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魅力的な全知全能の神がかり的な不思議な少年、サタン、彼はすべてお見通しの運命論者。16,000歳という年齢。
晩年のマークトウェインはペシミスティックに陥って、このような小説を書かせた云々なる解説がよく書かれるが、そんなことよりも中野が解説にチョコッと書いているように、この原作にはいろいろな「版」があった。その後の研究で、当時の編集者が勝手に加筆修正した箇所が多々あり、「原作のオリジナリティーって、なんやねん!」なる論議が起こってくる事しきり、ぷっつりと終わってしまう本作よりもこっちのほうが後日談としては面白い。いずれにせよ、世紀を超えた冒険譚に我々21世紀少年を導いてくれることだけは保証できる、この面白さ!
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【2008/04/18】
トム・ソーヤの冒険で知られるマーク・トウェインの作品中で目立つ暗い作品。ハッとさせられる一言が多い。モーニングの漫画の原作だろうか?
作者は、人間のくだらなさを悪意なく、ただそういうものだとありありと見せつける。全知全能な者の視点で見れば、たしかに人間はくだらない存在なのだろう。感情に左右され、エゴに満ち、欲を追求し、運命に翻弄される。常に少数の支配者が他の大多数の上に君臨しているという現状もずっと変わらない。
だがその後で、一つの解決作を提示する。「笑い」である。我々はほんとにくだらないなぁと笑い飛ばすことだけが、すべての人間のつまらなさを克服できる、人間の持っている唯一の特技だという。
・「なに、そんなことはない。あれこそが人間のやり口なんだよ。獣みたいだなんて、とんでもない言葉のはきちがいだな。あんなことは、獣はしやしない。」
・「残忍なことをやるのは、良心なんてものを持っている人間だけなんだ。 〜 この良心なんてものがあるおかげで、下劣も下劣、あらゆる生物の最下等にまで堕落しきってるってわけさ。」
・「この人間ってやつは、いわば苦痛の機械と、幸福の機械を一つに組み合わせたようなものなんだ。そして、この二つの機能は、いわばギブ・アンド・テイクの関係というか、その上にたって、実に正確に、緻密に、ある調和をもってはたらくんだね。」
・「煉瓦をずっと数インチおきに並べる。そして、誰かが端の一つを倒すと、ついでに隣の煉瓦も倒れる。そんなふうにして、次々と倒れて行って、最後には全部が倒れてしまうというやつだよ。これが人生ってものなんだな。 〜 つまりまず最初の行為が、次の行為を決定し、さらにそのあと、すべての行為を決定してしまうわけだな。 〜 ただの一つだって輪が抜けるなんてことはけっしてないー一度だってあったためしはないんだよ。」
・「もちろん人類最大の野心というのは人間を殺すことであり、現に人間の歴史はまず殺人をもってはじまってるわけだしー 〜 その意味で誇るに足る勝利を記録したのは、キリスト教文明ただ一つってことさね。もう二、三世紀もすれば、もっとも有能な殺し屋というのはキリスト教徒だけってことになるんじゃないかな。」
・「ぼくは人間ってものをよく知ってる。羊と同じなんだ。いつも少数者に支配される。 〜 感情も信念も抑えて、とにかくいちばん声の大きなひと握りの人間について行く。」
・「君主制も、貴族制も、宗教も、みんな君たち人間のもつ大きな性格上の欠陥、つまり、みんながその隣人を信頼せず、安全のためか、気休めのためか、それは知らんが、とにかく他人によく思われたいという欲望、それだけを根拠に成り立ってるんだよ。」
・「正気で、しかも幸福だなんてことが、絶対にありえないってことくらい、君にもわからないのかねえ?つまり、正気の人間にとっちゃ、当然人生は現実なんだ。」
・「権力、金銭、説得、哀願、迫害ーそういったものにも、巨大な嘘に対して起ち上り、 〜 たったひと吹きで、それらを粉微塵に吹きとばしてしまうことのできるのは、この笑いってやつだけだな。笑いに��る攻撃に立ち向えるものはなんにもない。」
・「人生そのものが単なる幻じゃないかね。夢だよ、ただの。 〜 神もなければ、宇宙もない、人類もなければ、この地上の生活もない。天国もない、地獄もない。みんな夢ーそれも奇怪きわまる馬鹿げた夢ばかりなんだ。存在するのはただ君ひとりだけ。しかも、その君というのが、ただ一片の思惟、そして、これまた根なし草のようなはかない思惟、空しい永遠の中をただひとり永劫にさまよい歩く流浪の思惟にすぎないんだよ。」
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内容(「BOOK」データベースより)
16世紀のオーストリアの小村に、ある日忽然と美少年が現われた。名をサタンといった。村の3人の少年は、彼の巧みな語り口にのせられて不思議な世界へ入りこむ…。アメリカの楽天主義を代表する作家だといわれる作者が、人間不信とペシミズムに陥りながらも、それをのりこえようと苦闘した晩年の傑作。
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中学生のときに見つけて読んだのですが、
ペシミズムという概念が当時まったく周囲になかった
私には衝撃が強すぎた作品です。
今では、ラストの突き放した感が後味が悪くなくて
気に入っている作品。
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再読。一番最初は小学6年だったのを衝撃とともに覚えている。トム・ソーヤーの人がッ?みたいな。その頃ラブクラフトにハマりまくっていた私にはツボすぎて、何度読んだかしれないが、ここ数年手に取っていなかったので、ダラダラしながら読む。嗚呼。この1冊でマーク・トゥエインが大好きになった。
