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ちょうど、鳥インフルエンザやサーズが流行っているころに読んでしまったため、この小説に描かれている恐怖が身近に感じられた。古い小説だけど、読んで損はない。
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今までなぜ小松左京を知らなかったのだろうか。日本人のSFでいままで気に入ったものがなかったのが大きな理由であるとは思う。ということで傑作です。
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本作は世界各国(特にアメリカ・ソ連・イギリス)の軍関連の研究所で作り出された細菌兵器による人類滅亡の詳細経緯と、その後に残された人々の状況を描く。
核兵器ではなく細菌兵器での人類滅亡ということなのでとても興味を惹かれた。
さすが小松御大だけあって死に至る人々や廃墟と化した大都会の描写は非常にリアルティに溢れていて手に汗握った。また、細菌製造にいたるまでの各国家の思惑や、急激な人口減による政治経済の混乱を描ききっているのも非常に良かった。
※amazonでの僕のレビューをコピーペーストしています。
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いわずと知れた日本SF界の巨人。御大の作品はどれも映像化するには有り余る予算が必要です。スケール大きいですもの。ちなみに長編のみならず短編でも秀逸な作品を世に送り出しておられます。
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私の読書歴の中でも、記念すべき一冊。
高校一年の時の出逢いです。
星新一氏の流れで、小松左京氏の本も短編ばかり読んでいたころ、初めて手にした長編がこの「復活の日」。
打ちのめされました。
寝る前に読み始めたら、気がつくと三時。夜が明けようとしていました。
吉住が、南米を歩くラスト間際の場面、不覚にも泣きました。本を読んで泣いた初めての経験かも。
映画化もされました。キャッチコピーは、「愛は地球を救えるか」。
違うのです。
本来、人の命を救うべき細菌研究が人類を滅ぼし、殺傷兵器として作られた中性子爆弾が人類に未来を与える。
この皮肉な大逆説が大きなテーマであると私は思っています。
しかし、この皮肉を越えて、人類を信じたいという思いに貫かれた小松左京氏の姿勢がたまらなく胸を打ちます。
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刊行、1964年。『アウトブレイク』が1995年。
同じくパンデミックを題材にした題材の先駆的作品です
(DNAの存在が判明した頃に書かれたとは思えない!)。
パンデミックの恐怖はもはや日常的ですが、それだけにとどまらないドラマが秀逸。
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小松左京氏の、傑作「日本沈没」よりも前に書かれた、個人的にはそれよりも更に傑作だと思う1冊です。
宇宙から採取され、ある国により細菌兵器として培養されたウイルスが、とある事件により研究所の外部に漏れ出してしまう。そのウイルスは新種のインフルエンザ「チベット風邪」として、瞬く間に世界に広がってしまう。
これまでどおりの「ただの風邪」として対応していた各国の医療機関は、それが未知の、驚異的な力を持った新種の病であることを察知し始めるが、その時には世界は病気による人々の大量死に伴う社会システムの麻痺・混乱に完全に陥り、もはや打つ手を失い、やがて人類はその栄華を誇った文明の跡をそのまま残して、滅亡してしまう・・・南極に1万人足らずの人々を残して・・・。
南極に残った人々はわずかな文明の残滓を基礎に、またいつか実現すべき人類の「復活の日」を目指して再生を開始するが、その矢先、死滅した世界に残る人類の「憎悪」の遺産が、わずかに残った南極世界にとどめをさそうと牙をむき始める・・・。
インフルエンザによって混乱に陥り、そしてやがて、地球の歴史ではありふれた「絶滅」が人類にふりかかる様を淡々と、作者の文明論を大きく絡めつつ描く世界は、この作品が描かれてから40年がたった今でも全くその輝きを失っていません。むしろこの作品を超える生々しさやリアリティを持ったSF作品は、未だに他にはないのではないでしょうか。
この作品が描かれた当時とは違い、今は冷戦も核の脅威も過去のものとなりつつありますが、この作品の時代をはるかに凌駕して、国家を超えた情報や人々の流れはテクノロジーの進歩によって濃密になっています。
だからこそ、1国で起こった問題や災厄は、はるかに大きなものとなって世界を覆い尽くす可能性もある。
人類が歴史を残し始めてたかだか5000年そこそこ。しかし地球の歴史はその90万倍の長さを誇っている。
その中で人類が経験していない、もしくは歴史に書き残していない脅威はたぶん山のようにあるのだと思います。
その1つがもしこの現在に顔を覗かせたらどうなるか。人類は結局、長い時間に培われた自然の驚異には勝てないのではないか。この作品を読んで、また、最近の新インフルエンザのニュースを観ながら、ちょっとした不安にかられてしまうのです。
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インフルエンザ・パンデミックの危険が迫る今読むと、メチャクチャ怖い。
東西冷戦といった辺りはさすがに時代を感じさせるが、全く古びないすごい作品。
