紙の本
DieEnergie5.2☆11.8
2002/05/18 02:10
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:猫山まどか - この投稿者のレビュー一覧を見る
少年の頃、ルドルフは『資本主義とその権力者達を憎み、消費者である大衆を軽蔑する者たち』の、悪の象徴であるデパートへの放火事件を目撃した。彼らは自らをを貧乏人であり、『犠牲者』であると言った。
数年後、電力会社に勤務したルドルフは、低濃縮ウランの盗難強迫事件に出会う。
『神様が人間の為におつかわしになったものです。』そう言って人々は残虐性も罪を感じることもなく豚や牛を食する。しかし彼らは屠殺場は好まない。
そして、電灯をつけ テレビをつけ クーラーをつける電気を憎しみはしないが、自然を破壊し、環境を悪化し、危険の可能性を伴う発電所を憎しむ人々は必ずいる。その二つはよく似ているとルドルフは思う。
彼らはテロだったり強行に反対だと叫んだりとするが、そういう彼らはすでにあるこの現実に見合った、どんな案を持つと言うのだ?(しかしまたそうやって誰かが喚いてストップをかけなければ、行き着くところまで突き進むであろう、という現実もあるのだが)
5.2の電気を生み出すのに、17のエネルギーが必要で、廃棄されるエネルギーは11.8。
効率の悪く危険な原発に、彼とて不満がないわけではなかった。だが、ただ叫び、現実に即していない『犠牲者』であることをルドルフは拒否する。
「ただの加害者でいい」と。
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「はみだしっ子」を読んだときからこの人は…凄い…!!!とは思ってたんですが、
この本に収録されている短編「イン・ア・ボックス イン・ア・ボトル」を読んで愕然として、更に好きになりました。
マジに哀しすぎるよ……。
最後、誰も欲しがらないようなものにしがみついてるリロイに(;ω;)ブァッです。
あの子の夢は小さい頃のまま止まっちゃったんだよなあ。。。ああ、……ああ……!!!!!!!!!!(泣)
こんな切ない話はない。
しかもクライド誤解したまんまエンド\(^o^)/
リロイ良い子すぎるよ、
本気で犯罪起こしそうなタイプそのまんま。
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初三原順。
「あのひととここだけのおしゃべり」で紹介されたエピソードが印象に残っていたので。
私の少女漫画歴には偏りがあって、幼少期に萩尾、竹宮(増山法恵)、青池、池田は読んでるのに山岸涼子には縁がなく、川原泉作品は全部持っているのにその親友の三原順に触れる機会も何故かなかった。
とりあえず全作品を読もうと決意するに充分過ぎる作品集だった。
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twitterで話題になる直前に友達に借りた。
ロングアゴーは子供のずるさや嫉妬を丁寧に追っていて、
読んでいてしんどくなった。
でもそういうマイナスの感情や打算を、
『いけないもの』ってくくるだけじゃ見えないものがあるとおもう。
お母さんはそういう事を言いたかったんだと思う。だから自分の中の『媚』というかいろいろな弱さを、受け止めてあげろと。
「Dei Energie 5.2☆11.8」は今twitterで話題の電力会社勤務の人の話。
いろいろとトラブルがある中で、最後に主人公が言う『僕はただの加害者でいい』というセリフが好き。電力の生産側もだけど消費する側も加害者側ではあるのだから、責めたり否定するだけで思考停止するなということか。
作者自身は特に否定的でも肯定的でも無いと思うけれど、
原発の持つ人体に対するどう仕様も無い有害性についてはやはり注目していたと思う。
セルフマーダーシリーズは、なんともノーコメント。
ただ、自死に至るプロセスにも多様なものがあるはずという視点はおもしろいけど。
実際の自殺は、なんというかもっと孤独だと思う。あんなにも人が密接に関わるものだとは、とても思えない。個人的に。SFとして読めば面白いのかもしれないけれど。
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「Die Energie 5.2☆11.8」が読みたくて再読。チェルノブイリの数年前に描かれていた作品だが、まさに今、日本が直面している原発事故に対する電力会社の姿勢やリスクを負わず電力の恩恵だけを求める社会…などのエネルギーに関するあらゆる問題を30年前に指摘しているわけで…。「ムーンライティング」や「X-Day」に出て来るコンピューター犯罪や「Suns」の企業買収なんかもそうだけど、社会のあらゆる事件を眼にするにつけ三原順の凄さを改めて感じる昨今。
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はみだしっ子の養父ジャックの少年時代が載っている本。
登場人物がみな、きちんとリンクしていて、その緻密さに作者の職人技を感じました。ええ仕事しはるお人や〜
他は、ちょっと遠ざかりつつあった時代なので、なかなか新鮮な気持ちで読めました。
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1981年に発表されたDie Energie 5.2☆11.8
今に続く問題が、この時期既にこういう形で表現されていた。
「漫画」ではあるけれど 気楽に読む感じではない。私の場合、本腰を入れて、向き合って読むのが三原順作品。どちらかというと、「挿絵の多い小説」 なのかもしれない。昔も今も、一番好きな漫画家です。