒猫亭事件 参照」とか「悪魔が来りて笛を吹く 参照」とか立て続けに注釈が出てきて、いっぺんに読む気が失せた。この人の作品は第一作から順番に読まなければならないのか?ああ面倒くさい… って事で頓挫。
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おばあちゃんが強い!いいぞ!やばいやつは全員皆殺せ!とおばあちゃんの肩を持ちたくなります。
迷路荘といってるわりに全然迷路じゃないのでそこが非常に残念でした。
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昭和25年秋に起こった『ホテル名琅荘(迷路荘)』での連続殺人事件を、名探偵・金田一耕助が解き明かすミステリー。敷地内は迷路のような造りで、抜け穴などもあり、舞台設定が面白い。特に、古くて脆くなった地下道と、"ネズミ"で溢れた(?)落とし穴は、不気味に感じられた。1981年発行22版の文庫で読んだため、カバー絵は杉本一文氏。おどろおどろしい雰囲気が、新しいカバーではなかなか表現されていないようで、少々不満が残った。
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富士山の裾野に建つ『名琅荘』(迷路荘)を舞台に
巻き起こる惨劇ーーー。
折しもそこの主人に招かれた金田一耕助を中心に、登場人物もわんさと描かれる。
が、どの人物をとっても表面的な人物像に留まらない怪しさがあって、次々に起こる事件をより複雑に、おどろおどろしく際立たせている。
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またドロドロの事件でしたね。それぞれに欲望や見栄や怨みつらみがあるから話がこんがらがる。今回も金田一さんお見事。
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没落した華族、仕掛けだらけの豪邸、前人未到の洞窟、複雑な人間関係、謎の怪人物などなどなどなど……金田一シリーズを読み始めて8作目?もう、金田一要素てんこ盛り!って印象をこれが一番受けたかもしれない。
それにしても、今回の犯人に対する金田一耕助のあたりの強いこと。いつもはソフトな感じの金田一さんがあそこまで犯人に対する憎悪をむき出しにするの珍しかった。それもしょうがないよねっていう人の尊厳を踏みにじるような遺体の扱い方してるからね……。読みながらゾッとしてしまった。
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全然知らないタイトルだったのだが、とても分厚く驚いた。あまり期待していなかった、短編集みたいに思っていたのが、大作で面白い。3代にわたった話だったし、長編だったからどうであったっけと思うところもあったが、迷路荘という設定と興味深く魅力的な舞台、片腕の男、可愛らしい老婆などキャラクター設定、先が気になってとても面白く最後まで読めた。動機に関しても納得するもので、最後も悪人が生き残らないのでスッキリする。昔の建築物で本当に迷路荘みたいなものがあるのか気になる。やはり現代にはない環境が心惹かれ、楽しい。