紙の本
びんぼう神、大いに悩む。
2009/11/21 17:45
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求羅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
年じゅう金欠でぴいぴい言っているからか、タイトルに引き寄せられるように手に取ってしまった。
でもよく見ると、びんぼう神に「様」がついている。それでは足りぬとばかりに、もひとつ「さま」が。
貧乏神(平仮名から漢字にするだけで、どうしてこんなにも辛気臭くなるんだろう)って、疎んじられることはあっても崇め奉られることなんて、まあないと思う。浅田次郎の『憑神』じゃないけど、貧乏神・疫病神・死神の3トップは、できればお近づきになりたくないもの。
・・・というこれまでの考えを、見事に一変させてくれたのが本書である。
60ページ足らずの昔話なので、すぐ読める。が、中身は深い。
松吉・おとよ夫婦の家に〈びんぼう神〉が住みつき、みるみる貧しくなっていく。人間の不平不満を聞くのを楽しみにしていた〈びんぼう神〉だったが、松吉たちは悲しんだり言い争ったりするどころか、何でも「そりゃぁええ!」と前向きに受け止め乗り越えてしまう。挙句は、神棚を作って拝み出す始末。
〈びんぼう神〉は初めての反応に戸惑いつつ、次第に自分の存在意義について悩むようになる。
「なんでわしは、神様って呼ばれとるんじゃろう?」
「なんで人が苦しんだり悲しんだりするようなことしかできんわしが、鬼じゃのうて神さんなんじゃろうか?」
もっとお金があれば。もっと恵まれていれば。もっと、もっと・・・。
人間の欲望には限りがない。もちろん、欲があるからこそ人は成長できるし、社会の発展があるともいえる。
だが、裕福イコール幸福なのだろうか。なんの悩みもない状態が、人間にとって良いことなのだろうか。
お金があるがために争い、人間関係が険悪になることだってある。病気になって初めて健康の有り難さを知ることだってある。作中、「願いを叶えれば叶えるほど人間の顔が妙にギラギラして、人相まで悪くなるような気がして」という〈福の神〉のセリフは含蓄が深い。
本書は、感謝を忘れない松吉一家や、他人のために尽くそうとする〈びんぼう神〉の姿を通して、人間にとっての幸せと何か、ほんとうの豊かさとは何か、ということをしみじみと考えさせてくれる。もしかしたら、自分の身に起きることで無駄なことなど、何ひとつないのかもしれない。苦労も困難も、心を鍛え成長させてくれる糧となるのだから。
幸運をつかみ損ねそうなタイトルだが、読後は心があたたかいもので満たされる一冊。
投稿元:
レビューを見る
仕事に悩んでいる方のおすすめの1冊
8月2日(日) 『エチカの鏡(フジテレビ系列)』
放映時間21:00〜21:54
「読書のすすめ」 店長 清水克衛
投稿元:
レビューを見る
普通なら憎むべき貧乏神様さえも、祝福することで福をもたらす存在にしてしまうというお話。
キリスト教に通じるものがあるような気がするが、いろいろな教訓が含まれている。
どんな悪い状況であっても、前向きにいいように考えることであるとか、また、幸せになるためには自分だけでなく周りの人のことも考えるべきなどといったところは、学ぶべきところだと思う。
投稿元:
レビューを見る
【夢ゼミ2010年04月オススメ本】
あなたが反応するのはどこですか? びんぼう神をも拝む、松吉一家の人のよさですか? びんぼう神の人間臭さですか? 小さな善行の大切さですか? 集めることより分かち合うことの方が大切さですか? 仲間の大切さですか?
この本には全部あります。50ページあまりの本です。何度も読んでみることをオススメします。
投稿元:
レビューを見る
・じゃがのう、かわいい子供がおるのも、うちだけじゃねえぞ。うちだけがくいつないだとしても、村ん衆とうまくいくわけがねえ、・・・、じぶんらだけがいい思いして平気ではおられんし、うし松にもそんなふうに育ってほしゅうはない。みんなで力を合わせれば、きっとなんとかなるって・・・。
投稿元:
レビューを見る
胸と目頭が熱くなったとても素敵なお話でした。
豊かさとは貧さとは何だろう?
やさしい気持ちで考えさせてもらえました。
読みやすいお話でもあるのでオススメです。
投稿元:
レビューを見る
この本当好きだなぁ~( ´ ▽ ` )
何をやっても不幸を招く貧乏神が家にやってくる。
でもこの話は貧乏神が代わるお話し。
なんかちょっとこころが温まり、ホロっと涙するお話しです♪
なんか夜に1人で読むのにピッタリの一冊です(^^)
投稿元:
レビューを見る
「貧乏神でも神様は神様」と拝む松吉夫婦に対して「神であるからには神らしいことをしてやりたい」と心痛める貧乏神。
手のひらに載るような小さな話しだけれど心打たれた。
投稿元:
レビューを見る
10/09/05 自分の境遇に立ち向かうのではなく喜ぶ、いい話。あり がたいと思うのだが真に向かっているのではないか。
投稿元:
レビューを見る
人を不幸にするのが仕事のはずの貧乏神が取り憑いた一家が変わっていて、不平をいうどころか拝まれてしまったから、さあ大変。貧乏神は自分はこれでいいのかと悩み、その一家を幸せにしてしまうお話。人間の欲望とか良心とかって不思議。あ、貧乏神のも???
投稿元:
レビューを見る
自分の境遇を嘆かず、感謝の気持ちを持って暮らすこと。自分のもっとも大切なものを、みんなで分けること。心温まる物語。
投稿元:
レビューを見る
結末は、そうくるか~!
なぜこの本を図書館にリクエストしたか記憶にないですが…面白かったです。
ほっこりする本。
と、書いてしまうと、つまんないかな。
投稿元:
レビューを見る
昔読んだ記憶があるのですが、清水克衛さんのお薦めで読んでみました。内容は何となく覚えていたのですが、それでも泣けました。しかも地下鉄の中で...怪しい感じです。
貧乏=不幸ではないってことですね。もちろん裕福=幸福でもありません。神はあくまで神なんですね。短いながらもかなり考えさせられる内容でした。
また本の最後で、作者友人の中村陽子さんが、下記のような事を書かれていました。なるほど、そうだなと思わされました。
以下、その内容です。
『びんぼう神様さま』には福の神、疫病神、死神などが登場しますが、大本は一つなのに、自然現象の一つ一つに人間が自分にとって都合が良いか悪いかの判断をつけて区別したものだと思います。
投稿元:
レビューを見る
松吉の家にびんぼう神が住み着いた。家はみるみるびんぼうになってゆくが、松吉と嫁のおとよ夫婦は、ちいさな幸せをみつけては感謝して暮らしていた。あげくに、びんぼう神、とつくのだからと神棚をつくって、びんぼう神をまつったのだ。
これまで人に嫌われても感謝されることのなかったびんぼう神はびっくりするやら、申し訳ないやら。
松吉たちには幸せになって欲しいと思うようになるのだが・・・
今の世の中、こういう本が必要なのかも。
本来、日本人は身の丈にあった生活で満足、感謝する毎日を送っていたと思う。福の神の苦悩や、大神さんの采配もいい。
投稿元:
レビューを見る
貧しいからこそ、知ることのできる幸せがある。貧しいことは不幸なことではない、不幸とはもっと別のところにある。…のかな、と思いました。