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紙の本
陶芸に使われる釉薬の科学的な理論と実践を解説した書。陶芸家、陶芸ファン必携。
2000/09/22 18:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:近藤龍太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私にとって陶芸というのは、一つの夢である。もちろん、陶器は、日常見たり使ったりするのも好きなのだが、いつかは作ってみたいと思っているのである。仕事をリタイアしたら、立科とか日本アルプスの麓に居をかまえて陶器づくりに勤しむのが夢である。
もっとも、数をたくさん作るのでなければ家庭でもきないことはない。マンションで登窯はちょっと無理だが、ユザワヤか東急ハンズに行けば電気で焼ける小さな窯がある。最近では、お昼の健康番組で「陶芸の健康効果(?)」が宣伝されたので、またブームになっているかもしれない。
このように、現代ではちょっとの時間とスペースさえあれば、陶芸を始めることに大きな障害はないのである。けれども、私がどーも始められない理由は、釉薬に問題があるのではないか、と思っている。
というのは、粘土をこねて形をつくるところまではいいのであるが、乾燥させて焼くと、ひびが入ったり割れてしまうものがある、また、日常的に使うものなら釉薬をかけるべきなのだろうが、これがどうも思い通りにならないらしいのである。
せっかく時間をかけて作った作品が最後のところで妙な色に変身してしまっては、努力が報われないというものである。もっとも、予期しない良い結果となることもないとはいえない。窯の状態によって釉薬の状態が予期しない変化を起こすことを「窯変」といい、良く変化したものは珍重される。曜変天目釉などが有名である。しかし、それは芸術家(?)としてどんなものだろうか?
もっとも、他のジャンルの作家、たとえば絵描きや彫刻家が、どこまで自己のコントロール下で作品を制作しているかというと、はなはだアヤシイものがある。しかしながら、細かい作業の積み重ねで作品が完成する場合、偶然性は修正し少しずつでも排除できる可能性がある。けれども、釉薬の場合は、ほぼ最終工程であって一発勝負なのだ。あとは、出来上がったものを認めるか、破棄するかという判断しか作家には残されていないわけである。
物事を積み上げて完成させるのが好きなタイプの私としては、これが大変に苦痛なのである。まだ、初めてもいないのに苦痛とは変な話なのだが、これはやらなくてもわかる。……と思っていたのだ。
ところが、本書はそうした釉薬に対する疑惑の大部分を晴らしてくれた。釉薬について科学的に明快に解説してくれているので、もやもやが取れたのである。本書の性格からすれば、初心者が読むべき本ではないが、陶磁器ファンが読んでも充分楽しめる内容である。私のように釉薬に対する偏見で陶芸を始められないでいる方にも是非読んで欲しい。もっとも、それでも窯の中では不可解なことは起こるんだろうなぁ。 (bk1ブックナビゲーター:近藤龍太郎/デジタル・デザイナー 2000.09.23)
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