紙の本
日本という近代国家が、生まれた頃の熱き日記
2002/03/24 21:24
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投稿者:かいたろー - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末といえば歴史・時代小説の宝庫だ。江戸の封建社会と明治の文明開化と、鎖国と開国と、ちょんまげとざんばら髪と、あらゆる分野で暖流と寒流が交錯する、時代と人間のドラマの泡立つ漁場のような時代だ。ことに司馬遼太郎の作品群は出色で、「竜馬がゆく」をはじめ「翔ぶが如く」「花神」「坂の上の雲」「最後の将軍」など、どれも日本人の魂の作品と言えるだろう。そしてその作品群に匹敵する物語を、マンガに見つけてしまったのが本書だ。
医師である手塚良庵(なんと手塚治虫氏の先祖であるらしい)と武士である伊部谷万次郎の二人の若者を軸に物語は進む。良庵は蒙昧な漢方医によって、助かるべき病人が死んでいくことに、新しい時代の必要性を感じ、万次郎は西洋人に対して日本という国を守ろうと立ち向かう。
表面上は時代の流れの中で対立するかに見える2人が、いつしか同じ道をめざす。本書はそんな2人の青春小説であると同時に、日本という国家の青き時代の物語でもある。日本はどんな立国をめざしたのか? 初めの志はどこにあったのか? 方向性を見失ったかに見える21世紀の現代日本に、痛いほどストレートに迫ってくる物語だ。シーボルトや唐人お吉の物語なども折り込まれて、切ない。
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愕然とする良庵
2002/02/14 08:57
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投稿者:豊田佳士 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは、幕末、登場人物である医者の手塚良庵と武士の伊武谷万次郎のまわりで起きることが書かれている歴史漫画で、幕末の外科医の世界と武士の世界を知ることができる漫画です。
1巻、良庵は勉強のため、大阪にある適塾に入門する。大阪についた良庵は、曽根崎で十三奴と出会う。が、まもなく十三奴は盲腸で死んでしまう。良庵は死因を確かめるため十三奴を腑分けすることに。初めて人間の体中を見、複雑さに愕然とする良庵。
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幕末に運命を翻弄された青年伊武谷万二郎と、手塚治虫の曽祖父にあたる手塚良庵の物語。
日本の未来のために奔走する若者たちの血気が熱い。
今の若者もこれくらい日本という国を愛してくれたらいいと思う。
読後は、感動の涙と、激動の歴史を見てきて、タイムマシーンで現代に舞い戻ったような、すべてが終わった後の静寂のような心持になる。
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幕末の男たちのストーリー。心がまっすぐで気持ちの良い青年・伊武谷万次郎と、お調子者の医者・手塚良庵のそれぞれの人生を描いた群像劇。
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手塚作品の中で多分トップ3くらいに好きかも。
政治ネタや医者ネタも良いのですが、当時の大衆・風俗(変な意味ではないです)がリアルに描かれて、匂いのようなものまで表現された名作でした。
一番すきなのは夜鷹でコツコツ頑張って、最後は材木商人になったお紺のたくましさが好きでした。
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時は江戸時代幕末。緒方洪庵に師事した著者の祖先である医者と、彼と正反対のきまじめな武士が織りなすドラマティックな時代物。
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幕末蘭学医〜産婦人科の蘭学医の息子・手塚良庵は念願の適塾に入学が認められ,大阪の緒方洪庵の許へと学ぶ。江戸では父が種痘所を造ろうとして漢方医の妨害に遭う。〜前々から読みたいと思っていた。
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手塚漫画の中でも特に好きな作品。
この作品の影響で高校の日本史のレポートに適塾について書きました(笑)
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幕末〜明治時代、府中藩藩士「伊武谷万二郎」と蘭方医「手塚良庵」を中心に、時代に翻弄されながらも自分の生きる道を信じて必死に生きる姿を描く。
手塚治虫作品。読み応えがある。
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”天璋院篤姫”より”直江山城”より遙かにNHK大河ドラマ向けな作品と思うのだが・・・。
幕末、不器用な一下級武士と蘭方医達の苦闘を織り交ぜた名作。手塚治虫のルーツ。
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1981年から5年半に渡って連載された歴史長編。幕末好きの僕にとってはそれだけでも愛すべき作品なのですが、見事すぎる物語の巧みな構成と登場人物それぞれの魅力(義理に生きる伊武谷万次郎と人情に生きる手塚良庵の対比をはじめとして)を通して、最も好きな手塚治虫作品のひとつです。
終盤、おせきさんに最期の別れを告げに行ったあとの万次郎の無言の2ページがいかに雄弁に万次郎の心境を物語っているか。これからも、この作品を読み返すたびに手塚治虫の偉大さを思うことでしょう。
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手塚良庵素敵。とみやっこの腹切れないところにきゅんとした。漢方医には本当に腹が立った。何が「サナダ虫」だ、何が「天命です」だ。
伊武谷万次郎は…主人公的なから回りが愛おしいです。これから恰好よくなるキャラだな。不器用だけど一本気でとてもいい。
ちょろっとしか出なかった福澤諭吉がユーモラスな知性を感じさせるキャラで、好感持ちました。これからばんばん出てくるのかな?
いずれにしても、思ったよりも取っ付き易くてよかった。日本史全然勉強してこなかったけど、これだけ人物に焦点当てて描かれてると自然と楽しみながら味わえます。
また、まったく古さを感じさせない絵と展開に、手塚治虫のすごさを再認…ううむ。
続きが楽しみだ!これからもっと面白くなると確信できるので、まだ評価は4にしておく。
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幕末を描いた手塚治虫後期の名作。とにかくハンパない画力とストーリー展開には息つく暇もない。彼の天才たる所以が再確認できる秀作。
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こりゃもう名作中の名作ですよね。
ハードの方で所有してるけど
文庫もほしいなぁ
時代物好きな方は漫画とあなどるなかれ(笑)
是非ご一読を。
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手塚治虫の長編だと、実はこれが一番好き。
時代のうねりの「ちょっとだけ外側」にいる人から見た幕末。
目の付け所、展開、なんもかんもが傑作だと思うのです。