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哲学者の食卓 栄養学的理性批判 みんなのレビュー
- ミシェル・オンフレイ (著), 幸田 礼雅 (訳)
- 税込価格:2,420円(22pt)
- 出版社:新評論
- 発行年月:1998.1
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紙の本
表紙のエビはサルトルか?
2004/03/24 19:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ガブリ - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙の美味しそうなオマールエビを見てサルトルを連想した方は正解です。サルトルは甲殻類が神経症を起こすほど大嫌いでした。
朝吹登水子の「サルトル、ボーヴォワールとの28日間—日本」を読んだときにサルトルの甲殻類嫌いを知りました。大阪を案内したときにカニ道楽の巨大なカンバンが目にはいったらどうしようと心配したそうです。日本の作家との歓迎会で料亭に行ったらカニの絵が正面に飾られていてどうか気がつきませんようにと祈ったとか…
この本は哲学者の食生活の本ではありません。ゴシップネタの本でもありません(ちょっと期待はしていましたが)。真面目な哲学の本です。少し変わってるのはそれぞれの哲学者の食によって彼らの思想を紹介しようと試みたところです。
初めにギリシャのディオゲネスが生のタコとやってきます。火による文明を否定し野生への回避を主張しました。
次はミルクを偏愛し、農夫の食事を理想としたルソーです。そして、食にも規律を求めながら実際には満たされなかったアルコール中毒のカント、美食を哲学しようとしたフーリエ(ブリア・サヴァランが義兄弟では…)。
人間の理想を問いつつ現実には満たされなかったニーチェはドイツの料理を否定し食の理想を問いつつ実際にはおふくろの味からぬけだせませんでした。イタリアのマリネッテイはパスタは人を愚かにすると言いました(米を食べると馬鹿になると似てる?)。現在への不満が新しい地平を夢見るのかもしれません。それがたとへ歴史の繰り返しであっても。
最後のサルトルとカニの確執は非常にわかりやすいかもしれません。サルトルに直に会った人は例外なしに、遠まわしにせよ、言わずにおられないらしい身体的欠陥による甲殻類忌避症らしいのですが、その印象をズバリ言ってしまったのは開高健です(中公文庫のエッセイで書いています)。偉大なる精神に必ずしも健全な肉体が伴うわけではないことは古今共通かもしれません。
しかし、食生活を通して各人の哲学を捉えなおすと哲学は実学であるというのが素直に納得できます。
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