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日本社会に巣食う腐敗と対峙し続ける東京地検特捜部。
最強の捜査機関をはばむ壁とは何か。元特捜部長が戦後
裏面史の真相を明かす。(1998年刊)
序 章 巨悪と戦う検事たち
第一章 疑獄事件とは何か
第二章 戦後混乱期から発展期にかけての疑獄事件
第三章 高度経済成長期の疑獄事件
第四章 五五年体制爛熟期の疑獄事件ーロッキード事件の衝撃
第五章 ポスト五五年体制期の疑獄事件ーリクルート事件以後
第六章 特捜検察の役割と機能
第七章 二一世紀の検察はどうなるか
終 章 検察官を目指す人へ
著者は昭和31年東京地検の検事に任官。東京地検特捜部長、最高検刑事部長などを経て、東京高検検事長となる。平成5年退官。弁護士、帝京大学法学部教授。
ネットで検索したところ、四国新聞社のニュースに訃報記事が、2001年に逝去されている。(以下略歴をコピペ)
京大卒業後の56(昭和31)年に検事任官。東京地検特捜部長、甲府地検検事正、高松高検検事長などを歴任し、92年5月から退官した93年6月まで検事総長に次ぐ検察ナンバー2の東京高検検事長。東京佐川急便事件や故金丸信元自民党副総裁の巨額脱税事件などの捜査を指揮した。
序章には「私は、ここに諸先輩から伝聞したノートと自分自身の経験に基づいて、(中略)戦後日本の犯罪史を彩ってきた疑獄事件の数々を振り返ってみようと思う」とあり、昭和電工疑獄事件(昭和23年)から金丸事件(平成5年)までの疑獄史を振り返っている。この過程で、疑獄事件の様相がどの様に変化していったのかがわかりやすく解説されている。
著者によると「職務権限の壁」をどう乗り越えていくくかが戦後の大きな課題であったという。また、バブル経済以降、政治家や官僚のモラルが著しく低下したという見方をしている。
記述がぼかされている部分があり、隔靴掻痒の部分もあるが、指揮権発動の裏側などに触れられているのは戦後史の貴重な証言といえる。第6章では特捜部の成り立ちが解説されており参考となる。