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とにかく面白い! 時間との勝負なところがあって中々ハラハラさせられる。ホーガン得意の規制の厳しい社会主義的アメリカが舞台になってる。ホーガンがいくつもの小説で力説(?)してる【政府のあり方】というのがまさに理想の政治なんだね。政府とは国民を統制したり規制する能動的なものじゃなくて、純粋に受動的な、簡単に云うなら【交差点で渋滞を整理してるお巡りさん】であるべきだという物なんだね。現在の世界で広く信じられてる考え方、【誰かが得をしてる時は別の誰かが損をしてる】っていうのは間違いだと云ってるわけです。力(規制や抑制も一種の暴力だとホーガンは云ってる)では誰も幸福にはなれない。情報を秘匿することで得られる富や権力は、情報を公開することで得られる富には比べられない。などなど。権力に縋って生きている者はもっと権力を持つ者にあっさり切り捨てられてしまう危険があって、その可能性に汲々としなければならないから結局は幸福ではない。とかね。この本の中でホーガンが仏教の【地獄】に簡単に触れてました。あの、極楽と地獄には同じご馳走と箸があるけど、そこにいる者の違いが地獄を地獄たらしめているって奴。
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"If"の世界に旅立てたら。ちょっとした選択肢の違いにより人生がずれた自分に憑依できたら。そんなとんでもない設定を違和感なく読み進めることができた。
また、そのようなテクノロジーを手に入れた人はどのような振る舞いにたつのか。後半戦のスリルも楽しめた。
物語としてももちろん面白かったが、「今の世の中に無駄は多いなと。現実世界の人は無意味なことに結構な割合のエネルギーを費やしているんだよなぁ」、とあらためて気づかされる一冊であった。。
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しばらく積ん読してたのを掘り出す。最近続いてるパラレルワールドSF。ホーガンらしいハードSFで、話の流れもある意味いつも通り。ハードSFの作家ってのは、お話を作りたいんじゃなくて、理論を紹介したいからか話のパターンにはあまり幅がないよね。テーマの選び方掘り下げ方が上手いから、それでもすごい面白い作品になるんだけどね。
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うーん、読んだ当時、多元宇宙的なパラレルワールドの説(?)が聞かれだした事もあって食いついて読んだ。
並行世界との通信がなんの役に立つのかと思いきや、物事の真偽の信頼度を多数決・統計的に数値化するアイディアは単純だがアリかも。
それ以降はファンタジックな内容になったが面白かった。
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JP ホーガン 「量子宇宙干渉機」
パラレルワールドなSF小説。量子コンピューターを媒介して、複数世界(それぞれの世界にいる自分)へ転移していく。量子力学の多世界解釈というらしい。物理学の知識がなくても読める。
完全な世界は実現できなくても、世界を改善することはできる というのが 著者の世界観。
世界滅亡の前に 人間は何ができるのか というのが テーマにあると思う。この本のアプローチは
*転移による別世界への逃避
*西洋科学と東洋哲学の融合
*人間の直観による科学の進化
*進化による淘汰、分化、自制
量子力学の多世界解釈=多元宇宙
*あらゆる可能性が 実際に発生していて同じように現実である
*起こりうることが すべて 現在のみでなく 過去、未来も含めて どこかに存在している
*人の体験となる一連の出来事は 全体の中を貫く 一つの起こりうる流れに過ぎず、偶然や選択により決定される
量子コンピューターが媒介する 別世界の私(コピーでない私)
*それぞれの私が独立して存在しているわけではない
*私の構成要素が 各自の置かれた環境で異なった行動をとる
転移=別世界の私へ乗りうつる
*短距離の移転であれば 行き先は この世界と似た場所
*長距離のジャンプは 別の世界、別の歴史、別の人生
科学と洞察力、合理的と直観的
*多元宇宙において繋がっている
*合理的な自己利益の追求は 戦争に繋がる
*難しい決断において最善の選択肢を見つける
世界は改善できる
*生涯を終えたとき 世界をより良くするために 少しでも貢献できたなら、その人生は意義あるものだった
*相手を憎まない方法を学ぶ〜他人を放っておく