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なにも為し得ない話
しかし、冒頭の料亭へと
健次が再び向かうラストは
冒頭への帰結を果たし、
ひとつの物語の終わり方として
美しいと思う。
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近代人なるものの理想的なありかたとは
モラトリアムにほかならない
その退屈に負けて人は、現代社会の野蛮人となりゆく
つまり成熟は二つの道だ
無為の人となるか
みずからの意思で死を選び取るか?
明治40年から、昭和30年代にかけて書かれた短編を集めたものだが
その思想性はまったく古さを感じさせない
悩みにこそ真実がある
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冷静で温度の低い物語が淡々と語られていて読みやすいが、話としての面白さや派手さは少ない。
この文庫の中の話には主人公の行く先が不明で、明確なエンドがない話、『その後はどうなったんだよ……?』と不安しか覚えない話が幾つかあった。
ただ、主人公の憂鬱や不安感、行き場のなさなどの鬱屈した感情の書き方は巧み。読んでいて、あーーーーと視線が遠くへ行って、己の半生を振り返ったり色々と考えたりしたくなる。