紙の本
プラハの春からベルリンの秋へ
2002/07/23 13:32
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投稿者:みひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
プラハの春はソ連の武力によって沈黙させられた。
日本の外交官堀江亮介は失意のうちに日本へ帰国する。
そしてベルリンへの赴任。
カテリーナの娘シルビアとの邂逅。
DDR体制の崩壊までの歴史的な側面と二人の物語を壮大に描いている。
外交官でなければ分からない部分も出てきており非常に興味深い。
タイトルの「ベルリンの秋」は「プラハの春」以降の暗い時代をよくあらわしている。
「プラハの春」の続編。
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「プラハの春」の作家、春江一也氏の作品で、中欧3部作(?プラハの春 ?ベルリンの秋 ?ウィーンの冬)の中核をなす作品。
中欧へのツアー旅行の折に添乗員さんから、第一作の読書を薦められ観光地に着くたび、小説のストーリーと共にその土地の紹介があった。その添乗員さんは優秀なストーリーテラーで帰国したら、真っ先に読もうと思いその通りに実行した。第一作のヒロインであるカテリーナの忘れ形見、シルビアと外交官、堀江亮介(第一作に続き)が主人公で物語は展開していく。作者の春江氏がノンキャリア外交官だったことから、プラハの春、ビロード革命、ベルリンの壁崩壊に至る政治情勢が非常に判りやすく書かれていて、この本により今更ながら知りえたことも多かった。ロマンスのほうは一途にリョウを慕うシルビアと、母カテリーナと恋愛関係にありカテリーナの死で傷心もまま帰国し、日本女性と結婚した亮介の、運命ともいうべき出会いに導かれる形で結ばれていく。。。
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「プラハの春」に比べ、文体から素人ぽさがなくなった分、さすがにフィクションだろうという部分が増えた。チェコのときはもしかしたらストーリーの一部に事実があるのかも、なんて思わせるところもあったが、堀江がここまで歴史のキーパーソンになるなんて。日本の外交官が壁崩壊のシナリオの橋渡し役!事実だったらかっこいいけど。反面、下級官僚のやるせなさ、弟さんが数年後に事故でなくなるところの記述などに真実味が溢れていて、このあたりに事実を混ぜるところにドキッとしてしまった。
それにしても、面白い!あとから「なぜ崩壊したのか」を議論することや、「○○世紀の社会主義なんて実現不可能!」と苦笑することは簡単だけど、当時、皆が永続を信じていたマルクス・レーニン主義が終焉を迎えるということは、たとえ仮説であってもそれがテロと同じだけの力をもっていたのだ。人を抑制して統治することは無理だったのか、それでも壁建設からでも少なくとも29年も維持できたことは社会主義の奇跡なのか。
それにしてもそれにしても、思い浮かぶのは最近読んだ「パールハーバー」のリューバと江崎の恋+源氏と紫の上。世紀のロマンティズム?
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西ドイツと言う一方で、DDRという表現が何とも人工的な偽装国家を表現しているようで、ぴったりですね。プラハの春と5カ国のチェコ侵入事件は高校2年の時で、非常に衝撃を受けたことがありました。それだけに内幕に興味を持ちました。そんなに早くから本当にソ連の崩壊を予言していたのでしょうか。ただ、89年に至る最後の数年間があまりにもさらっと書かれ過ぎていて、もう少し東欧圏の動きを書いてほしかったです。
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前作「プラハの春」を読んで、プラハの人の精神的タフさに心が震え、続編も読んでみたが、残念な内容であった。
一言で言うと、外見しか魅力のない若い娘に惹かれた既婚者の中年男性と、肩書きに惹かれた共産主義国の娘の不倫話。
ベルリンの壁が崩壊するという感動的なゴールへ向かっての話だが、ただの恋愛、ましてや気持ち悪い中年の不倫話に終わってしまっている。
恋愛が読みたければ、他の本を読む。
非常に残念。
大きな期待をしただけに、心から残念でならない。