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近代トルコの歴史は複雑であり、難解であるかも知れない。しかし、オスマン帝国と日本との交流や日露戦争、あるいはロシア革命、第二次世界大戦といった世界史上の大きな事件の中におけるイスタンブルと、関わりのある人物を通して俯瞰した近代トルコ史はかくも、魅力に溢れダイナミックである。歴史を記述する際に、何を中心に置くか、は非常に重要であるが、本書のアイディアは面白い。意外な人物とトルコとのかかわりが浮き彫りになっており、何度読み返しても参考になる。本書で得たトピクを頭に入れておけば、関連事項の勉強には非常に有利になると思う。
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イスタンブールに縁のある人のエピソードからトルコを語る本だが、別に「愛した」わけじゃない人も何人か登場する。それなりに面白かったが、終わりが唐突過ぎる。終章かあとがきでもつけて欲しかった。
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トルコと深く関わりを持つ外国人(トルコ人以外)の事績を通じてトルコの近代史を学ぶことができる本。トルコ近代化の父と呼ばれるケマル・アタトゥルクを中心とした革命の歴史や、日本とトルコの国交の歴史などこの本から多くを学ぶことができる。一番驚きだったのは、第二次世界大戦において、ヨーロッパとアジアの中間という地政学上重要な位置にありながら一貫して局外中立を守ったという事。東西に挟まれた微妙な位置はトルコ人の外交センスの向上を促したようだ。
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トルコ旅行の参考に読んだが、トルコの近現代史が少し理解できた。クリミア戦争から第2次大戦までの約一世紀の間に、イスタンブールに滞在した日本人を含む12人のトルコに関わるエピソードを紹介している。さらに、12人が滞在した時期のトルコの近現代史についても、要領良く紹介している。12人のエピソードとトルコの近現代史を関連付けて読者の頭に入れるという試みは、成功している。取り上げた人物は、ナイチンゲール、シュリーマンからアガサ・クリスティ、ブルーノ・タウトまで幅広い。日本人も乃木希典、芦田均ら5人が登場するが、日本との外交関係樹立以前から民間大使として活躍した山田寅次郎のエピソードが興味深い。トルコの親日感情の起源が、日露戦争の勝利だけで無いことを知った。
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十九世紀半ばから二十世紀半ばまでの間,イスタンブールと関わりを持った人を12人取り上げている.
取り上げられているのは,
ナイチンゲール
シュリーマン
ピエル・ロティ
山田寅次郎
乃木希典
大谷光端
芦田均
橋本欣五郎
トロツキー
クリスティー
ブルノ・タウト
キケロ
でそれぞれ一つの章が与えられている.
数日イスタンブールに滞在しただけの乃木は特別としても,これらの人をさして「イスタンブールを愛した人々」というのは少々無理がある.
日本人に外交関係者が多いのは著者自身が外交官だったからだろう.
各章の前半でその人のトルコでの足取りをたどり,後半では関連するトルコの近現代史が述べられるのだが,全体を通してその前半は内容がうすく,後半は教科書的な記述でかなり重くて退屈(少なくとも私には)という感じだった.
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[誘惑と書いて、イスタンブールと読む]東洋と西洋の狭間にあって、数々の歴史的出来事の舞台となってきたイスタンブール。そんな都市に魅せられた人物のエピソードを紹介しながら、トルコの歴史についても合わせて教えてくれる作品です。著者は、イスタンブール大学で博士号を取得した後、イスタンブール領事などを歴任された松谷浩尚。
アガサ・クリスティーやナイチンゲール、さらには乃木希典に至るまで、歴史的な人物の多くがこの都市とかかわりを持っていることに驚かされました。紹介されている人物のリストを見るだけで、東西の別なく多くの人物を惹きつけた事実とともに、東と西をつなぐその地理的な重要性を再確認させられました。イスタンブールの観光トリビアも紹介してくれていますので、旅行の際はぜひカバンに入れておきたい作品です。
各章で紹介されるエピソードに付随するかたちでトルコの歴史がわかりやすく紹介されているのも、興味を持続させながら読み進めることができるために素晴らしい。歴史の教科書では残念ながらそこまで大きく取り扱われないと思うのですが、数々の混乱や戦乱を乗り越えながら独自の国・文化づくりを進めていった歩みには敬服の念を覚えます。さらに深くイスタンブールとトルコについて知りたくなること間違いなしです。
〜重層的な文化も芸術も、栄枯盛衰の歴史も、東洋も西洋も、古いものも新しいものも、聖なるものも俗なるものも、すべてを呑みこんで融合したのがイスタンブールである。〜
私もこの「人々」のうちの1人です☆5つ
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最近はトルコ国内でも不安な情勢であり、気軽にイスタンブールに行こうと思うことができず、残念だ。
ある都市について勉強したくなったときは、その都市の歴史本に手が伸びがちだが、本書のように都市に関連のある人物について、都市の歴史と絡めながら紹介する方法もとても良いと思った。
日本の和歌山におけるエルトゥールル号難破事件については、このところメディアで度々取り上げられている場面を目にするが、事件のみの紹介になりがちで、トルコに義援金を持って行った人物に焦点を当てていない気がする。本書では詳しく山田氏について述べているため、エルトゥールル号難破事件と併せ、国交のない時代の日本とトルコの民間外交について知ることが出来、非常に有意義であった。
トルコ旅行をしばらく諦め、本でトルコを楽しもうと手に取ったつもりであったが、ますますトルコへの思いが募ってしまったのである。
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(「BOOK」データベースより)
アジアとヨーロッパとを隔てるボスポラス海峡の両岸にまたがる国際都市イスタンブール。ここにさまざまな目的で滞在した日本人を含む一二人の人物の行動と記録を通して、オスマン帝国の崩壊からトルコ共和国の誕生まで一世紀にわたる激動のトルコの内外情勢をエピソード豊かに紹介する。同時に、歴史の宝庫としての古都の魅力や、同じアジアの一員としてかつて列強に対抗した日本とトルコの不思議な親近感をも伝えてくれる。
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エピソードを書くということ、作業としては、その準備を含め、大変なことだと思う。人物ごとに綴られるエピソードは興味深かった。また、イスタンブール、トルコが、周辺地域・国との関係で、重要な位置にいたことを初めて知ることができた。