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紙の本
無人的娯楽
2002/07/27 23:11
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:明石家ペコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
もしも無人島に十枚のレコードを持って行くとしたら?——いわゆる楽園的イメージが想起されるような、耳障りはけして悪くないこの問いかけを、ひとたび愚問と看做してしまったのは、無人島で音楽を聴く、という行為に排他性を読み取ったためである。愛してやまない音盤を人っ子ひとり居ない砂濱でエンドレスに回し続ける様子は言うまでもなくおぞましく、そら寒い、人間嫌いが行き着いた果てのような光景ではないか。
ところが視点を変えて通学の電車でヘッドフォンを耳に当てている自身を顧みるならば、なんとうようよとした群集の息苦しさから解放されている感覚があることか、半径1mの境域に確かなユートピアを仮構している。無人島のイメージが実は抗えない日常と反駁する形で在り、不可分であることに気付くとき、同時にまた、自分が無人島に行かない事をも知る。
十枚のレコードを持って?——日々の暮らしを意識してはじめて、読者はこの問いを昇華させることができるように思う。
むろん本の内容は雑誌編集者・ミュージシャン・ライターらによる“実用的な”レヴューで占められている。厳選された音源リストはぜひとも新たな愛聴盤のための手がかりとされたい。
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