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怪文書『メルヘン小人地獄』がマスコミ各社に届いた。その創作童話ではハンナ、ニコラス、フローラが順々に殺される。やがて、メルヘンをなぞったように血祭りにあげられた死体が発見され、現場には「ハンナはつるそう」の文字が……。不敵な犯人に立ち向かう、名探偵の推理は如何に? 第八回鮎川哲也賞最終候補作、文庫オリジナル刊行。
・レビュー
この作品に関しては賛否両論ありそうではあるが、個人的には傑作であると評価したい。
推理小説としても完成度が高く、読者がそうそう予想できないであろう展開も面白い。
また、キャラクターの使い方も上手く、「名探偵」という文字を見て読者のイメージする「名探偵」を登場させながら、その心理状況にも触れている。
名探偵であるからこそ背負うものというものに焦点を当てていて、ラストの場面は印象的。
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二部構成という珍しいスタイルのミステリー小説。第一部の派手な事件の後だったので、第二部は何となく地味な印象を受けたが、読み終わってみれば第二部の秀逸さに舌を巻く。ただ、真実を求めて律した探偵だけが救われないのが切ない。
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城平京の長編ミステリ。
作者の名前を聞いて首をかしげたが、それもそのはず、昔読んでいた漫画、「スパイラル ~推理の絆~」の作者だった。
正直、漫画原作としての城平京しか知らなかったので、ここまで入り組んだミステリが書ける作者だとは思わなかった。嬉しい誤算だ。
物語は二部構成で書かれていて、どちらの話も展開が二転三転して面白い。
登場人物が少ないため、犯人当て等の要素は少ないが、それぞれの人物にスポットがあたっていて物語に入りやすい。
そして読み終わってみると何故二部構成だったのかがわかる。そしてタイトルの意味も。
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非常に深い。
ある意味ミステリーの真髄と言うか、ある意味永遠のテーマだよなぁ、と思った。
城平作品はスパイラルのノベルスしか読んだことがなかっただけに衝撃的でもあった(スパイラルはかなりマイルドなのね……)。
前半の「メルヘン小人地獄」は派手で人が嫌な殺され方をするなど、やたらミステリ的に感じたが、後半の布石に過ぎない。それ、とんでもないなと、読み終えて思う。
とにかく何も知らずに読んだら結末に驚く一冊だ。
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一部を読み終わったときはオーソドックスな探偵ものだと思ったけど、二部を読んで衝撃を受けた。とにかくめちゃくちゃ面白い。
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名探偵の宿命と苦悩
二部構成になっているんですが、面白いですねー。 「小人地獄」という完全毒薬をキーに話は進みます。第一部は、猟奇的な連続見立て殺人を、第二部はその事件から2年後の新たな事件の謎をを名探偵が解き明かします。 ミステリーとしても面白いですが、特に二転三転する第二部は目が離せません。 謎解きだけじゃなく、探偵瀬川の内面を、名探偵故の覚悟と苦悩が丁寧に描かれてます。
前半グロい表現もありますが、くじけず読んでよかったです。
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瀬川という名探偵のキャラクターがすごく良かったです。タイトルからなんとなく男性の探偵かと思ったら女性でびっくり。第1部ではクールでかっこいい…!!ぐらいにしか思ってなかったのですが、第2部は瀬川視点に代り、彼女を中心としていたのでもっと好きになりました。
名探偵には名探偵故の苦悩があった。この作品を読むまで気付きませんでした。その生き方に悩む彼女は切なくて悲し過ぎますがやはり美しいと思わざるをえません。
もちろんミステリーも良かったです。二転三転して面白かったです。城平さんの作品はこれが初めてだったので他にも読んでみたいです。
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読み応えあるなぁ。これの場合、探偵は職業でなく生き方なのだな。そう生きざるを得ない、という感じではあるが。
メルヘン小人地獄の殺し方は相変わらず、うぅ…となった…。
これがあっての虚構推理かぁ。
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ちょっとおかしい人間が作ったと思われる小人の話に従って行われる見立て殺人のお話。
1部と2部にわかれてるけど1章と2章みたいなかんじでつながってます。
瀬川のキャラはあんま好きじゃないかなぁと思ったけど、物語終盤まで読み進めて☆3かなと思ったけどさらに読み進めて☆4に。そして読了後には☆5にしました。
つまり結末が近づくにつれおもしろくなっていきます。
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この作品は1部と2部に別れてますが、絶対に両方読むべきです。
1部で出てきた人物のほとんどが、2部では事件の容疑者となっています。知らない人物は夫の再婚相手くらいでしょう。
「名探偵」の推理が1つ2つと展開されていきますが、実際の真実は……私は真実を知った時、どきりとしました。
