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初めて読んだときに、愛の言葉を言うのに、臓腑を引きずり出されるような、という比喩を使っていて、その箇所で物語に引き寄せられてしまった。
本当に伝えたい言葉は内臓を引きずり出されるような思いをしなければ、口に出すことができないと思う。世間にはもっと簡単に伝えられる人もいるだろう。でも、少なくとも私はそうだ。
近藤さんの描く物語の多くの登場人物と同じく、この物語はそんな世にも不器用で魅力的な人たちの恋愛小説だといえる。
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2008/2/14
歌舞伎ミステリ第二段。ますます火サス臭が(笑)。サクサク読める反面、1週間後には内容を忘れてそうな本。山本少年は素直で頭が良くていいね。
『行ってしまったものは、あまりにも手ひどく残されたものを傷つける。』219P
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梨園探偵シリーズもの。と言ってしまおう。『桜姫』の時にも思ったけど、梨園の事件はだいたい愛の縺れ(・・・)で起きるものらしいですよ、と☆ 話のパターンも、『桜姫』に似てるかなあ? 単純な恋愛物じゃ飽きたらん、と言う人はどうぞ。
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歌舞伎シリーズ その2?
よぉわからん。
しかし今回も素敵に切ないお話でした。
小菊さんがいとおしい。
本当に歌舞伎の世界って
ストイックだし厳しいし
でも だからこそ
あんなにも美しく 優美で 魅了されるのか
と 思いました。
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歌舞伎「本朝廿四孝」の公演中に連日一枚の桜の花びらが宙を舞う。
公演内容と関係なく降るその桜は
一体、誰のどのような思惑によるものか…。
女形:瀬川小菊と探偵:今泉文吾が真相に迫る。
調べてみたら『ねむりねずみ』『散りしかたみに』『桜姫』という順序で
梨園シリーズと呼ばれているみたいですね。
完全に逆から読んでしまったw
まさかそんなラストが待っているとは思いもよりませんでした。
梨園という特殊な環境下でこそ生まれたたくさんの苦しみ。
人は支えあいながら生きていくというけど
それは人の連鎖を好意的に捉えただけで
人が互いに滅ぼしあいながら生きているとも言える。
花びらは、見守る人の記憶の上澄みだけを軽くなぞり、そして消えていく。
「だれかの一生を台無しにしてしまったら、どう償えばいいんですか」
「いちばんいいことなんて、もうないんだよ」
「あなたは逃げるものが
どんなふうに他人を傷つけたか、知っているはずだ。」
「告発の花じゃない、葬送の花だ」
「ここで、流れをせき止めてしまうつもりはない。彼女に会いに行きます。」
歌舞伎、見に行きたいなぁ…
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2002年11月19日読了。以下、過去の日記から抜粋。
以前読了済みの『ねむりねずみ』の続編。
ちょっと反則技じゃないのか、と種明かしの時点では思ってしまったが、
最後まで読まないと本当に分からない点はすごいと思った。
元々それほど長い話ではないが、おそらく飽きは来ないだろう。
むしろ早く結末を知りたくて必死で読むのではないか。
それぐらい、言うならば・・・嫌な書き方なのだ(苦笑)
物語のかなり前半のほうで奥歯に物がひっかかった風になり、
それをずっと引き摺ったままで物語がどんどん展開していく・・・
そして、ラスト。
これがまた、何とも言えないぐらいの後味の悪さなのだ。
主人公・瀬川小菊が結末に近付くにつれて、どんどん不安を覚えるように、
知りたいのだけれど知ってはいけないような、でも後戻りもできないもどかしさ。
うーん、巧いなぁと唸ってしまった一作である。
しかし、このシリーズを読むと、歌舞伎が見たくて仕方がなくなるので困るな。
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美しい、哀しい、覚悟の世界の物語。すごく好き。
絶版表示が出ていたので図書館で借りてきてしまったけど、なんとか入手したいところ。
シリーズの順番を無視して読んでしまったが、緩やかに繋がっているので順番通りに読み返したい。
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美しくも、厳しく儚い世界。
前作の雰囲気が気に入って続けて読んだ梨園シリーズ。
舞台に謎の花が降る、という師匠の言葉から始まった今回の謎。
花びらが一枚降るだけでそれ以外変わった事はないものの、師匠の鶴の一言で今泉に相談して謎の解明を仰せつかった小菊。
だが、今泉はこの件から手を引くよう、小菊に忠告する。
しかし、小菊も師匠の舞台の邪魔をする原因を突き止めるため動き出す。
調査の先に見えてきたのは、最近顔に怪我を負った奥州屋の若旦那と、彼の恋人と思われる滝夜叉姫と呼ばれる女性だった―――。
