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【ストーリー】
ワシントンの地下鉄駅で銃乱射事件が発生。脅迫状によると、市に要求した現金の受け取りが完了し自分が休止の指示を出すまでは相棒の銃撃担当の男が決められた一定の時間に無差別大量殺人を繰り返すという。ところが、脅迫状を置いた直後に男は前方不注意のトラックにひき逃げされて死亡したことが判明。出るはずのない指示を永遠に待つ正体不明の銃撃犯を止めることができるのか・・・・。脅迫状から手がかりを得るため、引退した元FBIの筆跡鑑定のエキスパート、パーカー・キンケイドまでもが捜索班にかりだされる。
【感想】
話が進むにつれ熱中させられる作品です。話の持って行き方がすごくうまくて、興味がつきない。キャラクターがまさに生きている感じ。読みやすくて面白く手ごたえのある、今最も気に入ってる作家です。ちなみに作品名は脅迫状の犯人の筆跡の特徴に由来しています。
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ジェフリーディーヴァーの筆跡鑑定人もの。リンカーン・ライムもちょっと顔を覗かせる。満点パパを目指す元捜査員の話。
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地味に面白いです。
筆跡鑑定士が主人公なのですが、筆跡鑑定という仕事の持つイメージが変わること請け合いです。(実際の筆跡鑑定作業がこのようなものかは甚だ疑問ではありますが…)
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久しぶりに心の底から「面白い!」と一片の引っかかりもなく言い切れる小説。
面白さの洪水とでも言おうか、とにかく矢継ぎ早に面白ポイントが押し寄せてきて、ダレる箇所が一点もなかった。
普通こういう「専門家もの」は専門家の知識のピンポイントな一部だけが事件に関わってきてその他の多くはミスリード兼雑学知識だったりして、そこが面白さである一方「事件と関係ない話ばっかりしやがって」ともどかしく感じるのも一面では事実。しかし文書鑑定士の主人公は自分の得意フィールドで八面六臂の大活躍。すべての要素が事件に関係してくるよ!
良き家庭人でありながら必要とあれば誰よりも傲岸になれる主人公や、さほど事件に有能とは言えないとぼけた男だがさらりとMVP級の名フォローをする天下一のまとめ役の元上司など、キャラクター達も魅力的。
「まさか!」しかし「なるほど!」と思わせ続けてくらくらさせてくれる構成も素晴らしい。
あえて欲を言えばハリウッド映画的で文学的深みに欠けるところが惜しいと言えば惜しいのかもしれないが、逆にこの小説からハリウッド映画的ローラーコースターぶりを奪ってしまっては凡百の小説に堕してしまいかねない。これはこれで正解なのだろう。
この作家の本を読むのはこれが最初だが、ぜひ他の作品も読みたいな。
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初めて読んだジェフリー・ディーヴァーの長編。
登場人物に感情移入しながら読むタイプの小説ではないので、純粋に推理ものパズルものとして読むべきかも(←読み終わって気付いた)。
最後の連続どんでん返しは秀逸。
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無差別殺人犯が、「市民」への身代金を要求してきた。
筆跡鑑定人パーカー・キンケイドは、事件の捜査を依頼される。
とりあえず、人の名前を、ファーストネームで呼ぶのか、ミドルネームで呼ぶのか、ある程度統一して欲しかったです。場面で、パーカーだったりキンケイドだったり、が他の人でも一杯なので、わけわかりません。オリジナルがこうだから、ってそれを遵守することは、ないんじゃないかな。そもそも日本語と英語では、文字からは入ってくる印象が違うんだし。
と、いきなり文句たれてるが、文句なしに面白いディーヴァーなのだ。
「コフィン・ダンサー」と「エンプティー・チェア」の間の作品といえば、面白さも想像できるってもんだろう。
キンケイドのバックボーンがいけてる。子供二人かかえたシングルファーザーで、離婚した妻から親権を取り返す請求をつきつけられている。だから、危ないことはできないのに、危ないことに巻き込まれちゃうんだよね。この巻き込まれたくないのに、っていう設定が、上手い!!
緻密な設定といえば、R・ゴダードがピカイチだと思う。が、ディーヴァーは、ゴダードとは違う緻密さがある。そう、ゴダードが絢爛豪華なレース編みのようであれば、ディーヴァーは車の隙間をぬってニューヨークの町を疾走するバイク便のような感じ。
サービス(?)でリンカーン・ライムもちょっとだけ出てるよww
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ディーヴァーらしくどんでん返しやら各所の仕掛けやらが満載、なのでもうお腹一杯よ!になる人も決して少なくないんじゃないかと思う。ディーヴァーといえば何と言ってもリンカーン・ライムシリーズが有名だけど、その世界とも今後とも関わってくる筆跡鑑定の第一人者、パーカー・キンケイドが主人公。ライムはゲストでちょこっとだけ登場するよ!
