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紙の本
米国広告界の探求から人間,社会,教育・研究のありようを問う,広告研究の第一人者による論考集
2000/10/31 21:15
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投稿者:遠藤 彰郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は広告研究の第一人者である著者の長年にわたる米国とのかかわりの中から生まれた論文とエッセーを編んだものである。
表題は本書の半分近くを占める冒頭に置かれた論文のタイトルから採られているが,これにはある意味が込められている。一般に米国の広告は科学主義一辺倒と思われがちだが,実は個人の勘や経験も重視されていると著者は指摘している。なぜ米国で広告と科学が結びついたのかを解き明かしたのが冒頭の論文で,19世紀末の広告業界による社会的地位向上のための活動が契機となったと言う。
当時の時代思潮については,続いて収録されている米国文学の権威,亀井俊介氏との対談に詳しい。移民の国米国で生活レベルでのアメリカナイゼーションに果たした広告の役割,日米2大広告大国の共通項である辺境文化,19世紀末の中西部の実学志向が産み出した今日の米国文化など興味深い話題が多い。
米国に範を求めて広告が開花した日本では,最初から備わっているものとして科学的手法も取り入れられた。そのため,わが国の現状はあまりにも科学主義に偏している。
著者の願いは,個々人の豊かな精神的環境を取り戻すことにあるようだ。大量生産,大量消費を助長するより日本文化を踏まえた広告を,との主張は傾聴に値しよう。
昨今さまざまな分野で,米国を範として日本のシステムを変えるべきであるとの論調が目立つ。もちろん,米国のシステムには見習うべきものも多いが,基盤となる人々の価値観やコミュニケーションのとり方(文化)を無視しては機能しない。何を採り何を採らないかを考える上で,本書は極めて示唆に富んでいる。広告関係者ばかりでなく,広く一般にも薦めたい好著である。
(C) ブッククレビュー社 2000
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