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紙の本

愛という名の最高のプレゼント

2001/02/11 07:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:E・S - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ブレイクアウトシリーズ・四部作の最終巻は、ボーカルの旭良が主人公。
 “ベルリン”のボーカル、旭良はステージでは妖しい魅力を振りまく最高にセクシーな男。
 ファンからも、バンドの仲間からも愛されている旭良だが、複雑な家庭に育ち、その優しさゆえに深く傷ついた心を抱えていた。
 デビューしてから、着実に実績を積んできたベルリンは、富山湾岸TVの開局イベントとして、クリスマス・イヴに3万人収容の湾岸クリスタルドームでのライブをすることになった。
 だが、富山は旭良の故郷だった。旭良の中で悲しい過去の記憶が甦る。
 旭良とその家族をめぐって、さまざまな人間の思惑が交錯し、複雑に絡み合ったまま、ライブ当日を迎える。
 そして、ステージのクライマックス。マイクを握った旭良が見たものは、狂気に支配され、花束の中に刃を握っていた母の姿だった。……

 クリスマスには愛という名の奇跡が起こるという。
 ブレイクアウトシリーズのラストは、旭良という聖者の歌う、光に満ちた愛の歌で締めくくられる。

 涙、というのは、声にならない心の叫びだ。涙のツボ、というものがあるとしたら、この小説はかなり強力に“そこ”を刺激してくる。
 人が信じられず、自分が信じられず、心が乾いて、生きている実感さえなくなってしまったあなたの心に、この小説は深く響いてくるだろう。
 愛なんか信じない、小説なんかで泣くもんか、と思っている人にこそ、読んで欲しい。

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