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[ 内容 ]
明けがた5時、ブルーリアが、死んだ。
ハイファでモルヒネ注射を打たれて、3時間後に意識不明のまま病院にかつぎこまれてから、1週間後のことだった。
白い、こまかな雪が降っていた。
ゲルティは窓のほうに目をやって、うれしそうな顔をした。
「ねえ、スイスそっくりよ」そういって、彼女は微笑んだ。
「イスラエルにも雪が降るなんて、今まで知らなかったわ」…深夜の精神病院でアルバイトをする主人公と、美しく謎めいた女性患者ブルーリアとの密やかな交感を描く表題作のほか、「パレルモの人形」「国境の少年」「薬剤師と世界救済」「真夜中の物語」など、英国統治下の古都エルサレムを舞台に、静謐な日々の記憶の底に潜む悲哀や喜びを、不思議なユーモアを交えて綴る珠玉の短篇の数々。
イスラエルを代表する作家シャハルの傑作を精選した本邦初の作品集。
仏メディシス賞外国文学賞受賞。
[ 目次 ]
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