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紙の本
生物学は丸ごと進化学である,とのスタンスで,生物の営み,遺伝子の世界を論述。今後の生物科学を展望
2000/12/26 15:28
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投稿者:高山 博 - この投稿者のレビュー一覧を見る
生物の進化を扱った書籍は数多くある。古生物学から分子生物学的手法まで幅広い。特定の生物に焦点を当てた書物があり,また,その一方で生物間の相互作用,つまり,その生物が生きた年代に,他の生物と織り成したドラマを描いたものもある。生存する能力に関連し,細胞レベルから各器官,さらに個体という具合に,階層構造を呈し,生命が維持される。また,別の種との関わりを視野に入れ,共存関係の場合もある。細胞の中に入り込んだウィルスは個体の変化に対応し,進化を遂げる。これに関連し,本書では細胞内寄生バクテリアの進化について解説している。
著者によれば,1998年の秋に,2つの細胞内寄生細菌(真核細胞の中でしか増殖出来ない共生細菌)のゲノムDNAの全塩基配列の解析結果が相次いで発表された。この結果,細菌の遺伝情報の把握が容易になり,進化の過程を探ることも可能となった。本書は『生物の科学 遺伝』の連載記事を基に,ミクロからマクロ面での進化の過程,生物間の相互作用を扱い,主に,分子生物学的手法で話を展開する。
本書では「進化」というキーワードを用いつつ,昨今の生物科学の置かれた現状を考察し,今後の展望を行っている。また,従来の書物と趣が異なり,実験や解析結果で得られたデータを駆使し,生物の全体像に迫り,さらに何のための研究か,実験の醍醐味を熱く語る。平易な記述をモットーにしているそうで,重要な専門用語については巻末に解説集として掲載している。
ただ,扱われるトピックスは,いずれもオリジナリティーの高い研究成果の紹介であり,研究者や技術者を目指す学生はもちろん,すでに第一線で活躍している人も原点を見直すうえで役に立つ。4章構成で,まず,寄生・共生関係を眺め,続いてゲノム,遺伝子。さらに3章でカンブリア爆発,多胚性寄生蜂の生き方など,進化の奔流,生物の営みのダイナミックさを綴り,最終章で展望を行っている。図表が多く,読みやすい。
(C) ブッククレビュー社 2000
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