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唐人と日本人の間に生まれた混血児たち、その親たちの生涯。
唐の俗世界に浸ってゆく日本の遣使たち。
世界都市長安ができるまで、阿倍仲麻呂、吉備真備、羽栗吉麻呂・翼・翔、藤原貞敏、弁正親子、喜娘、唐に渡った古代意匠異聞。
図表に遣唐使回数一覧、遣唐使航海地図。
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世界帝都・長安。この100万都市をめざした遣唐使5000人は、唐朝から礼節と容姿を称賛される。科挙に合格、唐高官となった阿倍仲麻呂、周囲に才能を嫉妬された吉備真備ほかのエリート。唐との架け橋となった彼らとその子たちを通し、古代300年にわたる日中交流の実態を描き出す。
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「混血児たちの大唐帝国」と副題にあるように、遣唐使と唐の女性と婚姻し生まれた世代の話が中心で、有名どころでは秦朝元・羽栗兄弟・喜娘など、個々の人物についてはかなり踏み込んだ内容、言い換えると割と推測(妄想)が多めな印象でした。
そういう話がほとんどない真備でさえ『宇治拾遺物語』の「魚養のこと」の説話に見える遣唐使人を真備とする説を挙げて紹介されてます。これ更に後世の解釈みたいなのでどうなんだろうと思うんだけど、後世、遣唐使自体に対するドリームって結構ありますよね。
この本全体的に渡唐した以上妻帯してて当たり前ぐらいのスタンスなのですが、ちょいちょい、きっと唐の美女と恋に落ちたんだぜってさらっと書かれてると当時の婚姻そんなもんかなみたいな気分にはなってしまう…
喜娘に関しては色々な推測の起点がこの辺りにあるのかーというのが垣間見える内容でした。やはりみな大伴継人とのロマンスに行きついてしまうのか…「喜娘」って小説あるみたいだから読んでみたいねみたいな締めだったのは笑ってしまった。読んどらんのかい。
何冊か読んでも一つの点で解釈が分かれてる石山寺一切経蔵『遺教経』の奥書に見える「朋古満」の大伴古麻呂or羽栗吉麻呂問題ですがこちらでは羽栗吉麻呂説でした。これだけ言い分が割れると、もうどっちでもない誰かなのでは??ぐらいの気持ちになってる。
(希望は古麻呂だけど)
あと当時唐で娶った妻は基本日本に伴うことはできないようなんですが、中にははっきりと唐人の妻を伴って帰国したのがわかる例もあって、羽栗吉麻呂も特例で妻子ともども日本に来たという説でした。で、後に清河の元に留まった羽栗翔の留まった理由などもちょっと今まで見たのと解釈が違ってました。