こんな真実は予想できなかった、というよりできれば知りたくなかった気がします。(決して非難しているわけではないです)
果たして名探偵とは何なのか、考えてしまいます。
推理を見事に解くことって、本当にすごいのか、いいことなのか。
名探偵ゆえの何かを抱える瀬川みゆきを、皆様にも見てもらいたいです。
あ、1部の主人公はみゆきではないですが、こちらもおもしろいです。ただ、死体のシーンは少し気持ち悪かったですね。
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たねいりさんより。
○全体的に厨二。主人公サイドのチート加減はんぱないわ
○第一部読了。うーん…事件のトリック自体はそんなに前評判から想像するほどよくはなかった。いささか小粒感。むしろこれは、名探偵の華麗なる登場のためのおぜん立てだったのではないか、というくらい、すべての物事や描写が名探偵を賛美する方向に向かっていた気がする。
○名探偵の優しさやすごさは、作品のつくりこみから匂わせる程度が一番効果的だし上品だと考える。大げさな書き立て方は、むしろこの作品を名探偵のチートさを描きたくてかいたのではないか、とすら思わせる。 設定にのまれてないか?解決も、「小人地獄」の出自の猟奇性や、作品に対する「駄目」はこんな感じ。 「嫌い」はそれほどなかったが、文体のごてごて感は鼻につく人もいるかも、雅文調と口語体をまぜこぜに使うので、頻繁に読み手はテキストの書きぶりの路線変更に余分な体力を奪われるし、本人は読んで美しい文章を心がけたのだろうが。
○さて読後感想。まず第一部の前に第二部が書かれ、第一部はむしろ第二部の補強にしかすぎなかった、というのが新鮮だった。部立て? 章とか話じゃないんだ、と、なんだか中途半端な感じがしたが、読了してみると全体のストーリーにはこの形式がきわめてぴったりのように思う。
第一部ではいささか大仰で、キャラ先行のわりには事件真相は小粒感があるな…というあまりよくない印象を持ってはいたが、第二部を最後まで読むと第一部・第二部のボリューム、構成はわりとすぐれていたのだな、とわかる。もちろん、特に第二部の出来栄えが素晴らしかった。
あをだま@読書実況垢@galactose9
名探偵以外のキャラ付けがやや安直、一部と二部でのわずかな人物描写のずれ、または第一部の読みにくい文章(あの雅文はわざとだったらしいが@作品解説)、と瑕疵はあるものの、名探偵という存在自体に向き合いつつ謎と解決もおろそかにせず、きちんとミステリとしての品質も保つ良作である。
追伸:このタイトル、、読了後に表紙を見返すと本当にぐっとくるものがあるね(´・ω;`)
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「名探偵」に薔薇を
ちょっとしたミステリー読みの脳みその痒いところを直に掻いてくる小説。
この作品の探偵役、瀬川みゆきは名探偵だ。物語の事件の渦中に居て探偵役になるのではない。
事件がそこにない段階から瀬川みゆきは名探偵なのだ。
僕は探偵が解くために事件が起こり人が死ぬ作品が嫌いです。名探偵コナンとか、金田一少年の事件簿とか。
この作品も当初からそんな雰囲気が立ち込めている。使用方法さえ守れば、絶対に検出されない毒薬、世間を騒がせるセンセーショナルな殺人事件、そして約束された名探偵。
一部二部共に漂うミステリーの定石とお決まりに妙な雰囲気。
しかし、用意された世界は全て謎の本質に集約しました。
虚構世界の名手、城平京の手がけるミステリーはトリックで読者を騙すのではなく、小説で騙す。
謎が解かれた瞬間布団に何度も頭突きをしてしまいました。
名作。
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各登場人物が人工的すぎること、特に「名探偵」瀬川みゆきが余りに記号的なのがやはり気になりました。もう少しリアリティのある「名探偵」を登場させれば、より読者も感情移入しやすいラストになったのでは?と思ってしまいます。ただそう考えた上でも、個人的にかなり好きなタイプの作品でした。
第一部は仰々しいガジェットのわりに小粒な感が否めないですが、「メルヘン小人地獄」という物語自体が犯行計画に組み込まれているのという発想が秀逸です。第二部はダミーの真相だけでも十分に唸らされるのに加え、第二、第三の解決が「名探偵」という存在を完膚なきまでに追い詰めてしまう展開が、何ともうまくできています。話題になっている著者の新作も、ぜひ読んでみたいと想います。
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猟奇的な描写や、魅力的な登場人物、文章のうまさにひかれるけど、トリックとしてはあまり面白みがなかったと思う。すくなくとも、謎が解けて「あぁ、そうだったのか」と思えるような必然性や伏線はなかった。
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城平京の長編デビュー作ということだが、素晴らしいの一言である。
第一部では、真っ当なミステリーを描いた。多少グロテスクではあったが、ミスリードも巧みで、緊迫感や切迫感や恐怖感などを抱かされた。後半は名探偵がやって来てあっけなく解決されてしまったけど。
第二部では、名探偵を主眼に虚構の事件を描いた。真実を暴いては覆され……。それは正しいことなのか。どうすれば良かったのか。真実とは何なのか。それにどんな意味があるのか。
ある名探偵が抱える苦悩、宿命、孤独、業を見事に描き切った。
せめて……名探偵に薔薇を。