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紙の本
パンからみた中世ヨーロッパの生活
2001/02/25 20:00
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投稿者:sfこと古谷俊一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
パンといえば食物の代名詞。そんな社会は世界に広く存在します。われわれ日本人には良くわからない、家庭で焼くパンという文化。その発達過程について、考古学資料や文献資料、そしてフィールドワークの成果を駆使して解説した本です。
パンに利用される穀物の特性について。醗酵パンと無醗酵パンの使い分けをもたらす、土地の植生や信仰。バン窯やオーブンの成立に至るまでのパンの焼き方の変遷。古くからの田舎でのパンの焼き方と生活のありかた。中世におけるパン屋の持つ意味。といった構成でしょうか。
定量的なものが色々と示されているあたり、たいへん参考になります。実際のパン窯の構造や、中世の一般家庭の構造(どこで料理し、煙突がどうなっていたのか、ストーブと暖炉の違いや意味など)。具体的な調理法(材料からタイムテーブルにいたるまで)、どのようなパンがあったか。パン屋の社会的位置づけや法令、などなど中世ヨーロッパのイメージを固めるのに役にたちます。
中世ヨーロッパでは料理の煙はどう処理されていたのだろう? これ一つとっても、日本人にはイメージがわかないものですよね。しかし、この本を読めば、そのあたりの感覚も、だいぶとつかめてくるのではないかと思います。欧米の人たちは、そのあたり、あたりまえのものとしてつかんでるんでしょうけどね。
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