紙の本
行間から問いかけてくるもの
2006/07/02 09:47
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:だいちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
『物事をすべてプラス思考に、さっと切り替えることのできる器用な人間ばかりならいいだろうが、実際にはなかなかうまくいかない。
私たちはそんなとき、フーッと体から力が抜けていくような、なんともいえない感覚をあじわう。むかしの人たちは、そういった感じを、
「こころ萎えたり」
と言った。「萎える」というのは、ぐったりと虚脱した状態のことである。心が萎えたとき、私たちは無気力になり、なにもかも、どうでもいいような、投げやりな心境になってしまうものだ。』
プロの作家が書くと、読んでいるうちに心の中で自分なりにその世界が描けてしまう。行間が問いかけてくるというはこのことなのでしょう。日常の生活つまり仕事・家庭・地域などなどのごたごたした中にいてすーっと人の本質に導いてくれる一冊でした。
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大学にいかず引き篭もっていた日々、本屋でたまたま見かけた。いや、ホントに素晴らしい出会い。地獄に仏。
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かなり深い内容。同じ時代にはやったベストセラーについての批判なんかもしているので、両方を比べて読んでみるのもいいと思う。
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去年大病を患ったうちの義母へ、ある方が薦めてくれた本。しまい込んであったのをたまたま発見したので読んでみた。
著者は、人は皆生まれながらに死のキャリアであるという。この世はもともと無茶苦茶で残酷で、悲惨にみちみちていると理解したから生きられたという。なんでこんな究極のマイナス思考なんだよ、とちょっとイライラしてしまう方もいるかもしれない。でも、世間を見回して"ムダに明るく"生きている人も、実はそういう暗い部分を懸命に払拭して生きていると思えるのも事実。ポジティブなスタンスが正しいとしてしまうことは、現代人にとって非常に辛いことであるかもしれない。
確かに人生は苦だとすることから出発することもありだな、と思った。
7年前のこのベストセラー、多くの方は五木氏の言葉に救いを感じたことだと思う。しかし、私は同時に彼がこういう境地に至ったまでの七転八倒を想像し、胸が痛くなった。
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私が人生一番苦しい時に読み、この本によって考え方が少し変わった。
仏教色が強い本。
仏教徒の私にはその点にも惹かれた。宗教に関心を持つようになったのもこの一冊から。
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幸せを求めていませんか?世の中は不幸ばかりです。わずかにあるその幸せを大切にすることが人生を楽しむコツです。僕はこの本を中学生のときに読み、ものの考え方が大きく変わりました。何かいつもつまらない、物足りないと感じている方に是非読んでいただきたいです。
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とにかく文章がやさしいです。無理に前向きな考えを押しつけられず、安心できる本。落ち込んだときに読んだけど、考える必要なく染み入る言葉たちにその時の自分を肯定できるようになった気がした。心に残った部分を少し紹介、、、。
地獄極楽という言葉があるけれど、これはあの世のことを言っているものではない、この世のことを言っている。日常の生活こそ苦しい地獄であり、その中での思いがけない喜びや、人の善意や優しさを感じたり、希望や夢に世界が輝いてみえることもある、仲間とともに笑い転げることもある、その一瞬こそ極楽なのだ。極楽とは地獄というこの世の闇のなかにキラキラと光りながら漂う小さな泡のようなものかもしれない・・・。
落ち込んでいるときにこそ良さがわかる本だと思います。
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読み中
序盤の印象は、かなり仏教。仏教についていろいろ知りたかったし、これは読みやすいので良いです。
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何年も前に書かれた本なのに今(20060915)を適格に表現している良書。
思ったよりも、読み易く学生とかに読んでほしい。
たかが一滴、されど一滴。
少しの繋がりや、きっかけや、問いかけは、きっと無駄では無いのだろうと。
沢山の雑多な情報を得た気分になった。
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私の「携帯版」です(とはいっても、余り携帯することはありませんが…)。
何時の日か「長期の旅行」をするときには夏目漱石著「草枕」と神坂次郎著「今日われ生きてあり」、そしてこの五木寛之著「大河の一滴」の三冊を旅行かばんに入れて出掛けたいと考えております。
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10年前からのベストセラー。
戦後50年を過ぎ、阪神の震災後3年、それまでは言わないようにしてにいた事を何故か言いたくなったという著者。
中国の故事や親鸞、蓮如の教えを引用しながら縦横に語ります。
この世は辛くて当たり前と覚悟した方が良い、だからこそ良い事が少しでもあれば輝いて見える。
人間は皆海に流れ込み天に上る大河の一滴に過ぎないと。
語り口は穏やかでわかりやすいです。
頑張ろうとしても頑張れない時がある…ポジティヴに考えようがない事態に直面した時、この重さが救いになるかも知れません。
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今さら初めて読みました。
最初の方のページを読んでいると“なんてネガティブなんだ!”と思っていましたが、
さすが有名になった本ですね。
いろんな“当たり前”の物事に対して“五木さん”ならではの考えを提示している。
きっとそういうことが必要なんだと思う。
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思った以上に読みやすくて、悪くなかった。
考えには賛同できるけど、熱狂的にはなれないかな。
また年取ったころにまた読んでみようと思う。
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人は泣きながら生まれてくるのに、何で悲しみや苦痛などネガティブなものを否定するのか。0と1の二進法で計算されつくしたパソコン社会で、全ての物事はYESとNOで判断されてとにかくプラスなものを、成長を追い求めている現代。プラスがあれば対極のマイナスも存在する。しかし、どうもマイナスな面を無視しようとする風潮がある。人間の感情や状態は振り子のようにプラスとマイナスを往復しているのが自然な状態なのに、無理矢理自然の法則を無視してプラスの方にずっといられるように引っ張ろうとしてはやはりそこに無理が生じるのは当然。プラスとマイナスを寛容に受け止められる姿勢が凄く大切。そのイメージが自分の中で身にしみて分かるように五木 寛之がやさしく教えてくれる。仏教など難しそうな思想がでてくるが、すごく分かりやすく噛み砕いて教えてくれる。
この本はブックオフで100円で売ってたのを購読した。値段に合わないほどコストパフォーマンスの高い内容だと思う。自分は読書で大切だと思うページをドッグイヤーつけるんだけど、大河の一滴はドッグイヤーをたくさんつけた。
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「人生に対する無意識の甘えがあるような気がしないでもない.そもそも現実の人生は決して楽しいだけのものではない.明るく,健康で,幸せに暮らすことが市民の当然の権利にように思われている最近だが,それは間違っていると私は思う.」
(p.13)
この文章には心が惹かれました.