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投稿者:猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
SF作家である著者がミステリーに本格的に転じた頃の作品。密室に時刻表と定番の設定を用いつつ、現代性にも留意したプロットとトリックが素晴らしい。名探偵に燗する批判的考察も鋭い。
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これだけこれ系トリックものを読んでいるにもかかわらず相変わらず引っかかってしまう俺って…。手記をもとにしている時点で疑いくらいは持つべきなのだろうかね。個人的には最後の人物入れ替えが明らかになっていくとこなんかは伏線を一気に回収していて読んでいて驚いていた。でもやっぱり驚きは半減位してるかなぁ。
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人物誤認叙述トリック。
明かされた時は、「え?え?」ってなった。妻の病気が何らかにラストで関わってくると思ったのに、最後まで明かされないままだったのがモヤモヤ。
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叙述トリックも、メインの入れ替わりトリックも良い。伏線が効いていた。山田正紀の純粋なミステリーでは、今までで1番良かったかも。
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18年前に行方不明になった亜矢子が焼死体で発見されます。亜矢子に何があったのか?当時の「白鳥の湖」を一緒に観ることになった学生仲間の手記から、行方不明になった理由が徐々に明らかになります。サスペンスフルな筆致も魅力的で、ページを捲るスピードが最後まで落ちなかったです。
また、予期しない仕掛けも施されているので、真相に至った時のカタルシスはなかなかのものでした。ミステリとしても青春群像としても秀逸な作品です。
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17年前を、若き日の、戻らぬ冬の
ほんの短いひと時を振り返ることで、それぞれが
帰らぬ時に残した後悔と感傷を静かに感じながらも、
途中で(作者が意図して)明らかに謎の一つが
ばらされているので、なぜそんなことをしたのか、
なぜそれが「失踪」につながるのか、
そして手記と捜査がどのような結末に向かうのか、
ぼんやりした違和感を払うために
グイグイ引き込まれた。
そしてページをめくったラスト一行。
絶対わざとここだけ別ページにしたな。
やられましたよ。
ただ本人(達)のちょっとした行動が思わぬ結果を
生んだように、たぶんこの物語の終わった先にも
本人が思わぬ(願わぬ)結果が待っていそうな空気。
もう一つ、時効成立している?とはいえ
別の犯罪の告白もあるよね。大丈夫?
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多少不自然と感じる箇所はありますが、真相の意外性は相当なもの。意表をつかれました。武井の手記に、「え?」と思い、その後に明かされていく事実によって、徐々に真相が理解できていきました。アリバイ工作の理由に納得。7人を結びつけた「白鳥の湖」がモチーフとしてうまく真相に活かされていますし、伏線の回収も鮮やか。
不自然と感じたのは、中野がブラックスワンを○○したことと、新大阪のホテルからの電話の件です。そこまでやるかなと思います。
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入れ替わりにはすぐ、気がついた。 時刻表トリックはいまいちピンとこず、警察の緊張感もないし18年前の台詞とかよく覚えてるわ、事故死が何らか絡む事もなく「ブラックスワン」の連呼。 何か読むのに時間がかかって疲れた。
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〇 概要
世田谷の閑静な住宅街にあるテニス・クラブで,白昼,女性の焼死事件が発生した。しかし,捜査を進めていくうちに,焼死した人物は,18年前に行方不明になっていた橋淵亜矢子であることが分かった。当時,女子大生だった彼女に何が起こっていたのか?いったい,なぜ,18年も経ってから焼死事件が起こったのか。雪の瓢湖に舞う「ブラックスワン」を鍵とする青春時代の謎を追うミステリー
〇 総合評価
橋淵亜矢子の母から,18年前のスキー旅行についてなどの文集の作成の依頼を受け,18年前のスキー旅行に参加した,丸山厚,津本光子の手記が描かれているが,丸山厚の手記では,恵子と亜矢子についての描写は非常にあいまいに書かれている。これは,丸山が女性を知らないからとも考えることができる点がポイントである。