ストーリーは本当にラストに向けて疾走してターン、またターン!みたいなスピード感溢れるもの。そもそも「●時までにこれこれをしろ、さもなくば」というのが犯人の要求なんだから、作中の時間経過が緊迫感と焦りを連れて来るのも無理からぬところだ。そういう雰囲気を描くのがディーヴァーはとても上手いから、特定の人物に感情移入するというよりも、ただそのスピード感と謎を解く感覚に酔いながら進むべき本かもしれない。
そもそも文書鑑定って仕事が興味深い。事件には関係ないんだけど、ストーリー内でキンケイドが行っているトーマス・ジェファーソンの手紙の鑑定話とかもっと読みたかった!出てくる贋作者の話とかも。
筆跡鑑定というジャンルは、実際に鑑定すべきものがそこにあるという意味で、プロファイリングとかキネクシスよりも「理解されやすい」のではないか、と思う。読んでいるこちら側だけでなく、作中の人物達にとっても。派手ではないけど鮮やかなキンケイドの手並みをもっと見てみたいので、シリーズ化されたらまた読んでしまうんだろうな。
でもまあ、
[※ここからちょっと犯人に関するネタバレ※]
最初に「未詳」とされた人物が、犯人とされた証拠が首を傾げるものだったので、現実にはどうかわからんが小説的には「ああこれ真犯人別にいるわ」と思ってしまったのが残念。もっと驚きたかった。
[※ここまで犯人に関するネタバレ※]
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このところ、ジェフリー・ディーバーの小説を何作か続けて読んでいます。
リンカーン・ライムシリーズはおもしろいのと興味がわかないのと半々くらいです。
これは、ライムはちょこっと出てくるだけなのです。
後半にむけてどんでん返しが繰り返されるのはおなじみ。
そのテンポは心地よいのですが、肝心のトリックのとっかかりが、「それってあり?」という感じで、ちょっと拍子抜けな感じでした。
最後の顛末はよかったんだけどなあ。
ちょっと残念です。
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ライムシリーズの、スピンオフ。スピード感や、ラストに向けてのドンデン返しはディーヴァー節。
ラストの決着は、ちょっと微妙。
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ワシントンDCで大量殺人が起きる。そして、市長宛に2000万ドルが要求され、応じなければ4時間ごとに殺人を繰り返すとの脅迫状が・・・。元FBI特別捜査官で文書検査官のキンケイドが捜査に加わる。裏のストーリーは、キンケイドのクレイマークレイマー。とにかく、息をつかせないスピーディーな展開。そして、、あっと驚く結末。捜査を指揮するマーガレットも、魅力的に描かれています。まさにエンターティメント☆ですが、話がうますぎて・・・。うーん。
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フリーの文書検査士、パーカー・キンケイドは幼い子供二人を育てながら自宅で仕事をしていた。一方、世紀末の大晦日午前9時、ワシントンの地下鉄駅構内で銃乱射事件が発生。その後、市長宛てに届いた脅迫状は、"身代金を支払わないと無差別殺人を続行する”という内容だった。事件現場には証拠がほとんど残らず目撃者もいない状況で、たったひとつの手掛かりは手書きの脅迫状のみ。捜査中のFBIは、筆跡鑑定のエキスパートで元FBI科学犯罪文書研究室捜査官のキンケイドに協力を強く要請。家庭の複雑な事情を抱えながらも非情な無差別殺人を食い止めるためキンケイドは再び捜査前線に戻ることになるのだが…。とっかかりは僅かな手がかりしかないが、文書検査士のキンケイドがパズラーとしての洞察力を発揮してFBIの捜査に一役も二役も買い、事件解決に近づいていく、ディーヴァーらしいノンストップミステリ。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】正体不明の殺人者ティガーに犯行を指示していた男が、身代金を受け取る前に交通事故で偶然死亡してしまうことから、犯人側と交渉する手段がなくなりいきなり事件が複雑な状況になり、これからどうなるのだろうという不安感と期待感が高まる。脅迫者のアジト捜索中の罠、2度目の乱射事件現場の予測、FBIと相いれない市長サイドの思惑などが絡み、事件はクライマックスへ。そしてティガーの死、脅迫者の正体に目を見張りつつ、残りページ数を見て、(ディーヴァーのこと、まだ何かサプライズがあるに違いない)という期待感を裏切らないラストにも満足だ。とても楽しませてくれて全体的には大満足だが、脅迫状の文字の特徴である「悪魔の涙」が、とある人物のメモに見つかり犯人(黒幕の方)の正体がばれてしまった点はやや納得いかない。捜査本部内の目がある中でメモを書いたため極度に緊張してしまっていたとはいえ、あそこまで用意周到で用心深い狡猾な犯人らしからぬ凡ミスだと思った。物語の面白さを盛りたててくれるキャラ設定も充実。脅迫状の筆跡だけでなく文書そのものから様々なことを読みとる切れ者のキンケイドだが、家庭ではものすごく子煩悩な善き父親というギャップも見せる。