前回あまり活躍が見えなかった探偵役は今回は更に働かない(笑)いや、働けないだから、余計何の為に居るのか分からない(笑)
彼には謎の解明だけを期待して、話の流れは小菊さんに任せよう。
ハナから酷い言い様だが、一応探偵さんも好きですよ。役に立たないだけで(笑)
ミステリーとして読むには不満が残るが、歌舞伎界の人情話として読むと面白い。といっても、それが表れるのは最後だけだが。
運命のいたずら、という見方もあるかもしれない。だが、私としては滝夜叉姫が・・・なぁ。
彼女がやった事は些細な事かもしれない。けれど、状況が許さなかった。
伊織の歌舞伎役者としての立場を思えばそんな事をする事自体が間違っていたろうし、そういう形で恋人を試す彼女のやり方が納得出来ない。
確かに、彼女も恋人としての立場や将来に不安もあっただろう。
元来の彼女の性質もそれに拍車をかけただろう。
真実は二人の間にしかないのだろうが・・・やるせなさしか残らない。
最後に未来への予感を載せているのがせめてもの救いだ。
「謝る必要はないよ。謝られても、困惑するだけだ」
許せないことだから、謝らなくていい。彼は、このことばがどれほど人を絶望させるものか、計算して言っているのだろうか。
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予習なしに図書館で見かけて借りたもの。どうやらシリーズ物の2作目だったらしい。
歌舞伎の女形・小菊が主人公。
師匠の演目の途中で、客席に1枚の花びらが降る。
その謎を解いてくれと師匠に頼まれ、友人である探偵・今泉に依頼するが、楽屋である女性を見かけたことで、今泉は依頼を受けないと言い出す。そして、役者たちの間の悲しい関係が明らかになってゆく…。
歌舞伎の演目が題材と言うことで、知識のない私には少し読みづらい部分も…。また、1作目を読んでいないからなのか、今まで読んだ近藤さんの他の小説と比べると、登場人物たちのキャラクタが掴めないまま物語が進んでしまい、感情移入しきれませんでした。なので、評価は平均点ってことで…。
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面白かった。
小菊さんがでてきて、「あ、ねむり~の続きだ」とすぐに世界に入れた。
「ガーデン」とのつながりも、小さくでてくる。
今泉くんは、すごく勘がいい。
「ねむり~」もそうだけど、梨園は、芸事が一の世界なだけに、
人の気持ちは二の次になってしまい、哀しいことが多いのか。
たくさんの気持ちを犠牲にして、美しいのだろうか。
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男でも女でもないものが艶やかさを身にまとい謎めいた動きをする。小説の中では男・女の身体のイメージが目から入らない分、その魅力を読者それぞれに想像し感じることができる。映像がなくて幸いなもののひとつである。 歌舞伎「本朝廿四孝」の舞台に一枚の花びらが降る。誰がどうやってということ以上に、なぜ、なのか。犯人は役者あるいは関係者の誰に、何を伝えたいのか。 八重垣姫を演ずる師匠の命で、女形の小菊は友人で探偵の今泉に捜査を依頼する。初めは乗り気だったのに、勝頼役の市川伊織を訪ねてきた女性とすれ違ったときから今泉は急に事件を避けたがる。 小菊・今泉・助手の山本くん組の活動と、その女性、虹子の心模様を重ねて進行する。 語り口が優しすぎるくらい繊細で読む者の気をそらさない。
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今泉シリーズ。「ねむりねずみ」よりもこちらの方が好きです。
重たくてドロドロとしているのだけど、結末が気になって一気に読んでしまいました。
今泉、名探偵…っていうか別に何もしてない…(笑)
小菊、とてもいいです。このキャラ大好きだよっ。魅力たっぷり。
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2016/11/17
このシリーズはなんか暗いなぁ
歌舞伎に限らず芸術というものに囚われた人は何を犠牲にしてもその道を追求するんだろうけど、それの悪い面ばかりが読後に残る感じ。
悲しみとかやるせなさとか。
凄みとか圧倒される感じとかが残ると全然印象が変わるんだけどな。
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今泉探偵シリーズ3
歌舞伎座での公演中、毎日、決まった演目で桜の花びらが、たったの一枚舞い落ちる。
誰が、何のために、どのようにして、花びらを散らせるのか。
舞台に立つ、瀬川菊花は、弟子の瀬川小菊に、この謎を解くように言う。
小菊は、大学時代の同級生で、今は、探偵をしている今泉文吾と共に、調査に乗り出す。
しかし、今泉探偵は「調査をするのは、やめた方が良い」と言う。
小菊は、今泉の弟子の"山本くん"と共に、調査を続ける。
やがて、一枚の花びらが告白する許されざる恋と、歌舞伎界で起きた、三十年前の、悲しい真実が明らかにされていく。
歌舞伎の世界にとっぷりと浸かれる一冊。