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カーチャさんに教えられて、さっそく探しました。ちょうどネット古書で、とても安く手に入れることができました(書店派の私だけれど、在宅を余儀なくされる期間には、ついこういうものを利用してしまう)。届いたのはスリップ入りの新本でした、かなり申し訳ない気分です。ちゃんと定価で贖うべき本だった、と感じたからです、反省。サッフォーからシンボルスカまで、17人と限定されているにしても、彼女らは「ミューズの娘たち」に相応しい。プロフィール等各論が、とてもとてもためになる。そういう意味ではほんとうに貴重な書物。ただし。「女性詩人、十七の肖像」だからしかたありませんが、もっと詩句の引用をたくさん読みたかった。あるいは、これくらいの量の引用ならば、夫々の原詩を附してほしかった。編者自身が、「……この珠玉の名篇に宿る詩美を、邦訳で伝えることはまず断念しなければならない」と言い、同じようなことを他所でも述べていますが、だったら余計のこと、邦訳と原詩を対応させてほしかった。そしたら読者は、各自の技量によって、その「詩美」を味わう機会に恵まれますから。(もうちょっとだけ厳しいことを言うならば、訳者だけは「断念」という言葉を公言すべきではなく、「能う限り伝えるべく全身全霊でやった」ということを〔別にわざわざそれは言わなくていいけど]覚悟すべきではないでしょうか)。「訳詩集」ではないのだから、それをしてもよかったんじゃないかなあ。わがままかな、そんなことをしたらもっと高価になって売れなくなるのかなあ。