読み終わって奥付を見て、四十年以上前の作品だと気付いて腰が抜けた。
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兵器として培養された細菌が、世界に拡散して人類が滅亡する話。40年以上も前にかかれた作品だが、現代ならDNAの解析とかタミフルでなんとかなるんじゃないかと娯楽的に楽しんでいた。が、今読むと今年の新型ウィルス流行状況が、小説内の異変の起きた季節・感染力とリンクしているようで恐怖を感じる。
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テクノロジーの暴走が招く破局を丹念に描いた一冊。実際某国が兵器として天然痘ワクチンを持っていることや、またそれらが短期間で世界各地に広まる(2009年の新型インフルエンザ騒動や2003年のSARSがその典例)といった諸処の出来事を見ると、この物語も完全な虚構と見なすことも出来ないのではないかと感じた。
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ウィルスによって死滅した人類。
残るのは低温に守られた南極のわずかな人々だけ。
南極に向かう2隻の潜水艦。
うち一隻には感染者の報告が・・・。
残りの艦は、その一隻を撃墜することに・・・。
ウィルスによってあっという間に町が廃墟になっていく様が「SF」とは思えず怖かった。
小松左京さんは本当にすごい人です。
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思い知らされるのは小松左京氏の凄さ。ウイルスの脅威について、当時はトンデモな部分があると批判を受けたらしいが、今になって小松氏の仮説がプリオンなどの発見によってある程度正しかったことがわかっているらしい。
(続きはブログで)http://syousanokioku.at.webry.info/200910/article_21.html
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パニック小説、スパイ小説、アクション小説などの要素がふんだんに盛り込まれた贅沢な本。原作は映画と違って恋愛エピソードがほとんどないのだけど、「互いにほんの少し気になる間柄」で終わってしまうのもそれはそれでいい感じです。
ウィルス学の蘊蓄も(40年前のものとはいえ)面白かった。
イギリスの研究所から盗まれた生物兵器MM-88が、輸送中の事故で外部に漏れだした。それ自体は無害でありながら、内部に致死性の核酸を隠し持つという奇妙な球菌MM-88は、瞬く間に世界中に拡がり、半年たらずのうちに人類を含む陸上温血動物を全滅させる。生き残ったのはただ一カ所、寒冷の壁に阻まれた南極だけだった…。
病気が流行りはじめる初夏から人類がほぼ絶滅する9月までを描いた中盤のなかで、特に圧巻なのは人類があきらめモードに入る直前、まだ辛うじて社会が形を保っている6月あたりの章です。
「なんとかしてこの異常事態が終わるまで持ちこたえよう」と必死になって治療にあたる医療従事者、社会の維持に力を注ぐ行政、人々を孤立させまいと励ましの言葉を送りつづける報道、死体処理に明け暮れる自衛隊、各種ボランティア、そして祈りを捧げる人々…
同じ人類滅亡ネタでも、たとえば核戦争勃発とか巨大隕石激突のようにある日突然人々の日常が一変する話と違って、「新型インフルエンザ流行」というありふれた異変から始まる崩壊劇には、どこまでが日常の範囲内でどこから非日常になっていったのかがはっきりしないジワジワした恐怖を感じました。
これでもかこれでもかとばかりに虚しい努力が描かれるのだけど、最終的な読後感はすごくいいです。
どういうわけか何年かおきに突発的に読みたくなる本。
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「果てしなき流れの果てに」から続けて読んだが、この人は、いったいどれだけの知識量があるのだろう・・・もちろん専門家が読めば色々穴があるのだろうが、素人目にはまったく破綻が無いようにみえる(専門用語の羅列で、煙に巻かれている、というのもあるだろうけど)。
第一部は終わりを迎える世界を描いている。
なんの救いもなく死にゆく人々の描写。不覚にも涙が出そうになった。
災厄に見舞われた日本の姿を、3.11の当時に重ね合わせた。
暴動も起きず、黙々と出来ることをし死んでゆくその姿。日本人は現実でも同じように行動できるのだなと思った。
(作者自身が、戦争という災厄を乗り越えてみた姿だったからこそ描けたのかもしれない)
第二部は生き残ることができた人間が、世界の再生を目指す。
第一部に比べて短いが、十分に読み応えがあった。
SFではあるけれど、全編を通じて「人間」をテーマにし、人間の傲慢さ醜さ、そして同時に美しさや尊厳といったものが描かれていると感じた。
娯楽作品にとどまらない、重厚な作品。
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風邪でウイルスまっただなかの中、読んだ。すごく面白かった。
実際に人類が絶滅することなんて、地球の歴史にとってはただの一部分なのかもしれないと思うと、少し怖い。たぶん絶滅するとしたらウイルスか大規模な気候変動か・・。科学の進歩を少し懐疑的な視点でみてしまう事が多いけど、危機を救うのも科学と考えると、複雑。どっちにしても人生あっけないし短いんだから、地道な幸せを個人で見つけようを思った。
何度でも読み直しておもしろいし、考えさせられる一冊だった。