紙の本
本当の君主とは?
2003/05/31 17:28
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
君主制という前近代的政治体制においても、ある一つの理想政治が描かれていると思い本書を手にした。しかし、政治的思想は良く読みきれなかった。私の読解力のなさの所以か? 本書がそれだけ難解なのか?
本書は、全26章から構成されていたが、その中で一番私の心を引きつけたのは、第17章「冷酷と慈悲について。また恐れられるよりも慕われるほうが良いか、それとも逆か」である。本章においてマキャベリは、君主としては慕われるよりも恐れられるべきである、と結論付けている。すなわち人間というもの慕うとは自分の都合の良い時だけであるが、恐れは、自分の都合に関係無く従うというのである。冷たいように感じるかも知れないが、マキャベリは人間という動物の本性を鋭く見ぬいているように思う。
また26章において、「神が何から何まで手を下そうとされないのは、私達から自由意思を、また私達に属する栄光の部分を奪わないためである」と述べている。私の思うところと一致する思慮深い考えだと思う。
本書を読んで、全て理解出来たとは言えないが、古代からの名書を読めた事で満足している。
付け足して言及すれば、本書の半分は、訳注に当てられていた。私は、これを読まなかった為に充分な理解が出来なかったものと判断するが、それだけ本書が難解であるという証拠であろう。
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現代のビジネスシーンも思い浮かぶ
2023/04/20 06:08
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投稿者:マーブル - この投稿者のレビュー一覧を見る
「マキャベリズム」と揶揄される、目的達成のための手段。人望でもなく、道徳でもなく、必要ならば相手を欺き、恐怖させ、人心を操る。しかし、現代のビジネスシーンでは、ごく当たり前のことのように思える。本心から「いい人」である必要があるだろうか。人望を失い足元をすくわれる様な悪評をあえて取る必要などもない。独断と思われてはいけない。何もかも部下たちに相談、任せることも違う。時に演技し、時に秘密を持つ。寛容に見せ、しかし不要となれば容赦なく切る。身の回りに置く者達は厳選し、しかし心を許すわけでもなく厳しく監視する。
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イタリアのメディチ家と縁のあるマキャベリの、帝王学。
君主とはこうあるべきという、モデルが書かれています。預言者の出現によって衰退する直前の人生の絶頂期に書かれた作品。経営者になりたいなら、読んどくべき。
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高校時代の世界史の先生に影響されて手を出した本。当時は時代背景もあやふやなまま読んだため、「ふーん」という程度の感想しか持ちませんでしたが、メディチ家との関わりを知ってから読むと、妙に納得。
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マキャベリズムを理解する一助となるかと思って読んだが、同じ著者の『戦術論』および『ローマ史論』も読まねば、万全は期し得ないようだ。
書かれた当時の情勢を引き合いに出す事で分かり易く書いたのであろうが、世界史を浅くしか学んでいない僕には却って理解を迂遠にした。だが、論旨は正鵠を射ていると思う。
訳文については、逐語的で理解しづらい面が多い。アマゾンレビューを参照する限り、純粋にマキャベリズムを学びたいのであれば他の本が有用な様である。ただ、脚注が多いのはかなり評価できる。
【0603古/060529了】
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政治家の必読書ということで読んでみた。現代とは時代背景が異なるか。時に非情さも必要かも知れないが、一人一人の国民の感情も無視はできない。
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高校のころ2PACに影響されて読んだが、旅の共にもう一回読み直した。
ひたすら論理的で帰納的。
確かに普遍的に通じるものが多いが、条件をよく考えてから応用しないと危険だ。
それくらい世の中は成熟した。
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15世紀イタリアの混迷を背景に、安定した支配を成しうる君主とはいかなるものかを説いている。
歴史的事実(注によればかなり著者の視点で選別されているようだが)を基盤に、政体の獲得・維持に必要な要素を整理し要点を述べ立てている。現在の政治学や政治的事象に通じる部分も多く、「今なお色褪せていない」という評価は言い過ぎではないだろう。
