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岡本太郎の視点から見た芸術とは何かと論ずる1冊。
彼の絵画や立体作品は正直に言うと私にはよく分かりませんが、彼の文章は心にバーン!と響くものばかりでした。それには少し賛同しかねるものもありましたが、いい意味で心をかき乱されました。
芸術はただきれいなだけではいけない、人の心、生き方に衝撃をくらわすものでなければいけない。そうでないと意味がない。才能がないと思うなら、そこに自分を賭ければいい。など、大変パワフルな言葉が多かったです。周囲に対しても、また自分に対しても挑む。感動したものに挑むことが創造の真のスジという表現もぐっときました。作品を鑑賞するにしても、こちらも作者を追いかける気持で作者と同じくらいの激しさで作品と向き合うべきだという主張も情熱的でいいなと思いました。
ただ、私としては岡本氏がただきれいなだけで何ら含蓄のない「レクリエーション的絵画」も好きだったりするので、本質的、根本的な問題をぶつけてくるだけの作品がこの世にまみれていたらそれはそれで重すぎるし苦しすぎるなとも思いました。
また、周囲に対して自分を理解してほしいという気持ちと、理解されるということはその人の中に溶けて消えてしまうから、理解されたくないという気持ちがあると書いてあって、ぶっ飛び切れていないところも好きだなと思ってしまいました。八方美人的な態度を蹴飛ばして、八方をガッカリさせる態度を取り満身に角を立てるコンペイ党の党首の角の無い部分といいましょうか、人間臭いところが。
他にもまだまだたくさんの名言があり、それぞれに思ったことを書きたかったのですが、今書けるところだけ一生懸命書き出しました。