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著者は、国際政治学者であり、文明論も専門とする中西輝政(京都大学大学院人間環境研究科教授)さんです。
新しい歴史教科書を作る会の理事もやったことがある人で、いわゆる保守派の人です。
本書は、世界史的・文明史的視点から日本の衰退と再生を洞察しています。
著者は、日本の再生のために、個々の改革の必要性は認めつつ、それはあくまでも「日本」の歴史や哲学を基礎とした「日本の改革」でなければならないと主張しています。
世界史的・文明史的な視点が面白いと思います。
ハンチントン教授の『文明の衝突』と合わせて読むと、より一層理解が深まるでしょう。
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かなり目からウロコ的視点があり、個人的には結構納得のいった一冊。面白かった。残念ながら読んだ直後に感想を書いていない為、ウロコの一例を挙げられないのが無念・・・。そんな曖昧な中にも関わらず、一読はススメます。ローマ帝国との対比なども興味深かったです(辛うじて大雑把な一例だけ)。
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【一言】
・国家を再生するためには国民の意識改革が必要。
【要約】
・国家が衰亡する主な原因は2つ。
?国家が生来的に有する衰亡と再生のサイクル。
?外来の神を導入することによる価値観の変化。
・国家を再生するためには、国家のシステム改革だけなく国民の意識改革が必要だ。
【感想】
・?を原因としつつ国民の意識改革が必要というのは矛盾している。(誤読かも)
・「意識改革」といっても具体的な施策がイメージできない。
・論理展開が雑な印象でもうひとつ納得感がない。
(H)
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大国の興亡の光景を描き、文明衰退の理を歴史の教訓から
導き出す。
史上、外敵の侵入で滅んだ国はない。
衰退はその国の「内なる原因」によってなされる
企業経営も同じで内部からの崩壊が原因となる。
☆ミメーシスのパラドックス
☆千年続く帝国
☆外来の神
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+
・道徳の頽廃とその社会の活力の衰えとは表裏一体であるとした上で、文明の衰退は内なる要因、特に精神的、文化的要因などの自己決定能力の喪失から発するという観点から、衰退のケースとしてローマ帝国・大英帝国を、反例として外部文化を巧みに自己化することで文化の破綻を防ぎ1000年以上命脈を保ったビザンチン帝国と、普遍的な理念を持ちえることで継続していた中国とアメリカの繁栄の要因が解かれていた。
・文明の成長は創造的な少数者にて行われ民衆は機械化された仕組みのもとでエネルギー効率の上昇を図るべきであるという普遍的な理論を『よき指導者と馬鹿な大衆の組み合わせが高度成長の要因』 と標榜した上で、『しかしエネルギー効率に傾倒すると組織が硬直化するために、予防としての普段の柔軟性と自発性という創造力もまた重要である』とし、日本の衰退の一要因を指導者の後継者が育たないことである、と主張している。
やや脱線するが、日本の更なる問題点は、創造的な少数者が現れて改革を成し遂げようとしてもその成果は一日にしてははかりしれない上に、改革とは既成権威にとって本質的に害となりうるために批判的な権威がメディアを用いて、盲目の激情に身をゆだねがちな大衆を眼前の取るに足らない問題の糾弾へと誘導し世論を形成させることで、改革を阻害することにあると思われる。そこで、次はメディアリテラシーについて学ぼうと思う。
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ただ、本書において数例の例示にとどまっている点と実例と主張の間でやや論理の飛躍がなされていると感じた上に、論旨の根幹箇所にて『思う』などの主観を交えた文章が多用されていた点から筆者の主張に説得力が薄く感じた、新書という枠では収まりきらない論点であったことにも起因していると思われるので著者の他の本も読むことで論旨の補完をおこないたい。
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・ローマ、大英帝国にて精神の弛緩、新奇さや派手さに傾倒、自己規律の欠如、新興宗教が衰退要因。極端に物質主義に傾斜する時期と逆にそれへの無意識の罪悪感が働き不合理な迷信なようなものに敏感に反応する時期が交錯する中で、いかに国家としての体制を保つか。