文中しばしば大衆の幸福の実現(財産の不可侵等)について言及している箇所があり、彼に対する「冷酷非情」という短絡的な評価が必ずしもあたらないことを示している。最小限の犠牲としての「冷酷さ」を志向していたのであり、現代の北朝鮮のような独裁・弾圧型の政権と結びつけて考えるのは早計だといえる。
現代に応用する上で補われるべき要素としては、支配装置としてのメディアの操縦法があると思う。人口規模等を考えると当時情報伝達・流布装置に関して深く考える必要は必ずしもなかったのかもしれない。
訳文は平易で読みやすい。訳者の10年越しの苦労が伺える。
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手厳しい。偏見が入ってるような気がしなくも無い。
中国で覇王と呼ばれる偉人と比較すると面白い。参考とするなら伊藤肇の「現代の帝王学」かな。西洋と東洋の『王』の定義がなかなかに。
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半分が注釈だったもんで、案外に早く読み終わってしまった。
君主制と現在の日本を比べてもしょうがないのかもしれないけど、為政者はやっぱり多かれ少なかれ狐の狡猾さとライオンの獰猛さを持ってなきゃならんと思うわけね、つまり、全体にとっての善を成しえるためには瑣末な偽善は必要であると。現在でもこれは当てはまるよね。為政者は誠実で正直な善である必要はないが、そう見せかけることは必要である。
ここまでメディアが発展し、大衆化が進んだ現在、それが困難なことは昨今のニュースを見ても明らか。政治家にとっては、ある意味かわいそうな時代になったよね。まあ、だからといってその行為を黙認はできないんだから、更なる狡猾さを身につけていくんだろうなあ、政治家は。
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HIPHOPの2パックにはまっていた頃に彼が獄中でずっと読んでいたということから興味を持ち、ずいぶんと読んだ。
非常に現実主義的であり、おそらく政治の世界や戦国を生き残るにはこういった考え方がなければならないであろうが、それは現代においても同じ。
自分もいろいろな場面でリーダーシップを執ることが少なくないが、そのときの基本的な信念はここから培われたと思う。まぁ、中学から読んでますから。笑
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ずっと読んでみたかったんですけど。意外と薄い本だったのでびっくりしたんだったり。 そこまで面白いとも思わなかったかなぁ。読みやすかったけど。君主政体にはいろいろな形があって、それぞれの場合にどのようにふるまえば長く統治をすることができるか、ということを、作者の経験の観点から書いてある本です。
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国を率いる君主が持ち合わせるべき要素とは。「ずるい」代名詞のように名前が使われるマキャベリですが、現代のリーダーシップ論につながるところもあり、実は大変興味深い著作です。
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会社とかで馬の合わない上司とかに当たってしまったとき、使えそうなワザがちらほら。
面従腹背ぜんぜんあり。マキアヴェッリが言ってたんだ、と思えば心強いかも。
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全二十六章のうち
1章~14章が君主政体論
15章~26章が君主論
になっている。
君主政体論については世襲の政体or新興政体のように対立的に分かりやすく書かれており、その政体はどういう傾向があるのかについて例を出しながら書かれている。
チェーザレ・ボルジアが出てくるのは主に7章~9章。
物語的におもしろい本というよりは、使える本だと思って買った。
チェーザレを読んでふと読みたくなったから。
P.43
「人間というものは常に他の人々が通った道を歩むものであり、彼ら先人の行為を模倣しながら進むものだ。賢明な人ならば常に偉大な人物達が通った道から入って、甚だしく抜きんでたそれらの人々の真似に徹すべきである。」
P.116
「なすべきことを重んずるあまりに、今なされていることを軽んずる者は、自らの存続よりも、むしろ破滅を学んでいるのだ。」
P.172
「頭脳にはおよそ三種類がある。第一は自分の力で理解し、第二は他人の理解を聞きわけ、第三は自分の力でも他人の力でも理解しない場合だ。第一は格段に優れ、大にも優れているが、第三は無能である。」
こういうのを読むと素直に感服する。今も500年前も大して変わっていないのだ。
倫理的には良くないと思われることも多く書かれていたりするが、それも含めて真理であることが多い。決して口に出しては言えないが、正直正しいと思うことがかなりある。
管理職の人なんかは実際に使えそうなことも書かれている。今の僕には全くと言っていいほど関係が無いけど、こういう考え方も大切じゃないかなとは思う。