紙の本
おすすめ痛快ストーリー
2001/10/17 23:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ましの - この投稿者のレビュー一覧を見る
地方の見世物小屋のボクシングをする天才カンガルー「マチルダ」が、ふとしたことから世界チャンピオンをKOしてしまい、悪いことにこのチャンピオンがマフィアの息がかかっていたから、マチルダとそのマネージャーが組織に追われながらも本当の世界チャンピオンを目指していくという痛快ストーリー。
少々分厚いながらも、面白さに一気に読了。
最近、落ちのよくわからない小説の多い中、ひさびさに納得のわかりやすい理想的ハッピーエンドでした。
読んでいて画像にしやすい話で、マチルダの「アック、アック、アック、」という声が聞こえてくるようでした。
おすすめ。
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チャンスに恵まれない芸能エージェント、ビミー。彼のもとに転がりこんできた天才ボクシング・カンガルー、マチルダは、ひょんなことから世界チャンピオンをKOしてしまった! たちまち新聞社からマフィアまでを巻きこみ大騒動! 一頭のカンガルーに夢を賭ける男たちの奇想天外な冒険と、その意外な顛末を痛快に描く傑作。
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カンガルーのマチルダ。世界チャンピオンをKOしてしまったことから始まる奇想天外なおはなし。
爽快で痛快、登場人物が最高!
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痛快で、ユーモラスで、やさしくて、アイロニックで、世界を愛すべきものだと思わせるような本。
ていうか電車の中で読んでると、くつくつ笑いそうになる。
ボクシングを真剣に純粋に愛してるマチルダはもちろんだけど、彼を(そうマチルダって名前だけど男の子)取り巻く人たちも面白い。
こんなの高校男子が読んでたらときめくなー。
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ボクシング・カンガルー、マチルダが大活躍のボクシング小説(?)。
マチルダはとても可愛いし、とても愛おしい。
ただ、なんだか…すっきりしないというか、私はどうもマチルダを担ぎだし諸々を画策する男性たち(特にパークハースト氏)が好きではない。
この結末がハッピーエンドなのかどうかも微妙…。
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この本の中の一場面で「いやいや……」と思わず苦笑してしまった場面があります。カンガルーのマチルダがショーン・コネリー相手に、キスの雨を浴びせるのです(笑)
ちなみにその際ショーン・コネリーは『ラブシーンに関するかぎり、マチルダには生まれながらの演技の才があった。危うく溺れかけるところだった』と話したそうです。(P339より引用)
曲芸の出し物としてボクシングをすることで、日銭を稼いでいたマチルダとそのトレーナー。しかし、ひょんなことからその曲芸で世界チャンピオンを倒してしまい、世間は大騒ぎ。
それはマスコミやマフィアまで巻き込む、大騒動となります。その騒動の顛末を描く小説です。
裏表紙の内容紹介を読んだ限りでは、設定倒れになるのでは、なんて不安もゼロではなかったのですが、
マチルダのエージェントを務めることになる野心家のビミーや、マチルダの飼い主兼トレーナーで、マチルダ第一のビリー・ベイカーなど、個性豊かなキャラクターたちのやりとりが、しっかりと描かれていて面白い。
物語も単にマチルダの活躍を描くだけでなく、次々と仕掛けられるマフィアからの妨害工作、一方でマチルダの騒動を、マフィアの壊滅に利用しようとする記者のバークハーストの存在、
そして上記したように、ショーン・コネリーを引っ張り出すなど、奇想天外な展開をテンポ良く用意し、読ませる側を飽きさせません。
そして、クライマックスの読み応え抜群の試合シーンから、明らかになるあまりにも意外な真実。
奇想天外な展開が続く物語のため、当たり前のことに思い至らず完全に騙されてしまいました……。それだけ、ボクシング・カンガルー”マチルダ”という物語にワクワクしていたのだろなあ。
なのでこの結末に対して自分は、いいものを見させてもらった、と妙にさっぱりとした気持ちで、受け入れることができた記憶があります。
ビリー・ベイカーが語る最後のマチルダの姿も印象的。散々読んでいる自分を引っ張り回したのに、最後はそうなのか、と。
でも、これこそが本来のマチルダの姿だったんだろうな。ある意味マチルダだけが、この本の中で、損得なんて考えず行動していたのかもしれません。
この本と出会ったのは、野外で行われていた古本市でした。上記したように、設定倒れの可能性も考えはしたのですが、外れなら外れでネタになるか、と思い購入しました(それに100円だったし)
結果としては、普段読まないような展開の連続で、大当たりでした。おそらくもう在庫はないと思うので、そこが残念ではありますが。
次回の東京創元社の復刊フェアで、アンケートが取られれば、リクエストしようと思いつつ、果たしてそこまで記憶が持つか、心配でもあります(苦笑)