・ビザンチン帝国は自己の国家体制と文明構造のなかに位置づけなおす、習合という文化摂取方法にて伝統を継続と外部要因への適応力を維持することで命脈を保つ。
社会科学、現実の社会が当面している問題を関心から搾り出し、極狭い歴史の視野から解決策をみいだす。
ポストモダニズム、近代を超克、退廃の現象
・文明の更地性や論理性・合理性と抽象観念などの純粋な理念のみが表出する普遍主義的な性格ゆえに特別な論理の必要性のある米中。
国の本質として膨張する活力のはけ口を力にて実行しその行動理念を民主主義と据え置き、その力の名のもとに世界を蹂躙しようと試みたのがアメリカ
儒教と共産主義による世界の解放というイデオロギー、中華的な普遍性を放棄せざるを得なくなった上で、国家として掲げるべき理念が消失し対日感情の勃興させることで民意
の矛先をかえ、中央への支持をなんとか維持しているのが中国
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再出版されたんですよね
それでも、もう時評ですらも忘れられて。
内容的に今現在でも斬新と言いますか、歴史の繰り返し
を突きつけられてオドオドするしかなかったですね。
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グーグルブックスで半分ぐらい読んだ。ローマ、イギリスの栄枯盛衰から日本の衰退を批評しているらしいが、はっきり言ってどうでもいい講釈という印象をもった。こんなことをグダグダ書いている前に、いまのデフレをなんとかできるのか、という問題意識をもってほしい。
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[ 内容 ]
文明の衰亡は必然なのか?
衰退から逃れる道はないのか?
本書ではローマ帝国、ビザンチン帝国、大英帝国、アメリカ、中国そして江戸時代の日本など独自の世界を確立した大国の興亡の光景を描き出し、その「文明衰退の理」を歴史の教訓から導き出す。
史上、外敵の侵入で滅んだ国はない。
衰退はその国の「内なる原因」によってなされたと著者は論ずる。
世界史的・文明史的視点から、日本の衰退と再生を洞察する「衰退学」の集大成である。
[ 目次 ]
序章 愚かなるオプティミズム
第1章 衰退とは何か
第2章 衰退を考える視点
第3章 大英帝国衰退の光景
第4章 ローマの衰退とビザンチンの叡智
第5章 衰退の行方を決める文明の構造
第6章 江戸時代の衰退と改革
第7章 衰退する現代日本
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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ここの所モヤモヤとしてた中国、米国の身勝手さも解説されており、頭の中がスッキリと整理された。
やはり、「憲法改正」まで行かないとね!!
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いまだに「坂の上の雲」を目指している国や業界、シニアのための、健全なる衰退学の本。
二十世紀初頭イギリスの女性進出やグルメブーム、ビザンチン帝国が千年続いたワケなど。
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(略)トインビーはメレディスの言葉を引きながら、「成長と衰退とは裏腹である」と述べ、文明の成長はつねに「創造的な少数者」によってなされるという。社会というものは、常に全ての人が創造的な活動に従事しているわけではない。必ずしも創造的ではない一般大衆が圧倒的多数であり、すべての人を創造的活動に向ける事は不可能であるとトインビーは指摘する。
たとえば産業革命が起こって社会が急速に変化していくとき、指導者は社会をいっそう効率的に進歩させるべく方向づけ、そこでは「誰もが模倣できる仕組み」をつくらねばならない。そのたびごとにそれぞれの個人が想像するのではなく、誰もが取り扱うことができ、簡単に模倣ができるメカニズムによって、圧倒的多数の人々を成長のプロセスに参加させねばならない。
トインビーはこの仕組みをギリシャ語で「ミメーシス」と呼んでいる。ミメーシスとは「順応あるいは模倣すること」で、大多数の人が創造的な少数者の行為を忠実に模倣しそれを繰り返すことによってのみ、社会全体として意味のある生産活動につながりうるわけである。
