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紙の本
怠け好きの海の男
2002/06/27 03:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真田 樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る
遠い未来、すべての科学・文明が破壊され、さながら遠い過去のようになった世界。大航海時代の世界だろうか。そこに、船体はおろか、帆までもが漆黒の帆船があった。その名を影船。海上に覇を唱える海の一族、その守護神とも言える戦船である。
西の大国・ロナルディアに滅ぼされたオンタナ。その遺児であるマイアと、オンタナの客分であった伝説の兵法者トゥバン・サノオ。二人が出会ったのは、七隻しかないはずの影船八番艦の艦長であるファン・ガンマ・ビゼン。ニホントウと呼ばれる伝説の剣を背負い、絶滅したと思われた鷹を従えた、捕らえどころの無い男。「怠け者でいたいんだがな」が口癖だが、ひとたび働き出せば伝説の兵法者もかくや、という働きをする。
そして、同じく影船に出会ったのが、かつては大陸の半ばを制したという興武王ウォル・シェイ・ロンの末裔だが、いまは小国の地位に甘んじているウォルハン国の若き王カザル・シェイ・ロン。隣国クアラに単身乗り込み、和平交渉に向かおうとしていたが、真の目的はクアラの勇将ジンバハルの首。父王亡き後分裂する国内をまとめるために強烈なアピールをしようとしていたのだ。
クアラ王に謁見し、ジンバハルを斬ったカザル。急ぎ帰国し、クアラ軍の侵攻に備えた。しかし、海上からもクアラ海軍が侵攻して来る。それを受け持ったのがファンの影船だった。陸上ではカザルがクアラ王を斬って完勝。海上でも、トゥバン・サノオの超人的な活躍とファンの策で完勝したのだった。
ここに、陸上には興武王の再来カザル・シェイ・ロン、海上にはファン・ガンマ・ビゼンという、二つの巨星が現れたのである……
紙の本
海の男はイイ
2002/10/08 02:19
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エリック@ - この投稿者のレビュー一覧を見る
講談社月刊少年マガジン連載の作品。
作者は90年代に「修羅の門」「修羅の刻」という格闘漫画で一世を風靡しており、特に最近まで月刊マガジンに連載されていた「修羅の門」はその続編が待ち望まれている。突如として、人気作品だった「修羅の門」第3部完結してしまった後に、マガジン誌において連載発表されたのが本作品「海皇紀」だ。
正直、『人気連載を一旦打ち止めにしておいて、新たに連載する作品とは一体どんな作品だ?』と私ならずともマガジンを読んでいたファンは感じたであろうが、連載される作品を読んでみると、なるほど「修羅…」とは違った面白さがあり、作者が連載を決意した理由も分かる。
「修羅の門」現代を舞台にした、文字通り格闘漫画であった。近年の格闘技ブームに前後して連載が始まったのだが、『異種格闘技戦』の魅力を遺憾なく発揮してくれた文字通り「格闘漫画」だった。『戦いに傷つきながらも倒れない、倒れずに相手に立ち向かう主人公』という、少年漫画の王道もそのままに、ファンを魅了するだけの『迫力』のようなものがあった。「修羅の門」は世界の強敵を相手に、はなかなか活躍できない日本の格闘家という現実世界の事実があったので、『強い日本人格闘家』という部分が特にウケタと感じる。ある面において、この漫画が格闘ブームに火をつけたといっても過言ではない。読み終わった後に、屋上で布団相手に『無空波』の練習をする人が増大した。そんな漫画だった。
では「海皇紀」はどうか。話の舞台は文明崩壊後の世界。イメージ的には大航海時代を思い浮かべると間違いはない。主人公はニホントウを持った青年だ。本来なら日本人と断言したいところだが、なにぶん、作中に日本という国名がない上に、主人公が日本人の末裔という記述もないので、いわゆる『東洋人風の男』ということになる。作品観は洋画の「ウォーターワールド(最後に伝説の大陸が見つかるアレ)」を『日本人向けに作るとこうなる』という感じだ。つまり、あまり鉄砲やら銃撃戦がない分、剣を振り回し帆船を駆使して戦うというチャンバラが主に来ているアクション漫画だといえるだろう。素直にコーエーのPCゲーム『大航海時代』の雰囲気といえば良いのか?(笑)
少年漫画の王道と言えば(「修羅の門」でもそうだったが…)主人公が傷つきながら強敵に立ち向かう、というのが見所だ。しかし、「海皇紀」ではそんな場面が一切ない。超然(見た感じが…)とした感のある主人公が、強敵をまるで『魔法』でも使っているかのように倒していくのだ。勿論、圧倒的な戦力で相手を打ち破るとか、主人公しかもっていない必殺技で戦うとかではなく、才覚とか運とかそういったものをすべて含めた「強さ」で敵と戦うのだ。戦闘シーンだけを読んでも面白く、文字や台詞回しを多用せずにそういった面白さが伝わってくるのは、脱帽ものだといえる。
話の筋道も面白い。出生などを含めて、どういった過去を持つのかが見えてこない主人公。海を統べる『海の一族』という設定も良い。そして、その彼に従う一族の仲間達もなんとも魅力的だ。格闘シーンを見せるために筋道を作っていた「修羅の門」と違い、話の筋道をハッキリさせるために要所要所で「戦闘シーン」を出しているという感じなので、『読み物』としても耐えうる作品だといえるだろう。覇道に燃える小国の王子、太古の力で大陸を席巻しようとする大国の軍人、その大国に滅ぼされ国の復興を誓う王女など、これ以上ないくらいの面子で絵的にも映えるので、勿論漫画としてもかなり面白い。
長々と書いてはみたが、結論的にいうと『海の男はイイ』ということだ。これまでなかったジャンルということもあるが、『海の男』っぷりが遺憾なく発揮されているこの漫画はそれだけで価値のある作品だとも思われる。お奨めの一作。
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