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元気になる人生のツボ、押します。
2003/08/11 20:38
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投稿者:3307 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「あの頃に戻りたい、こんな世界はイヤだ」
と、思う日を乗り越えて、
「生きてきた中で、今のこの自分が一番好き」
と、言えるようになるまでの物語。
重苦しい不安の雲を吹き飛ばす姿、爽快です。
前作『カナリヤは眠れない』と同様に、
この物語は次の二つの視点を交互に切り替えて進みます。
・恋する、お人好し若手編集者。
・幸せを遠ざける「呪い」と、戦う茨姫。
この二つの物語に関わる整体師の力先生(りき・せんせい)は、
人生のツボも心得ています。
施術を通じて体の歪みを正すことで、
各自のキャラクターに合った人生を掴むよう
背中を押してくれます。
力先生は、迷いに迷う若手編集者の横で、こうつぶやきます。
「要するに、恋愛って、心を無理に軋ませて
寄り添うことなんやろうな」
心を軋ませて寄り添う。ぼくはそのことばを
心の中で繰り返した。
「そうやって、心を軋ませても、そばにいたい、
と思うことなんやろうなあ」
(P184より引用/引用中の「ぼく」=若手編集者)
また、閉じこめられた「心の檻」との戦いに
あえぐ茨姫には、こう語りかけます。
「臆病であろうが、無鉄砲であろうが、世界が
守ってくれることは絶対ないんや。他人も少しは守って
くれるかもしれんが、結局大したことはでけへん。
でもな、特に女の中には、それに気づいてへんやつが
たまにいるんや。臆病でいれば、世界が守ってくれる。
なんかそういう幻想に囚われている人間がたまにおるんや」
(P184より引用)
若手編集者と茨姫は、力先生と魅力的な脇役の
後押しを受けて、各自の物語を一歩進めます。
その過程で、先入観・誤解・偏見が、
一つ一つひっくり返されます。
そして、世界の見え方が変わっていきます。
これが、本書の最大の魅力です。
世界を変えることは、ちょっと困難ですが、
それを味わう自分は幾らでも変えることができます。
だから、気持ち鼓舞してテンション上げて、
それぞれの場所で最善尽くせば、きっと上手くいく。
そんなエールに満ちた一冊。
人付き合いの難しさ
2002/07/30 22:11
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投稿者:かずね - この投稿者のレビュー一覧を見る
整体師シリーズ2作目。本屋に勤める梨香子は、人付き合いがうまくいかず、臆病でいわゆる「いい子ちゃん」タイプ。人に逆らわず、従順に生きていた。そして、1人暮しを始めてすぐに郵便物を覗かれたりと、ストーカーの影におびえることに。
そして、そんなある日、ストレスが原因でギックリ腰に。隣人の薦める整体師に治療してもらう事に。この整体師が前作にも出てきた先生。彼は梨香子にもう少し、図太くなった方がいいと生き方についてアドバイスをする。これが占い師みたいに言う事に説得力があるのです。この事がきっかけで、ストーカーに立ち向かう決意をします。
この物語の舞台が私のなじみの地域・電車でとても親しみやすかったのと会話で使われている関西弁がとても心地よいです。近藤さんは出身が大阪の方なのですね。それにしてもこの整体師の先生。とても面白いです。私も治療してもらいたいです(笑)次作は出るのでしょうか?楽しみです。
関西弁の浸透圧
2000/10/31 18:19
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投稿者:竹井庭水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『カナリヤは眠れない』に続く整体師合田力シリーズ第2弾。また整体の描写の気持ち良さげなことといったら。
期せずして一人暮らしをすることになった梨花子。対人関係が苦手な彼女。しかし隣人は傍若無人なホステスとズケズケとものを言うイラストレーター。すっかりヘコんでいるところで、自分の郵便物に開封された跡を発見。これはストーカーの仕業なのか…。
治療を通して身体から心まで癒す力をもつ力先生。しかしこのシリーズの魅力はこのキャラだけにあらず、全ての登場人物にあり。みんな人生や世間や自分に一言持っていて、しかも説教臭くなく物語の中で自然に組み込まれている。表現する、というより染み出ているって感じでしょうか。
このナチュラルさの元を辿ればそれは”関西弁”。厳しくもあたたかい、というイメージにピッタリ。標準語よりも感情の振幅を大きく表現できるんだけど、それを軟らかに使いこなすことによって、言葉を読者まで浸透させることが出来ているのでは。
