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紙の本
障害者同士が語り励まし合うことで自信を深め自立につながるピア・カウンセリング。皆の力で盛り立てよう
2000/07/10 09:16
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投稿者:和田 正光 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ピア(PEER)とは仲間という意味。ピア・カウンセリングとは障害を持つ仲間同士が率直に話し合い,お互いにカウンセラーとなって悩みごとの相談に乗ったり,自分の考えを打ち明けあったりすることを意味する。健常者のカウンセラーが障害者から聞く一方通行的な形ではなく,障害を持つ立場を共有する者同士が文字通り双方向で語り合うことは,障害者に勇気を与え,その自立を促す強力な戦略として世の注目を浴びるようになった。本書は,日本におけるピア・カウンセリングの開拓者である2人の女性が著した自らの体験に基づく涙と汗とそして勇気の物語である。
安積遊歩氏は生まれてまもなく骨形成不全症と診断されたが,20代から障害者運動に参加し,1983年に単身渡米してアメリカ自立生活センターで研修を受け,その体験から日本にピア・カウンセリングを伝えた。野上温子氏は幼時の病気後遺症で右半身に軽度の障害をもつが,ボランティアの育成や住民福祉活動にかかわった後,1986年それまで正面から向き合うことを避けてきた重度障害者の自立生活センター活動に飛び込んだ。2人に共通するのは障害者自身の手で障害者の自立を勝ち取ろうとする強い意志力,決めたことはドシドシ推進していく実行力,そして何よりもどんな時にも仲間を励ます笑いを失わない明るさである。
この明るさはピア・カウンセリング運動に携わるすべての人に共通しており,本書の読者は,巻末の座談会「ピア・カウンセリングは私の宝」を読んで障害に負けない強さ,優しさ,明るさに打たれ,健常者が逆に励まされる思いをするだろう。日本の自立生活センターは99年2月現在,加盟数80に達しピア・カウンセリング運動もしっかり根を下ろしたかにみえるが,ピア・カウンセラーの認定制の実施に伴う職業化や知的障害者に対するピア・カウンセリング充実の必要性など新しい問題も次々に出てきた。一般の理解を深める上で本書は大きな役割を果たすことであろう。
(C) ブックレビュー社 2000
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