サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

世界内存在 『存在と時間』における日常性の解釈学 みんなのレビュー

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー1件

みんなの評価0.0

評価内訳

  • 星 5 (0件)
  • 星 4 (0件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本

アメリカの著名なハイデガー研究者による、ハイデガーの主著『存在と時間』の詳細な解読の試み。

2000/11/15 18:15

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:宇波彰 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書はアメリカのハイデガー研究者ヒューバート・ドレイファスによる『存在と時間』前半の解読である。ドレイファスによれば、「私と私が住みつく当のものとのあいだの関係は、主観・客観関係というモデルでは、了解することができない」ものであり、「現存在は、世界の内では<落ち着かない>」。「落ち着かない」という意味のドイツ語unheimlich(ウンハイムリッヒ)こそ、ハイデガーの『存在と時間』のキーワードである。

 ハイデガーは人間を「世界内存在」として規定した。世界の中に存在する人間は「現存在」と呼ばれるが、この現存在にとって、世界は無規定で、よく理解でないものであり、そこでは「落ち着かない」のである。この「ウンハイムリッヒ」というドイツ語は、「不気味な」という意味でもある。つまり、世界は主体にとって「不気味なもの」として迫ってくる。1920年代から1930年代の初頭にかけてのヨーロッパは、この「不気味なもの」の世界であった。それはほぼ同時代のムルナウの「吸血鬼ノスフェラトゥ」(1922)やフリッツ・ラングの「M」(1931)の世界と共通している。1927年に刊行されたハイデガーの『存在と時間』もまたこの時代の所産として読まれなければならない。

 19世紀末と20世紀末とがしばしば比較されるが、1920年代と現代の比較の方が意味があるとは考えれないだろうか。最近になって、大澤真幸の『不気味なものの政治学』、アンソニー・ヴィドラーの『不気味な建築』などが刊行され、「吸血鬼ノスフェラトゥ」の上映会が企画されたりするのは、現代という時代の「不気味なもの」への関心の高まりを示すものである。岩波文庫、ちくま学芸文庫の『存在と時間』が、かなり売れていることは、それらの奥付に示されている刷り数を見ればわかるが、ハイデガーにひとびとが注目している証拠である。「不気味なもの」という概念が、フロイトとともにハイデガーによっても重視されていたことは、特に注目に値する。

 「20世紀後半のアメリカ社会ほど、ハイデガーの哲学に不似合いな場所はない」と訳者の門脇俊介は書いているが、アメリカでもハイデガーに対する関心が高まりつつあることは、1991年の本書の刊行のあと、1998年にはハーマン・フィリプシーの『ハイデガーの存在の哲学』が、2000年には「ドレイファス教授記念論文集」として、二巻から成る『ハイデガー論集』が刊行されたことからも推測できる。現代という「不気味な」時代を理解するためには、ハイデガーの『存在と時間』に戻って考える必要がある。そのときにこの『世界内存在』は、有効な案内になるであろう。 (bk1ブックナビゲーター:宇波彰/明治学院大学教授 2000.11.16)

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

1 件中 1 件~ 1 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。