中西輝政著『なぜ国家は衰亡するのか』p33
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1998年初版の本。買って大分経つ。僕が購入したのは2001年で、購入当初ざーっと読んでいたのだけれど、今となっては中身を殆ど覚えていない。
最近読んだ松井博さんの『企業が帝国化する』に触発され、今の世界と企業について少し考えたく思い、本棚の奥から拾い出し、読み直しているところ。
この本を読む手前で佐藤優さんの『人間の叡智』、寺島実郎さんの『国家の論理と企業の論理』を読み直しているんだけど、『なぜ国家は衰亡するのか』にいたって、問題の構造が大分すっきりした感じ。国家、企業、社会、個人この4つを立体的に捉えないと駄目だということを改めて感じた。「帝国」という概念とその歴史については、もう少し勉強しないと状況を自分なりにクリアにするところまではいかないけど。
再読完了。
内容紹介に「世界史的・文明史的視点から、日本の衰退と再生を洞察する衰退学の集大成である」と記載があるが、まぁ新書程度で集大成なんて出来ないよね、という構成と記載内容ではある。著者もあとがきで似た様なことを書いているw。
しかし、読む価値無いかと言ったら全然そんなことはない。
少なくとも僕には非常に示唆に富む内容であった。そして、本書で指摘されている問題や課題は2013年のいまでも解決されているとは思えないわけで、今読み直して正解だったなという思いが強い。
僕たちは基本的に政治は政治で政治家がちゃんとやってくれ。経済は経済で起業家や経営者がちゃんと経営してくれ、って思っちゃうところあるよね。でも実際は「政治経済」という視点でモノゴトを理解したり、施策を立てて取り組んだりしないと駄目だよねと気づかされる。おまけにどれほど企業がグローバル化したとしても、国という概念がなくならない限りは、僕たち日本国籍を持つ人は日本国民なわけで、どうしても国家というものを視野に入れておかないといけない。一方ではグローバルな時代なんだから国なんて関係ない、なんていう輩もいるだろうけど、僕は寺島実郎さんのいう「世界は国籍不明のコスモポリタンなんて相手にしない」という言葉のほうが説得力あると思う。
そういう意味で今回の再読をキッカケに、世界、国家、社会、企業、個人という骨太な理解の軸を作れるよう、読書に施策に仕事に取り組んでいこうと思う。
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100年前の英国で流行ったもの、海外旅行、温泉ブーム、グルメブーム、そして不倫、インテリ青年たちの古典離れとマンガ、健康への異常な関心、得体の知れない新興宗教、快適な都市生活の享受と海外勤務の敬遠、イベントばやりの生活、そしてポピュリズム・・・当時はローマの末期に似ていると言われたとか。そして第一次大戦で は、英国は最も没落することになります。どこかの国に似ています。しかし、筆者は先進国とは衰退も経験した国だとのこと、何時までも右肩上がりではないとすれば、このような時に行なうべきことをしっかり見極めていく必要を感じます。
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イギリスの衰退と日本の現状の比較や、ローマ帝国の衰亡とビザンチン帝国の繁栄の秘密、アメリカと中国の文明論的観点からの考察、松平定信の改革の意義や、大正デモクラシーと戦後の日本に共通する問題の指摘など、あまりにも話題が多岐に渡っていて、正直なところ著者の考えをうまく捉えることができませんでした。著者も「あとがき」で書いていますが、新書の分量には収まりきらない内容が盛り込まれていて、結果的に見通しが利かない本になってしまっているような気がします。
一つ、たいへん興味深く思ったのは、著者が文明の衰退の徴候を、衰退の徴候から目をそらして問題を直視しないことに求めている点です。文明論という極めて広く視野を取る学問において、衰退の原因論を外部から考察するのはほとんど不可能なのではないかと考えていましたが、著者の視点は文明に内在的な観点に置かれており、文明とは何よりも、私たち自身が担っていくものだという立場から批評がなされていると言ってよいのではないかと思います。
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なかなか示唆に富んでいたので、中西輝政の近著を購入した。
アイデンティティは脈々と受け継がなければならない。