津本光子は,薄々,入れ替わりに気付いていたが,恵子の頼みにより,そのことを明らかにしていない。
この入れ替わりが,非常に奇妙なことになっている。冒頭で,「橋淵亜矢子」が焼死するシーンが描かれているが,ここで描かれているのは「市川(桑野)恵子」の焼死である。時系列がずらされているのも,この作品の巧妙な点である。
桑野による文集作成の作業が進み,「第三の手記」の章の終盤で,グランドに恵子に呼び出された武井,唐沢と桑野,中野が集まるシーンがあるが,恵子によるテニスクラブでの焼死はこの後の時系列であり,恵子が,手記を読んで,亜矢子が自殺した原因を作ったのが,唐沢であることを知り,唐沢に罪を着せ,一時的とはいえ,警察に捕まらせるために,他殺に見せかけた自殺をした…というストーリーになる。
亜矢子と恵子の入れ替わりは,叙述トリックを駆使したミステリを読みなれてた人にとっては,見抜けてしまうかもしれない。しかし,丸山が,女性のことをあまりしらないという点を利用して,亜矢子と恵子の書き分けをあいまいにさせたり,恵子はコーヒーを飲まないが,亜矢子はコーヒーを飲むことなどから,きちんと読んでいれば,推理で入れ替わりを見抜けるような伏線をきっちり用意するなど,まるで,叙述トリックの手本のような良作。作品全体の雰囲気もよく,十分に楽しめる一品。★4で。
〇 サプライズ ★★☆☆☆
叙述トリックの作品だが,叙述トリックの作品を読みなれた読者なら,恵子と亜矢子の入れ替わりには気付くだろう。そうすると,サプライズはそれほどない。むしろ,巧妙な伏線や構成の上手さを堪能すべき作品だろう。★2で。
〇 熱中度 ★★★★☆
意外な展開というほどではないが,亜矢子の文集を作成するために,当時,旅行に行ったメンバーに手記を書いてもらう展開が丁寧に描かれており,十分楽しめる。さすが山田正紀と思わせる安定した小説の上手さというイメージ。ぐいぐい引っ張られるというほどではないが,十分熱中できる。★4で。
〇 インパクト ★★★★☆
テニスクラブで女性が焼死するというシーンはインパクトがある。また,物語で象徴的に使われているブラックスワンも,白鳥の群れとの対比でインパクトを出している。★4で。
〇 キャラクター ★★☆☆☆
叙述トリックの作品ということもあり,丸山の手記の部分など,十分にキャラクターが書き分けられていない部分もある。主人公の桑野も,個性はあまりない。市川(桑野)恵子も,そこまで個性的ではなく,全体的にキャラクターの魅力はイマイチ。★2で。
〇 読後感 ★★★☆☆
橋淵亜矢子が,唐沢に襲われたショックで自殺してしまったり,中野がわざわざ連れてきたブラックスワンは白鳥に襲われて変死してしまう。橋淵亜矢子が,唐沢に襲われて自殺したことを告発するために,病に苦しんでいる市川(桑野)恵子は,夫の桑野を残して焼死してしまう…と,なかなかショッキングな内容だが,それほど読後感が悪いわけではない。叙述トリックをメインにした話で,そこまで各キャラクターの人間性が掘り下げられていないからだろうか。★3で。
〇 希少価値 ★★★☆☆
永らく絶版状態だったようだが,2014年に第二刷が発行され,やっと手に入りやすくなった。とはいえ,そもそも山田正紀の作品は,玄人の評価は高い割に,一般の評価が低く,売れない傾向にある上,この作品は叙述トリックもので,さらに一般受けしなさそう。また,手に入りにくくなるとみた。★3で。
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【糸鋸パズルをなぞっていくような複雑な快楽】
ミステリと呼ぶにはあまりにもエモーショナルで、起こったことよりも思ったことを中心に進んでいく。退屈といえば退屈だし、緩やかといえば緩やか。
雨の日の憂鬱な午後にぴったりな一冊。
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バイト先が同じとはいえ、ほとんど面識のない若者7人が、バイト先でもらったバレエのチケットで『白鳥の湖』を見たということで意気投合し、旅行にでかける。
旅先の湖で白鳥の中に一羽だけ黒鳥がいたことで、『白鳥の湖』とオーバーラップしてメンバーは盛り上がるが、黒鳥は弱っており、死んでしまう。黒鳥の死により盛り下がったまま旅行は終了し、もう二度とそのメンバーで集まることもなかった。
…という青春の1ページとメンバーの女性の失踪事件が何年もたったあとに1つになって、色々な謎が解明される。
失踪した女性はどこに消えたのか。
いるはずのない黒鳥があの湖にいたのは何故か。
謎ときや登場人物の行動に不自然なところがあるわけじゃないのに、なんだか読んだあと、スッキリしないのはなんでだろ。