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妖精たちの物語 ヴィジュアル版 みんなのレビュー
- ビアトリス・フィルポッツ (著), 井辻 朱美 (監訳)
- 税込価格:2,640円(24pt)
- 出版社:原書房
- 発行年月:2000.7
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紙の本
知っているようで知らない妖精、この本を読んで自分好みの妖精を見つけよう
2000/08/03 12:15
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投稿者:牛尾篤 - この投稿者のレビュー一覧を見る
妖精と聞いて、頭に思い浮かぶのは、ディズニー映画、ピーターパンに登場するティンカーベル。あと一つは、不思議の国のアリスの著者、ルイス・キャロルが信じ込んだという妖精写真だ。小さくして背中に羽根が生えていて女の子である、というのが長年私が、妖精について持ちつづけてきたイメージのすべてだ。
この貧困な妖精に対する私の知識を豊かにしてくれたのが本書である。私の妖精についての第一印象、これはそんなにまちがっていなくてほっとする。そして新しく加わった知識をあげてみると・・・
(1)妖精は、人間と天使の間に位置する。
(2)妖精はダンスを楽しむ。
(3)妖精はサッカーやチェスをして遊ぶ。
(4)シェイクスピアの『真夏の夜の夢』の妖精達が後の妖精のイメージを決定づけた。
(5)妖精は家事を手伝う。これは日本でいう座敷わらしを思い出させる。スコットランドの糸を紡ぐ妖精は、鶴の恩返しに似ているような気がしてくる。
世界中の人間が考えていることは、にたりよったりというべきか。家事が重労働だった昔、妖精達に人間の仕事を肩がわりしてもらいたいという欲求が、色々な話を生み出していったのだろう。
そして、そんな妖精達をリアルな姿で描き出したのは、アーサーラッカム、リチャードドイル、などのイラストレーター達だ。
十九世紀、ヴィクトリア朝時代に活躍したリチャードドイルは、かわいい男の子や女の子を登場させ、現代のメルヘンチックな妖精の原型を作り上げた。
アーサーラッカムの描くセピア色の妖精達は、美女の姿となって夜空をかけめぐり、人間の家の近くに現れる妖精達は、少し不気味な小人の老人の姿になっている。ラッカムは二十世紀の初めに制作をしていた人なので、現代のアニメーションに近い、グロテスクさとリアリズムを持って、妖精達を描ききっている。私の好みとしては、夢の中でたわいのない遊びにふける、おとぎ話の住人としての妖精を描いたドイルの方が好きだ。
本書の中には、細密画のリチャードダッド、フュースリ、ラファエル前派の画家の作品も登場してくるので、自分好みの妖精を見つけていくのも楽しいと思う。 それにしても、なかば本気で妖精の存在を信じることが出来た昔の人がうらやましい。ひとりで山の中で仕事をしていても、妖精の気配を感じることで古代の人は、孤独を感じずにすんだのだろう。
この本を読んでいると、現代人にとっての妖精とは何だろうかとふと考えたりする。 (bk1ブックナビゲーター:牛尾篤/イラストレーター・画家 2000.08.03)
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