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昔からロシアではお客様をパンと塩で歓迎してもてなすそうです。パンと塩の側面からロシアの歴史を紐解こうという奇特な取り組みによって書かれ、副題は「ロシア食生活の社会経済史」という大真面目な分厚い本。パンと塩だけでなくウォトカだじゃがいもだなんだと色々な時代のロシアの食事情が出てくる出てくる。それについて書かれた本なので当たり前ではありまして期待通り。そもそも題名が素敵すぎます。これは娯楽のために読むというよりも研究のためのものでありそうなのですが私めのようなド素人が読んでも充分に楽しめた一冊。
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ロシア料理っておいしそうですよね。ピロシキ、ボルシチ、ビーフストロガノフ、ペリメニー。そしてクワスという飲み物はどんな味なのか。
しかしこれは社会経済史の本でした。序文でロシア料理の本ではないとばっさり断られています。でも読んだ。徴税や市場取引の史料、あとは民間に残る風刺画と詩、貴族の報告など、17世紀以降のロシアの食糧事情がうかがえる史料を広範囲に利用(大黒屋光太夫の体験談まで)して、分析されており、著者はロシア人ではなく、イギリスとアメリカ出身の学者さんです。
塩の生産が日本とはかなり違うんですね。地表に深い穴をあけて塩分の濃い水を汲みあげて、大きな鍋で煮る。他には採掘で岩塩を取る方法も。
酒についての論述が多めです。蜂蜜酒、スピリッツ、ウォッカ。
ウォッカのせいで仕事に手がつかなくなる庶民のために禁酒令だしたいが、国庫の3割くらいを酒税に頼っているからどうしたものか、と悩める国家。貨幣では雇われないけれど、ウォッカをふるまってくれるなら働いてもいいぜ!とロシア滞在外国人にのたまう一般庶民。貨幣<<ウォッカという信用価値は本当にあったのか、それともここで披露されたエピソードだけなのか。このような権力の規定する価値に屈していない庶民エピソードが好きです。
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米原万里の推薦本。パンと食塩だけでなく、肉、魚、酒などロシアのありとあらゆる食べ物について書かれた本である。面白かったのは、おかずにニンニクを生で食べていた、ということであった。パンならパンだけ、塩なら塩だけをロシアについて書いていたらもっと面白かったかもしれない。