ミステリ色は前回よりも薄れてちょっと安直な流れ。しかし、事件は物語のためにあるのではなく、登場人物の成長のために用意されたものなんでしょう。その代わりといってはなんだけど、自分は「管理人の黒沢はどこで合田接骨院を知ったのか」という謎がラストに解けて目から鱗だったのでした。読み終わるまで小一時間の治療。終わるころには背骨も暮らしも正しい形に。
このシリーズ好きだけどいまいちだった
2022/10/01 10:38
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投稿者:K - この投稿者のレビュー一覧を見る
このシリーズ好きで期待してたけどいまいちでした。
三作目は面白かったからシリーズ続いて欲しかったけど無理だったようですね。
元気が出るシリーズ
2000/08/23 11:31
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投稿者:ERI君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ2作目になり、キャラクターの役割が落ち着き、シリーズとしての面白さが固まってきた。1作目の時、よくあるミステリと勘違いして読み始め、よい意味での意外性を感じ、新鮮に感じた通り、この2作目も、ミステリと言うより、女性の目覚めの小説といった感じに仕上がっている。
しかも、実際には重苦しい、ストーカー、カード破産、といったテーマをシリーズ全体の明るさで、軽く取り上げ、読み終わった後、がんばろうと、さっぱりした気持ちにさせてくれる。
社会派なんてくくりで、重いテーマを重く考えさせるばかりが良い作品とは限らない。実世界の重い問題を、さらりと明るい小説の中で取り上げ、気軽にばっさりきりすて、さあ、明日からがんばろうと感じさせるのも立派な作品と思う。
そういった意味から、この軽さ、短さでうまくまとまり、読み終わった後の快感は気持ちよい。
シリーズキャラも典型的に仕上がっていて、いかにも、いかにものシリーズとしての楽しみを感じさせるが、この作品の事件の中心となる3タイプの女性もパターンで押していて、おもしろい。TV映画でいうところのゲスト出演の女優たちである。複雑な心理描写をこういった作品で読みたい訳ではないから、私は、こういったパターンで押すキャラクターで、ここは十分と考える。コント的な絡みを、私は楽しめた。
問題となるストーカー事件の結末も、長さから言って、この作品の目的から言ってひねりは少ない。でも、トリックを読む小説ではないから、このくらいが適切だろう。これ以上複雑にしても意味が無い。
キーワードの「ストーカーと白馬の騎士との違い」「女になんか生まれなければ良かった」が結構、印象的でおもしろい。まじめな、あまり読みたくは無いが、女性心理分析の本がこのコピーでかけそうである。その言葉の意味合いが、さらりと、うまく底に流れているので、この作品が、単なる軽い作品から、少し引っ掛かりがある深みを感じさせてくれている気がする。
良くも悪くもTV映画的で、現実の日本のTV映画よりは格段におもしろく、楽しい時間を与えてくれる。小説でTVの代わりを読みたくない人には向かないが、電車の中でおもしろいTVを見るのと同じ楽しみを味わいたい人には向く作品であろう。
個人的には恥ずかしいが、シリーズ次回作が楽しみになっている。
この本をくれた○○教授、面白いといってくれた○○○太氏に感謝といったところです。(宮引恵利)
ミステリーコーナーより
2001/01/18 19:41
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投稿者:吉野仁 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「カナリアは眠れない」(祥伝社文庫)に続く、整体師・合田力シリーズの第2弾である。梨花子は、厳しい父親のいいつけをいつも守ってきた繊細な女性。結婚までは親元にいるつもりだった。だが弟の学生結婚により、家を出ることになってしまった。引越してすぐ、隣人の女性たちと知り合いになったものの、やがて謎のストーカーにつきまとわられた。はたして〈茨姫〉にはどんな意味があるのか、いかに〈たたかう〉のか。
前作同様、週刊誌記者の小松崎をはじめ常連メンバーによる軽妙な場面が続く一方、合田は、外見や身体にあらわれた心の歪みを見抜き、そのひとつひとつを正常に癒していく。
「女になんか生まれるんじゃなかった」とつぶやくヒロインのユニークな日常が描かれつつ、事件の裏側に隠された〈女性心理の罠〉が明らかになっていく話運びは、今回も快調だ。まさにツボをおさえて、すっきりとさせてくれる整体サイコミステリーなのである。