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紙の本
嘘つきの幽霊
2001/08/03 13:07
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投稿者:APRICOT - この投稿者のレビュー一覧を見る
全裸も同然の若い女が公園で騒ぎを起こし、“色っぽい幽霊”と新聞に書き立てられる。“幽霊”の姉がメイスンを訪れ、妹は昔から面倒を起こしては、突飛なやり方でごまかそうとする悪い癖がある、今度もそれに違いない、と訴える。果たして姉の予感は的中、公園で死体が発見され、“幽霊”は殺人容疑で逮捕される。
とても精巧なプロットのミステリー。“色っぽい幽霊”は、致命的な状況証拠のクモの巣にがんじがらめに捕らわれてしまう。一部は彼女自身の愚行による。嘘を次から次へと重ねたため、メイスンも読者も彼女を信じられなくなってしまうのだ。だが、メイスンも指摘するように、宿敵の検事ハミルトン・バーガーは、物事を突き詰めて考える人間ではない。証拠を見落とす事もあれば、“事態を混乱させないために”証拠をわざと無視する事もある。このような埋もれた証拠を、メイスンが執拗な反対尋問を通して、少しずつ掘り起こしていく過程は、まさに見物である。
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