子供たちの養育権を元妻と争っているため、危険な捜査に協力していることは公にできないという状況にもちょっとハラハラ。他の登場人物もなかなか魅力的。捜査の指揮をとる女性捜査官ルーカスの私生活の影や、元同僚のケイジの奇跡的な交渉術(?)などの味付けが個性的でおもしろい。しかしなんといっても嬉しいのは、脅迫状の紙の分析に協力してもらうため、最高の犯罪学者リンカーンライムがゲスト出演したこと!相変わらずの辛辣な毒舌ぶりに、トムやアメリアの様子も垣間見られ、シリーズのファンには嬉しい場面だ。ちなみに本書は『コフィンダンサー』と『エンプティチェア』の間の作品だから、時間軸も同じかな。さらには、キンケイドがこの後のリンカーン・ライムシリーズ作品にゲストとして登場することもお楽しみとして付け加えておく。(2010.1.25再読&感想更新)
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さすがは、どんでん返しのジェフリー・ディーヴァー。ハラハラでした。リンカーン・ライムもちらりと出てきて。うん。満足です。キンケイド、ルーカスシリーズって、他ないのかしら?ま、私は、ライムの方が好きですが…世紀末の大晦日午前9時、ワシントンの地下鉄駅で乱射事件が発生。間もなく市長宛に2000万ドルを要求する脅迫状が届く。正午までに「市の身代金」を払わなければ、午後4時、午後8時、そして午前0時に無差別殺人を繰り返すとある。手掛かりは手書きの脅迫状だけ…FBIは筆跡鑑定の第一人者パーカー・キンケイドに出勤を要請した…
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筆跡鑑定の専門家、キンケイドが無差別殺人犯に立ち向かうミステリー。子供達を愛し、妻と親権を巡って係争中だがその専門知識を駆使して一つずつ犯人を追いつめていく姿に夢中になって読んでしまった。途中ライムがゲスト出演するのも読者にとっては嬉しいサプライズだ。ディーヴァーも何冊か読んでくると、大体パターンがつかめてくるので、大どんでん返しがいつ来るか、あと何回くるかと予測しながら楽しめるようになってきた。残りページ数で見当がつくのだよ(笑)これはまさしく名作というに相応しい読み応えのある作品だった。このキンケイドはまたどこかで登場してくれるのかな??
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最後まで気の抜けないエンターテインメント。
制御の利かない連続殺人事件と思いきや、練りに練った完全犯罪。
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読み終わって、しばらく目を閉じ、その余韻にうっとりと酔いしれた。
凄惨な事件が描かれた作品だというのに、あと味がよく、希望を感じた。最高のエンターテインメント作品だ。
昨年は<リンカーン・ライム・シリーズ>に翻弄された。脳細胞を懸命に働かさなければならない読書は、貴重な体験となった。今年は、その最高のお気に入り作家となったジェフリー・ディーヴァー作品を、遡って読んでみようと思っている。
そこで、今回はこの『悪魔の涙』を手にした。世紀末の大晦日午前9時、ワシントンの地下鉄駅で乱射事件が発生する。正午までに2000万ドルを払わなければ、午後4時、8時、そして深夜0時に再び無差別殺人を行なうという脅迫状が、市長宛に届く。犯人、動機ともに不明。手掛りは手書きの脅迫状だけだ。そこで、元FBI文書検査士のパーカー・キンケイドに、FBIから出動要請がくる。証拠物件は「文書」。紙、筆記具の特定、筆跡、綴りのミス、文法の組み立てなどから、ありとあらゆる情報を導き出し、犯人に迫る。ここが本書のおいしいところ。本書では読者を、「文書鑑定」という新たな領域に誘い込む。
犯人とFBIの攻防に息を呑んで、読み進めた。緻密なプロット構成と魅力的な人物造形、そして現代社会の闇。それらをギュッと詰め込んだ、読者を手玉に取る物語の完成度には、度肝を抜かれる。読み応えがありながらも軽快。意表を突く、ひねりの効いたストーリー展開に唸らずにいられない。ストーリー・テリングの巧さに舌を巻かない人などいるのだろうか。ライム・シリーズに比肩する面白さだ。
途中、嬉しい再会があった。そのリンカーン・ライムの登場だ。キンケイドが電話で、微細証拠物件の分析をライムに依頼したのだ。ライムの分析結果から、犯人のアジトを突き止める展開は、もうお馴染みのことながらもワクワクしてしまった。
「さぁ犯人よ、大人しくしていろよ」ってな具合である。まあ、大人しくしているような犯人のわけはないのだが。
パーカー・キンケイドと、今回の事件を担当した、FBI女性捜査官のマーガレット・ルーカス。2人とも悩みを抱えている。事件捜査と併行して、2人のプライベート生活をつぶさに描写することにより、人物像がより鮮明に浮かび上がってくる。人物の裏表を丁寧に描き込む、ディーヴァーの小説作法にはいつもながら頭が下がる。主人公たちに愛着を抱かずにいられなくなるからだ。2人の恋の行方も気になる。
シリーズ化すると嬉しいのだが、どうだろう。
ちなみに、タイトルの「悪魔の涙」とは、アルファベットの小文字の「i」の、上に打たれた点のこと。人それぞれの癖が出るところだそうだ。