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クローン、是か非か みんなのレビュー
- マーサ・C・ナスバウム (編), キャス・R・サンスタイン (編), 中村 桂子 (訳), 渡会 圭子 (訳)
- 税込価格:3,080円(28pt)
- 出版社:産業図書
- 発行年月:1999.8
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紙の本
クローン技術,クローン人間をめぐる,さまざまな社会的立場にある人達の論議の集大成
2000/10/13 00:15
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投稿者:今井 裕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1997年2月,不意をつかれたように,一つの科学技術が全世界の話題をさらい,騒然となった。クローン技術によって体細胞から創り出されたクローン羊“ドリー”の誕生によってである。
体細胞からのクローン生物は“ドリー”が最初ではない。植物ではすでに多くの野菜,花などがクローン技術を使って生産されており,社会の中で自然と受け入れられているように見える。しかし,“ドリー”をこれほどまでに有名にしたのは,それを創った技術がクローン人間の誕生を十分予感するものであり,その未来に対して多くの人が自らの倫理,宗教,社会的価値観を問い直さざるを得なかったことによるのだろう。
日本ではほとんど論議の進まなかったクローン技術に対して,本書はさまざまな社会的立場にある人達の意見を集大成し,クローン技術に限らず,今後次々と登場するであろう生命科学技術に対してどのような態度で対峙してゆくべきかの判断材料を与えてくれる。
本書の英語版は1998年に出版されており,まさに“ドリー”誕生直後の混乱を垣間見ることができる。したがって,これらのエッセーの中にはクローン技術を間違って理解しているものや,いくぶん感傷的,感情的すぎるものもある。
全編は5章に分かれており,クローン技術の解説,クローン技術の明と暗,倫理・宗教の立場から見たクローン技術,クローン技術の社会的・法的規制の是非,最終章はクローン人間が誕生後のクローン人間自身の葛藤と社会とのかかわりを空想の世界で描いたエッセーなどからなる。各章は,さらに複数の論評によって分けられ,社会の隅々からこの技術に対する意見を吸収することを意図されている。したがって,どこから読んでもそれなりに完結している。一つの技術に対してこれほど多くの見解があり得るのだと驚かされるが,“ドリー”に対する価値観は読者自身の判断にゆだねられている。
(C) ブックレビュー社 2000
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