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中野好夫さんが訳した本を見つけるとついつい買ってしまう。
訳も好きだが、今まで読んだ中野好夫訳本には外れがなくどれも面白い。
良心とは善のことだろう。
それが正義になったとき恐ろしい力、残虐性を持つ。
人間の描写に納得。
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トム・ソーヤなどの少年向け冒険譚で知られるマーク・トウェインが晩年に書いた、これでもかと反動的でペシミスティックな作品。
前に「人間とは何か」を読んでそのあまりの暗さに思わず快哉を叫んでしまったのだが、この「不思議な少年」はその思想を小説に表しているので、物語か対話かで好きな方を読んだらいいと思う。
まあ片方を読んで面白いと思ったならば、もう一方も読みたくなるに違いないのだけど。
思想としてはまあベタっちゃベタだよね。
ちょっと使い古されているというか、限界きているというか。
なので色々な小説を読んでる人で新しさを求めている人には向かないかも。
しかし人間ここまで作風が変わってしまうだなんて、本当に嫌なことがあったんだろうね。
解説でも少し触れてはいるけど。
結構オプティミストってその反動でペシミストになるような気がするなー。
というか自分がモロにそのパターンだったりするのだが(笑)。
でも自分自身そんなに嫌でもないという。
まあ実際しんどいよね。
子供の頃にある程度人間の汚さを教えておいた方がいいんじゃないかとは思う。
人間や人生を全肯定するのもそれはそれで狂っているよね。
ゆるい厭世感は常に携帯しておく余裕は欲しいところだ。
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16世紀のオーストリアの小村に、ある日忽然と美少年が現われた。名をサタンといった。村の3人の少年は、彼の巧みな語り口にのせられて不思議な世界へ入りこむ…。アメリカの楽天主義を代表する作家だといわれる作者が、人間不信とペシミズムに陥りながらも、それをのりこえようと苦闘した晩年の傑作。
なるほど!
作者の気持ちがよく表れた作品かもしれません!?
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他の作品にたとえるのはナンセンスだけど、エヴァの渚カヲルを思い起こした。
マークトウェインの繊細さを知った。
ハックルベリーフィンの冒険が好きでたまたまみつけたのだけど、印象強い。
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ぼくが君に見せてあげたもの、あれはみんな本当なんだ。神もなければ、宇宙もない。人類もなければ、この地上の生活もない。天国もない。地獄もない。みんな夢—それも奇怪きわまる馬鹿げた夢ばかりなんだ。存在するのはただ君ひとりだけ。しかも、その君というのが、ただ一片の思惟、そして、これまた根なし草のようなはかない思惟、空しい永遠の中をただひとり永劫にさまよい歩く流浪の思惟にすぎないんだよ。
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大人になって「ガリバー旅行記」を読んで、子供の時に受けた印象がガラリと変わったように、マーク・トウェインのこの本もまた、作家の印象を反転させる。
アメリカという国の陽気で楽観的なイメージを体現していたかに見えたマーク・トウェインが、このように暴力性さえ感じさせる悲観主義だったことは、逆に彼の国の奥深さを表しているといえる。
これで逆にこの作家にハマってしまい、「人間とは何か」を読んだのだがあわせて読むと、何故こうも人間不信に陥るのか、というのがよくわかっておもしろい。
と思っていたところ、なんとこの物語は作者が本来意図していた形とは違って…「44号」が出版されて当時かなり驚いた。
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図書館で借りた。
ある村で3人組の少年たちがサタンと名乗る美少年と出会って魅了されながらも反発することもある物語。
サタンは人間に対して非常に冷淡な態度を取る。人間が虫を振り払ったり、潰したりして殺しても何とも思わないような態度を人間に対して取る。
山下和美の同名のマンガからの興味で読んでみた。内容は近いながらも違う。こちらは人間に対して興味がない。マンガは人間に対する興味がある。
ファウストに似ているとも思ったが、こちらの結末には救いがない。
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良心って、良心ってなんなんでしょうね?
持ってた方がいいの?悪いの?
子供にかえって、聞いてみたい。
山下和美さんの漫画の方を先に読んじゃったんだなぁ。
マークさんには悪いが、アタシはあちらの方が好き
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岩波文庫には古典になって初めて採録されるという印象があり、岩波文庫を無条件に信頼してしまう自分がいる
何かおもしろそうな小説はないかと書店に行ったとき、タイトルとあらすじにひかれて購入した
ほんとうに、不思議な少年
全ては幻想で、一瞬何が何だかわからなくなりそうになった後に、振り切れた感覚があった
久し振りのあたり、また読み返してみたいと思う
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ある村の少年たちの目の前に不思議な少年が現れ、いかに人間が愚かな生き物なのかを示す。それだけの話だと思っていたら、最後にどんでん返しが待っている。長くない話だから読みやすい。