紙の本
三島はなにを考えていたか?
2001/08/20 13:45
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投稿者:ゲップ3号 - この投稿者のレビュー一覧を見る
三島由紀夫氏がドナルド・キーン氏に送った書簡が収められている。どれも、これも三島がなにを考えていたかがよく分かる書簡である。三島の隠された内面が垣間見れる。死の直前の書簡は圧巻。
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魅死魔幽鬼夫の本音を知りたい。
三島由紀夫と言えば、劇的な最期を遂げた有名な小説家ですが、彼の作品を読んだことがありません。
そこで彼について知るために読んだ本がこのドナルド・キーンに
宛てた書簡集で、1956年から1970年までの15年間に書かれた
97通の手紙が収められています。
この本では、彼の伝統芸能や演劇や文学についての考えや作品の発表の舞台裏(お金の話も含めて)や様々な出来事に対する本音を知ることができます。
日本の古典的な伝統芸能や演劇についての背景知識を持っていないと何が言いたいのかさっぱり判らない部分がありますが、彼のユーモラスな人間性はこの書簡からも窺い知ることができます。
自分のことを「魅死魔幽鬼夫」とユーモラスに書いていた三島由紀夫が、「小生たうとう名前どほり魅死魔幽鬼夫になりました」と書いた最期の手紙は、彼が親しかったドナルド・キーンに宛てた遺書とも読み取れます。「文士でなく武士として死にたい」という文章も彼なりの最期のユーモアのつもりだったのかもしれません。
意見交換を手紙で行っていた昔の人達は、その手紙自体が交友録であり、それを証拠として残すことができました。
けれども電子メールに頼る私達は、電子データというある意味危うい媒体で連絡しあっています。
(パソコンや携帯が無いと見られず、しかもデータ簡単に消せるという意味での危うさです)
友人との交友録を手紙で残すというのは、今でも価値のあることなのだと思います。
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ドナルド・キーン氏は2011年4月にコロンビア大での最後の講義を終え、日本国籍取得と日本での永住の意志を発表。
東日本大震災が決断の契機となったとのこと。
88歳・・・
三島由紀夫と親交があったのは40代のころ。
知人が最後の講義を取材しに行ったので、今度様子を聞いてみたい。企画の狙いがまさに三島由紀夫からの手紙についてだと聞いているので楽しみ。
それにしても97通も送っていたとは驚いた。
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ドナルドキーンさんに宛てた三島由紀夫の手紙が時系列で掲載されている。自身の小説についてのみならず、芸能、歌舞伎、舞台、剣道のこと、俳優のこと、プライベート、会う約束についてまで、50年も前の手紙であるのに現在進行形のような、錯覚に陥った。三島が、「演じる」ということに興味を惹かれ、俳優という職業はなんて、興味深く楽しいことなのだろうと吐露しているところが本当に興味深い。1960年代のデモのことや、日本を憂い、政治家よりもタチが悪いのはメディアだ。というような、言いようなどにも、また共感を得た。キーンさんへ自身の小説の翻訳を望んでいたり、翻訳版の箇所や装丁などついても、率直な気持ちを述べるところなどもあり、興味深かった。
改めて、三島の小説をキーンさん訳で読みたくなった。そして、手紙ってやっぱりいいなぁとしみじみと思った。