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青年将校に襲撃されて九死に一生を得た岡田啓介首相の次男が、当時の自分自身の体験や周囲の人の回顧談を集めて書いた本。自身が海軍に在籍していたという点もあってやや海軍身贔屓の感がなきにしもあらずだけれど、多くの資料にあたって公正に書こうと努めているのが窺われ、読みやすい文章もあって好感を持てる本。青年将校や被害者の略歴はあるものの、関係者の名前が大量に出てくるため、基礎知識のまったくない人にはきついかもしれないが、ある程度この時代に知識がある人なら面白く読めると思う。私が読んだニ・ニ六事件関連の本の中でもお奨め。著者が編纂した『岡田啓介回顧録』も面白かった。
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岡田啓介首相の子息、
岡田貞寛が書いた、二二六事件。
迫力があった。
それにしても、つくづく思うのは、
二二六で標的となった、
岡田啓介と鈴木貫太郎が、九死に一生を得て、
そのことが日本を救ったことことである。
鈴木貫太郎は終戦時の首相、岡田啓介は当時重臣として、それぞれ終戦への道を主導した。
昭和二十年三月、岡田貞寛は、海軍主計将校として、フィリピンのセブ島で米軍と対峙しているとき、鈴木貫太郎の首相就任を知ったそうである。それを知って、終戦を直感したとのこと。
この本を読んで、松本清張の二二六を読んでみようと思った。
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226事件で襲撃された、時の首相・岡田啓介の息子が事件を振り返る。
被害者の立場から、時系列を追って、事件の流れを知ることができる。
陸軍内の派閥抗争やら、青年将校の思想らはさておき、
このような出来事が起こり、終息したという理解にはいちばん。
これをもとにして、興味に応じて、思想なり、陸軍内部の動きなりに
向かっていけば良いと思う。
一連の事件の中で、憲兵にも個人として、
人の顔があることを、当たり前ながら知る。