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紙の本
豊かで清冽な香気、澄み切った響き
2002/01/05 20:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
このような書物にめぐり会えることこそ「生きる歓び」というものだ。どの頁を開いても濃厚、濃密といった言葉とは少しニュアンスの違う何かしら豊かで清冽な香気、猥雑なまでに豊饒なものを蒸留した澄み切った響きのようなものが立ち上がってくる。
それは随所に引用されたまるで未来語で綴られたような──「生成途上にある」(435頁)思索が畳み込まれた──断章群と、ノヴァーリスの未完の生を愛おしみながら──かつ冷徹な解剖学者(パラケルススは森羅万象、万物がそれに従ってつくられる原型を知ることを解剖学と呼んだ)の手捌きをもって──これらの断章を整序編集する著者の端正で静謐な文章とが相まって醸し出す香気であり響きである。
抽象化と具象化(ヒュポスターゼ)。純粋な意味作用。
《ノヴァーリスにとって「抽象化」は、「浄化」「精髄化」でもある。数学、音楽、結晶、スコラ哲学などの抽象的なものの美とその美による魂の浄化の感覚がノヴァーリスにはある。》(268頁)
──折しもベンヤミン「ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念」の新訳(浅井健二郎)が出た。中井氏がノヴァーリスや初期ロマン主義の現代性・同時代性の「発見」に関連して参照すべき文献として掲げるメニングハウス『無限の二重化──ロマン主義・ベンヤミン・デリダにおける絶対的自己反省理論』ともども、本書によって啓示され告知された鉱脈への探索行の必携本として再読すべきだろう。
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