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バーナデットのモミの木 新装版 みんなのレビュー
- アンデルセン (原作), バーナデット (絵), ささき たづこ (訳)
- 税込価格:1,430円(13pt)
- 出版社:西村書店
- 発行年月:1999.11
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絵本
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紙の本
クリスマス絵本のかくれたロングセラー。結末がさびしいので、楽しいクリスマスより静かなクリスマスにふさわしいかも…。
2001/06/20 10:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
多くの家庭がそうでしょうが、わが家でもクリスマスツリーは本物のモミの木ではなく、くねくね自在に曲げることができる太い針金に緑の化学繊維のようなふさふさがついた何回も使えるものです。そこにリンゴの形や星やリボンのオーナメントをぶら下げて、3〜4週間前から気分を盛り上げます。
クリスマスという行事自体が、宗教とは結びつかず「ケーキを食べてサンタクロースに何かもらえる日」と思っている子どもたちにしてみれば、ツリーも納戸から出してくる「あの箱」にしまっておいたもので、クリスマスが終わればその箱に片付けておく−−そういうイメージが固定していることと思います。
本物のモミの木を花屋さんの店先で見つけ、それに憧れはしても、暖房ですぐに枯れてしまいそう、部屋が汚れるかな…などと思い直し、例のツリーを出してきてシーズンがあっという間に過ぎてしまいます。何か大切なことをそこに置き去りにしているような気持ちを抱きながら…。
何人もの画家が絵本化しているこのアンデルセンの童話では、小さいモミの木が若木となってから切り倒され、ある家庭の居間のツリーとなり、処分されるまでの短い一生が描かれています。「もともとは、こういうものだったんだよ」とさりげなく、小さな子どもたちの頭のスミに知識を置いてあげるのにいいお話でしょう。
ただ、ラストはたきぎとして燃やされてしまうし、そのことを前向きな内容に装飾する作りにはなっていない。あるがままの人々の営みとして表現されており、明るくフォローするような感じではないので、「ハッピーエンドや理に落とすことで得心を」と期待する向きにはふさわしくないかと思います。
ある意味で、お話のさびしさをやり切れないものに終わらせないのが、絵の働きと言えるかもしれません。他にも『雪の女王』などのアンデルセン童話の絵本化を手がけている画家バーナデットの代表作のひとつです。
この画像では、表紙の色がちょっと青にこけてしまっていますが、実物の本の表紙はもっと緑がかっていて暖か味があります。表紙を開くと小さな動物たちが動き回る、平和な秋の日の森。全体が黄色い色調です。
余談ですが、子どもの本の絵にとって黄色味というのはとても大切な要素なのです。何かさみしいというときに黄色を足すと暖かい感じが出る。本文の絵でも、意識的に黄色が使われています。それは、日ざしやドレスやカーペットや花の色であり、そして、ツリーのてっぺんに使われている星の色でもあります。
お話が終わって再び現われる見返しには、表紙を開けてすぐの見返しと同じ黄色い秋の日の森の絵。そこにも自分が小さいことを恥じているモミの木があって、「再生」という思いにとらわれます。見返しもゆっくり読める絵本です。
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