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再読。やはり勝利者より敗北者の物語が肌に合う。気持ちが手に取るようにわかるのは、経験値がそうさせるのか作者の力量か。基本的には傷持つ身の女が、それでも最後に一条の光を見いだせる結末ばかりなのでハピエンではある。「忘れられなくて」は「最後の一文」小説かも。良品
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【本の内容】
ポジティヴに生きることだけが、決して正しい生き方じゃない。
後悔したって、前向きじゃなくたって、少しずつでも歩くことさえ止めなければ、大丈夫。
恋において、友情において、仕事において-。
人生のなかで何かに「落第」してしまった女の子たちへ贈る、短編集。
[ 目次 ]
[ POP ]
Fとは成績表で「落第」の印。
損を承知で姉のために一肌脱ぐヒロイン、だめんずに付け入られてばかりのヒロインなど、人生の合格点をもらっていると言い難い女たちを描いた短編集。
夏休み前の成績表に一喜一憂するのは子ども時代で卒業。
自分で始末をつける女たちがカッコいい。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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生き方が下手な、「落第」してしまった女性たちの短編集。
「家並みの向こうにある空」「重たい色のコートを脱いで」がすきかなあ
男の子たちの行動がさらっと描かれてなかなか読めないのがよかった。
啓一はいい意味で期待を裏切ってくれたし、
達彦は裏切ってくれなかった。
以下引用
「おまえって、呼べるよう努力するよ」(p114)
誕生日だけじゃなくて、もう、もう会えない。(p186)
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タイトルの通り、この話に登場するのはいわゆる「F」評価を受けそうな人生を送っている女性たちだ。
でも、やっぱり悲壮感はない。
鷺沢先生の作品では度々書いている(と思うのだが)ことなのだけれど、どんなにどん底でも泥沼でも、どの主人公たち(もちろん、他の登場人物も)も、生きている。
どこか胸のすくような、「ああ、明日もがんばろう」という気持ちにさせてくれる。
底抜けに明るくもないし、底から這いあがるような話でもない。
いい意味でドライで、爽やかで、なんだか読みながら、「うん、そう、うん。」と頷きたくなる。
最近、そんな気分を味わいたくて、鷺沢先生の本、読んでいる気がする。
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綿密な話が語られている。それぞれに抱えた「事情」をあたたかな距離で見守り、程度の差があれ、応援している。元気をもらえた。『シコちゃんの夏休み』が特に良かった。『家並みのむこうにある空』『岸辺の駅』もいい。
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大学生のときに(たぶん、10年前くらい)に読んだ本を再読。
レビューはなぜか書いていなかったようだ。
大好きな鷺沢萌さん。
彼女が描く登場人物はどこか温かくて愛おしい。
「シコちゃんの夏休み」
「家並みのむこうにある空」が特に好き。
けれど今…
と続く下記の引用は、この本の1番好きな箇所。
(家並みのむこうにある空)
”たったひとつの出来事で映画みたいに人生が変わるだなんて、あり得ないとずっと思っていた。”
(P112)
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痛々しくてでも一生懸命な登場人物ばかり。帰れぬ人々よりは少し軽い雰囲気がするけれど、場面を切り取る鋭さや確かさは変わらないと思った。
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「F」って、大学の評価方式で「落第」の意味。
鷺沢さんの書くFは、本当にFだと思う。
絶望は絶望のまま、濃い色をしている。
「Fなんてことはないよ。大丈夫だよ」という慰めは存在しない。
希望を掴めた者もいれば、そうじゃない者もいる。
何を希望と呼ぶかって、人それぞれだ。
息がしづらい人の物語かもしれない。
でも、息がしやすい場所に、希望に辿り着くことが正解とも限らない。
そんな、多様な物語たち。
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落第の「F」
でも、人生においてAを取れる人なんているのだろうか。私自身は少なくともAではない。
でも完璧な人生なんぞつまらないのでは
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主人公たちは、みな素直でひた向きでまっすぐに傷ついていく。かつて自分も経験した、あの胸の灼かれるような気持ちが思い出された。けれど、絶妙に軽やかな文章で読み心地が良い。また、(ほぼすべての話で)最後に少しだけ明かりがさすような結末を迎えるところに、著者の優しさを感じた。
全話それぞれに面白いが、特に「シコちゃんの夏休み」と「家並みのむこうにある空」は本当に素晴らしい。(シコちゃんの健気さ、最後に垣間見える啓一の想い…!)
今回中古で入手しましたが、再版を望みます。もっと多くの方に読んでほしい。今の若者にも響く(刺さる)と思う。☆4.5