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「エピオルニス島」
絶滅したはずの巨大鳥、エピオルニスを孵化させた男の話。
「蛾」
論争で病んでしまった学者の話。
「紫色のキノコ」
奥方になめられていた男の話。
「パイクラフトの真実」
肥満をなくす秘術を受けた男の話。
「ブラウンローの新聞」
未来の新聞を読んだ男の話。
「故エルヴィシャム氏の物語」
自分の財を与えようという老人の提案に乗ってしまった学生の話。
「マハラジャの財宝」
マハラジャが隠していた財宝とはなんだったのか?
「デイヴィドソンの不思議な目」
見たことも聞いたこともない場所を見られるようになってしまった男の話。
「アリの帝国」
軍隊アリよりも恐ろしい、知能をもったアリの話。
「モロー博士の島」
プレンディックが上陸したのは、モロー博士が不気味な実験を繰り返す島だった。
どれも面白かった。
アリの帝国は特に恐ろしい話だった。
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エピオルニスの島
蛾
紫色のキノコ
バイクラフトの真実
ブラウンローの新聞
故エルヴィシャム氏の物語
マハラジャの財宝
デイヴィドソンの不思議な目
アリの帝国
モロー博士の島
どれもピリッと切れ味よくて、読んでいて楽しい。
表題作のモロー博士の島は、動物を人間に改造しようとするモロー博士の悲劇というディストピアのお話。
マッドサイエンティストとしてモロー博士が自分のイカれた信念を簡潔で明快に表明するくだりは、狂っているけど小気味いい名調子。
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多少の古臭さは否めないが楽しめました。
表題作は、倫理学上の問題や科学上の問題、様々な問題を内包しているとは思うが、純粋にエンタメとしてその設定の奇抜さでグイグイ読ませる。その他、個人的に好きなのは「パイクラフトの真実」「ブラウンローの新聞」。
ところで、江戸川乱歩はウェルズの影響はどれくらい受けているのかな。SFとミステリーなので少し違う気もするが、作品の雰囲気は似ていると思う。
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現代の我々の感覚からすれば、首を傾げるような考え方を作品の語り手が語っている場面がいくつかあるが、全体を通じて面白く読めた作品集。
「モロー博士の島」は、確かにこう収束するべきだ、という結末。島における動物から人間へ、というベクトル(少なくともモロー博士の実験が目指していたベクトル)が、いざ人間社会に戻ると人間から動物、というベクトルに移り変わるのが対照が効いていてうまい。そもそもこの作品は人間の獣性を示すエピソードから始まったのだった(コイントスで犠牲者を決める、酔っ払った艦長が主人公を海に流す)。
「アリの帝国」には、ぞくっときた。人間対アリの競争の結末が示されていないのが余計に怖い。