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2007. 01. 24. 誰独り救われぬまま、怒濤のように邁進してきた物語は、最後の最後で見事な大団円を遂げる。心からの拍手と安堵と、そして作者への賛辞というよりは感謝すら覚える。完璧なるカタルシスを描写した。
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手塚治虫版の『白い巨塔』と評される、医学界の権力闘争を扱った長編。登場人物の誰もが救われることのない、悲しい物語です。テーマの重さもさることながら基本的にどぎつい描写が多く、僕は中学時代に初めて読んだときから怖い印象を強く持っていました。キリスト教の受難の考えなど、深く考えさせられる仕掛けが満載されています。
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あとがきに、小学館の編集に早く主人公の顔を普通に戻して欲しいと言われたが最後まで譲らなかったとのエピソード。
手塚はいつも自意識が問題だなと感じる。
今回のモチーフは公害。公害は戦争と同じだと言う。手塚は行けなかった戦争に物語の中で何回も行くんだな。
あと実験が大好きな手塚先生。視線を意識した縦長のコマ、回転しながら苦悩を表すコマ、コマをバラバラに分解したりでプライドの崩壊を表したり、いろいろチャレンジしてて楽しい。モンタージュ的にセックス表現するとこは毎回笑わされる。
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図
モロにハッピーエンドにさせず一筋の光が射し込むような救いのあるラストに感涙。
現時点、手塚漫画で一番好きな作品になりました。
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なんだろう、これまでの展開と違って、
希望のある読後感だった。
ここまでの絶望的な内容が布石になっていたんだなー
桐人が元に戻る戻らないで編集と議論になったというが、
この終わり方は素晴らしいと思う。
テーマが重く、酷いシーンも多いが読むべき本。
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人間が病気と闘って、克服していく物語だとどこかで思っていた。だけど、それは大きな間違いだったのではないかと思う最終巻。少ないながら今まで読んだ手塚治虫作品では1番面白かった。
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人が獣のようになる病を追い、陥れられて自らも獣のような見た目となった医師の物語。獣のような主人公はむしろ人間的であり、人間である登場人物は獣のように描かれているところがある。
人間のような獣たちを通して人間の善悪の混沌(人間にある弱い部分の露出)を描く一方で、獣のようになった主人公を通して正しさを信じ行動し続ける強い人間性を描いていると思う。「キリスト」と「きりひと」をかけているようなタイトルであるのもおそらくここで、人間とキリスト(重ねてきりひと)の対比をしていた。
ストーリーとしてかなり面白く、読ませる内容だった。だからといって何かを学んだというわけでもないのだが、人間の汚い部分と綺麗な部分の両面をシリアスに描いた作品であり、そういうヒューマンストーリーが好きな人にはかなり面白いだろうと思う作品だった。