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ラテンアメリカ文学邦訳の第一人者たる著者の、解説や評論、対談などを集めた本。
翻訳を担当した本のあとがき・解説が内容の殆どを占めているので、各論的な構成になっており、ラテンアメリカ文学を体系的に説明してあるわけではない。
とはいえ、結構な数の文章が載っているし、中村真一郎氏との対談においてはラテンアメリカ小説の特徴を大きく整理しようと試みているので、ラテンアメリカ文学への理解が進むことには間違いない。
文章はややクセがあるが、すぐに読み慣れる。客観的な事実の紹介と、深いが難解ではない読みという構成の評論は、俺みたいな文学の素人にも理解しやすかった。
ただ、やはり解説・あとがきの類は、原作と切り離して読むと魅力が半減しちゃうかな。
なお、論じられている作家は、ボルヘス、コルタサル、プイグ、ビオイ=カサーレス、ドノソ、レイナルド・アレナス、カルペンティエル、オクタビオ・パス、バルガス=リョサ、ガルシア=マルケス。
余談。
本の内容には関係ないのだが、誤植が異常に多い。数が多いだけでなく、間違い方も突拍子もない。この出版社の編集は校閲ってもんをしないんだろうか?