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社会科学系学者の小室直樹氏による宗教原論。キリスト教、仏教、儒教、イスラム教の違いを解説している。日本人は日常生活の中で宗教を意識することは少ないかもしれないが、現代においても大きな影響を与えていることを指摘。
上記の4宗教の中で日本人に一番なじみのないイスラム教が宗教としては最も分かりやすい教義をもっていることに驚き。他宗教の国家がイスラム教に改宗した事例は多いが、その逆は少ないという。小室氏はイスラム教が日本に入ってこなかったことを驚くべき事と指摘しているが、もし日本にイスラム教が入ってきていたら今頃どうなっていらだろうか?
また、キリスト教の予定説が近代資本主義の原型となったというマックス・ウェーバーの説についても分かりやすく解説。米国のキリスト教保守派と市場原理主義者が重なるのも、キリスト教が資本主義の母体になったことを裏付けなのだろう。もし、カソリック教会が堕落しなかったら、宗教改革が起きなかったら、一体世の中はどうなっていただろう?宗教の影響は計り知れない。
宗教が世界に大きな影響を与えている一方で、日本では様々な宗教や時の為政者の意図が入り混じり、自分達自身のアイデンティティが揺らいでいる。小室氏は理由なき凶悪犯罪の増加やカルト宗教の登場もアノミー(無規範)の蔓延が原因と指摘。最近、日本で起きている様々なデモはきっかけは様々だが、ある種の連帯を取り戻そうとする反作用なのかもしれない。
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小室は社会科学的アプローチで五大宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、儒教)を読み解く。その合理性が曖昧さを退ける。「日本人のための宗教原論」というタイトルに偽りはない。
http://sessendo.blogspot.jp/2012/04/blog-post_05.html
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小室直樹は物事の本質をスパっと言ってのける。この本はキリスト教、仏教、イスラム教、儒教を取り上げているが、内容はあくまで宗教の本質を描いている。宗教は恐ろしい、これが宗教の本質だ。
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かなり厚い本だが、読みやすいし面白い。
哲学や宗教の本はやたら難しく書かれていて
読むとすぐ眠くなってしまうものだが、この本は違う。
しかも内容が深くポイントがはっきりしてくる。
キリスト教って、イスラム教って、仏教も
「へぇ~そうだったのか」と目からウロコ。
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私達日本人にと宗教との結びつきは他民族に比べて極めて薄い。
そんな私達でも「そもそも宗教とは何か」、各宗教について、「日本人と宗教」など多角的に学べる一冊だ。
ちなみにほとんどの漢字にルビがふってあるので中学生くらいでも読めるはずだ。
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分かっているようで分からない宗教。
キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、仏教、儒教、それに山本七平氏の名づけた「日本教」。
世界の主要な宗教と、日本独自の宗教観を噛み砕いて解説してまります。
全体的に興味深く面白かったのですが、最後の日本人の宗教観が特に面白く感じました。
なにはともあれ、宗教とは恐ろしいものです。
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タイトルからして難しそうで、これ最後まで読めるんだろか?と不安だったんですが、読み出すとメッチャ面白い一冊!
『キリスト教』『仏教』『イスラム教』をメインにユダヤ教、儒教などにも触れており、新興宗教やカルト教団の矛盾みたいなものも書かれています。
一つ一つの宗教のことが一冊の中に書かれているので、様々な点を読み比べることが出来るのがすごくイイですね☆
ボク個人としてはやっぱりテレビなどの影響なのか『イスラム教』=『怖い』と思っていましたが、読み終えた後は『イスラム教』=『すごい』と思いました!
