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ピアノ「教師」ではなく、「学習者」である著者が、『中高年齢者のピアノ学習の意義と可能性』をテーマに研究し、書いた論文をわかりやすく本にしたもの。
学習者視点なので、結構厳しいことが書いてあって刺激になった。
例えば研究でのアンケートに47歳の女性が「<乙女の祈り><花の歌>が弾ければ悔いなし」と書いてあることに対して、
「現状の中高年齢者のピアノ学習への意識は、多かれ少なかれ、こんなものなのである。そしてなお悲しいことに、この中高年齢者のピアノ学習を支え、啓蒙し、より高い可能性へと導くのが仕事の筈のピアノ教師でさえも、それに同調するかのような低い意識レベルしかもっていない。そして、そのようなジャンルを、一般に”大人のピアノ”と呼んでいる。」
「正しい方法によって実力が付き、第4グレードの楽曲が弾けるようになれれば、他の同レベルの楽曲も、容易に弾ける筈であるし、弾けなければならない。弾けないと思うことは、どこかに認識不足があり、実際に弾けないのであれば、学習過程に重大な欠陥があることになる。」
「私は、現在の日本の中高年齢者のピアノ学習者も、同様に、その程度のピアノ曲は、ちょっとした意識の変革によって弾けなければならないと思う。また、そうでなければ、学習者の主観的な意識は弾けなくて満足でも、投資された時間と労力を考慮すれば、明らかに徒労ではないか。」
等々。。
回りくどい部分やしつこい部分はあったけど、面白かった。巻末に中高年齢者へのピアノに関するアンケート結果が載っていて、励みになった。
その他、印象に残った部分は引用に。