宗教のことを知りたいけど、知らない人には必見です(^-^)/
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『アノミーとは何ぞや?これはフランスの社会学者エミール・デュルケムの用語であり、普通「無規範」「無秩序」などと訳されるが、それはむしろアノミーが引き起こす結果である。そこでこの言葉を一言で定義すれば、「無連帯」というのがその本質である。人と人とを結びつける連帯が失われ、人々は糸の切れた凧のようになり社会をさまよう。孤独、不安、狂気、凶暴。気弱な人は死にたくなる。いや、死んでしまう。アノミーはどんな病気よりも恐ろしい。』
宗教原論の各論は非常に面白かったが、日本人の無宗教性の原論が論拠として弱い気がする。そこから全共闘、家庭内暴力、校内暴力、カルト教団の話への繋がりが飛躍しているように思える。
世界的宗教を換骨奪胎してしまい、もはや宗教でなくしてしまう日本人の無宗教性の本質は何なのか?そこをもっと深掘りしないと、ぼんやりとした類似性しか見出せない。そういう意味で不完全な論考だと思われ。
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とまれ、面白かった。
日本人に馴染みのあるキリスト教、仏教、儒教、そして宗教のかたちとして避けては通れないイスラム教についての、よどみない解説。この「よどみない」というのが我々おつむの弱い読者には大事で、なるほどそうかそうかと理解った気になるところに面白さを感じるのです。
で、次はこの本に関するそれぞれの(経験な信者の方とか、専門職の宗教学者の方とか)意見やレビューを見て、ああでもないこうでもないとするのがたぶん面白いのであろう。
と、そういう本です。文字通り宗教原論。たたき台として讀むのもいいかも。
基礎教養としておすすめしておこう。
ここから各宗派の詳細に向かうもよし。「ほほう」で済ませるもよし。
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アノミーという単語が一番心に残った。
あー沢山の本を読むたびにどんどん自分の知識のなさに気がつく。
この本はまさに盲目だった自分の目を開かせてくれた。
これからもいろんなことを知っていきたい。
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書店で、宗教入門書と宗教文化解説書の間隔を空けてほしいと思った今日この頃。
日本という国が、世界的に見ても明らかに異質な国の体系を持っている理由として、宗教の本質を理解していないことが挙げられる。
オウム真理教に代表される(インチキ)新興宗教が引き起こした事件は記憶に新しいが、こうした団体の発生原因もまた、日本人の宗教に対する理解のなさにある。
キリスト教、イスラム教そして仏教といった、世界的に広い範囲で信仰される宗教の特徴や台頭の背景を追いつつ、日本人の宗教理解を深めようとする書籍。
キリスト教の「予定説」、イスラム教の「アッラーの慈悲」がそれぞれ非常に論理的な構成になっていることが興味深かったです。
儀礼による救済を否定するキリスト教が、教会の都合で原則ごと歪められた反動のために厳格な「予定説」を再構築された因果な歴史。
他宗教ではあくまで人間の欲を否定したり重視しない中で、来世で娯楽を約束し現世の禁欲を戒律として義務付ける、人情を逆手にとったイスラム教のしたたかさ。
確かに日本人には理解しがたい考え方も多いですが、体系的に解説を加えるとともに宗教同士の比較をふんだんに使っているため、ただ特徴を箇条書きにされるよりも分かりやすく感じます。
日本が宗教に傾倒していないことを一概によろしくないとは言えませんが、自身の文化になじまないから、よくわからないからといって倦厭・抑圧してしまうのは余計に危険ですね。
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一点だけ問題点を。キリスト教の特徴に「決定論」を挙げられていますが、決定論を根幹としているのはカルヴァン派だけです。ほとんどの他派は、個々の人間の自由意志の結果を大事にしています。
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「宗教」と聞くと、新興宗教や諸所の宗教団体の事件をイメージしてしまい、なんとなく宗教に対して嫌悪感を持っている。そんな人の先入観をなくし、「宗教とは何か」ということを根本的なところから、わかりやすく解説した、古今第一級の宗教ガイド。1つの宗教をモデルに深く解説するのではなく、複数の宗教(ユダヤ・キリスト・イスラム・儒教)にまたがって比較、解説しているので、それぞれの違いがすごくわかりやすい。変な宗教に騙されたくない、キリスト教とイスラム教が、なぜ争うのか、そんな思いに応える一冊。
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いや、実に面白い。キリスト教や仏教、儒教、そして、日本人にとって縁遠いイスラム教まで、わかりやすく解説してくれる。
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世界の主要な宗教の基本的な思想を互いを比較しながら分かりやすく解説した本です。①今までぼんやりとしか知らなかった各宗教の教えを知れた事、そして②かなり抽象度が高いことを「比較」と「例示」を用いて分かりやすく説明する方法に触れられた事(特に仏教の「空」の考え方に関する説明が秀逸でした)、その2つの意味でとても素晴らしい本でした。私自身は無宗教だと自認しており、生涯特定の宗教の信者になることはないと考えております。ただ、それは宗教に対して無知で良いということではなく、無宗教であるからこそ、社会をよりよく知る為に、社会に強い影響を及ぼしている宗教というものについて、より関心を持って学ばなければならないと考えており、その入門書として非常に良い本でした。